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化粧が心理に与える影響

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化粧が心理に与える影響

人はなぜ化粧をするのか考えてみたことはありますか。

あなたは、化粧をすることに対してどのようなイメージを思い浮かべますか?

  • 女性が顔をきれいにするもの
  • 若返り、健康的に見える
  • 気持ちが引き締まる、前向きになる
  • 安心する
  • 一日のスタート(習慣)

化粧療法の一環として位置づけられいるメイクセラピーは、医療や、介護福祉の現場で化粧が持つ力を生かし、ケアすることでご本人の心身を元気にする効果も臨めます。

人が化粧する理由や、化粧が人に与える影響と及ぼす作用といった化粧と人の心理、「化粧心理学」をここでご紹介していきます。

化粧の始まりと歴史

化粧の起源と推測されているのは人が社会生活を営み始めた時にまで遡ると言われています。古くはおよそ4万年前の旧石器時代の洞窟壁画に、顔に赤い顔料を塗った人物が描かれていたり、赤い顔料のついた人骨が発見されていたりと、顔や体に塗料を塗る行為が化粧の起源されています。

こういった化粧行為は、狩りなどの際に周囲の自然に同化するカモフラージュ、襲いかかってくる獣を怯(ひる)ませる威嚇神や自然を祭る呪術や信仰のために行われていたと言われています。化粧行為は「実用的」な用途から生まれたものと言えるでしょう。

また、エジプトでは3000年前のスキンケア化粧品であるスキンクリームが入った化粧瓶も発掘されています。このスキンクリームは、動物性脂肪9:樹脂1の割合で作られていたことがわかっています。

日本では、縄文時代につくられた土偶の顔面に、ある装飾や5~6世紀のハニワの顔にある赤い彩色が古代の化粧と考えられています。3世紀末の中国の書物には、古代日本人の赤色の化粧などの記述があり、最も古い化粧に関する資料とされています。

その後、1950年代にアメリカで始まったアイメイクブームにより日本でもアイラインやマスカラ、アイカラー等が一般化し、1970年代にはほぼ現在のメイクの形に至りました。

化粧をする理由

化粧は自己表現の手段でもあり、化粧によって、シミや傷を隠したり、紫外線や乾燥や乾燥から肌を守ったり、自己の外面の不満や欠陥をカバーし美しさを高めることができます。化粧行為は変身願望の充足や今の自分と違った新しい自分をつくるという創造の楽しさなどにつながり、外見的な魅力が高まった結果、自分への自信が生まれ、行動が活性化されることが確認されています。

化粧心理学において化粧する理由は「リラクゼーション」「自己表現」「カムフラージュ(隠す・補う)」の3つに大きく分類されています。

この3つの中でも、化粧心理学の研究者の統計によると、日本やアメリカなどの先進国における「化粧する理由」で大多数を占めるのは「自己表現」のためと言われていて、メイクセラピーにおいても「自己表現のための化粧」という観点からクライアントを支援していくことになります。

化粧療法のメリット

化粧療法(メイクセラピー)については、化粧品会社・心理学研究者・医療や介護関係者など多くの研究や実験を行い、結果を発表しています。メークアップなどの美容は、非薬物療法の一つとして、認知機能や感情機能、ADL(日常生活の動作)機能に有効であると考えられてきましたが、医学的なエビデンスは不十分でした。最近では、AIによる客観的な顔診断により、即時に認知症高齢者の喜びの感情が増加することがわかってもいます。

では、実際に化粧することでどのようなメリットがあるのでしょう。

気持ちが前向きになる

スキンケアを丁寧に行う・化粧を毎日するという人は、生きがいや幸せを感じる人が多い傾向があると言います。また、高齢女性に限っては化粧をする人ほど外出頻度が高くなっているという傾向もあるようです。化粧は生きがい向上や、コミュニケーションの促進につながっていると言えます。

ストレスホルモンが減少

化粧前と化粧後ではストレスを受けると増加するコルチゾールというホルモンの濃度が減少することが分かっており、ストレス軽減につながるとか。

活性酸素の増加を防ぐ酵素の活性が上昇

近年、老化の原因の1つが活性酸素の増加であるということが注目されていますが、化粧をすることで活性酸素を抑える機能に役立つカタラーゼとSOD(スーパーオキサイドディスタムターゼ)が活性されるということが確認されています。

脳が活性化する

化粧は視覚・聴覚・嗅覚・触覚を刺激します。
また、化粧する前よりも化粧後の方が脳の血流が高まり、脳波も正常なパターンに近づくと言われています。
化粧療法を継続した群は、継続しなかった群に比べて3ケ月後の認知機能の低下が抑制されたこともあり、化粧による認知症の症状軽減も期待されています。

身体機能のアップ

毎日化粧することで握力や筋力が向上し、化粧療法を実施した人は食事やトイレ、移乗などの際にかかる介護負担が軽減したとの実験結果もあります。

 

化粧療法は年齢や健康状態を問わないため、誰でも取り入れることができます。
近年では、特に医療福祉分野での活用が期待されています。

医療機関などでは、心理療法の一環として精神疾患のある人や、認知症の人、がん患者などを対象に行われています。
病気が原因で、心が落ち込みがちになってしまった心に活力を与える役割りを果たします。

女性が日々行っているメイクアップは、美しく彩ったり、華やかに見せたりと、外見的評価を高めるために行われますが、気分を高揚させたり、リラックスさせるなどの心理的影響にも効果があることが知られています。

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