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サプリメントで見かける「指定成分」とは?

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サプリメントで見かける「指定成分」とは?

商品パッケージに「指定成分等含有食品」と表示されたサプリメントが販売されています。「指定成分」とは何でしょうか。「健康に良い特別な成分では?」と思う方もいるかもしれませんが、食品衛生上の危害の発生を防止する見地から特別の注意を必要とする成分です。「指定成分」について解説します。

「指定成分」の意味を知ろう!

「指定成分」とは、健康被害の発生を防止する観点から、特別な注意が必要な成分・素材を意味します。

国が導入した制度によって、「指定成分」を含むサプリメントなどの食品には、商品パッケージに「指定成分等含有食品(〇〇〇:具体的な成分・素材名)」と表示しなければなりません。

これと合わせて、「体調に異変を感じた際は、速やかに摂取を中止し、医師に相談してください。加えて、体調に異変を感じた旨を表示された連絡先に連絡してください」の表示も必要です。

表示だけでなく、販売会社と製造会社には、健康被害が発生した場合、都道府県への届出が義務づけられています。さらに製造会社には、製造管理手法の「GMP(Good Manufacturing Practice:適正製造規範)」の導入も求められます。

こうした取り組みは厚生労働省と消費者庁により、2020年6月1日からスタートしています。

「指定成分」制度が導入された理由

「指定成分」制度の導入は、プエラリア・ミリフィカを含むサプリメントによる健康被害が多発したことがきっかけ。プエラリア・ミリフィカはマメ科の植物で、タイなどに生息。「白ガウクルア」とも呼ばれます。

プエラリア・ミリフィカを含むサプリメントを摂取した女性から、2012年~17年4月の期間に(独)国民生活センターへ209件の健康被害情報が寄せられました。プエラリア・ミリフィカに「デオキシミロエストロール」「ミロエストロール」という物質が含まれ、それらが女性ホルモンに似た作用を持つため、若い女性の利用者も多く、月経不順や不正出血といった健康被害が多数報告されています。(プエラリア・ミリフィカに含まれる成分は、大豆イソフラボンと比べてエストロゲン活性の強さが1,000倍~1万倍と言われています。)

「指定成分」には4種類の成分・素材

では、「指定成分」にはどのようなものがあるのでしょうか。現在のところ厚労省は、「プエラリア・ミリフィカ」「コレウス・フォルスコリー」「ブラックコホシュ」「ドオウレン」の4種類を定めています。

コレウス・フォルスコリーも女性に人気の成分で、多数のサプリメントが販売されています。インド原産の多年草本で、「フォルスコリン」という物質を含みますが、下痢などの健康被害が問題視されています。

ブラックコホシュはキンポウゲ科の植物。海外諸国では肝機能障害などの健康被害が報告されています。日本では、サプリメント原料として多くの商品に使用されています。

ドオウレンは北アフリカ原産のケシ科の植物。肝機能障害が多発したため、ドイツ、カナダ、オーストラリアでは注意喚起や食品への使用を規制する動きが見られます。日本国内の状況を見ると、現在のところサプリメントへの利用はほとんどありません。

制度のスタート後の健康被害の報告

「指定成分」制度は健康被害を未然に防ぐことが目的ですが、制度のスタート後も多数の健康被害情報が厚労省へ寄せられている現状。

2020年(6月~12月)はコレウス・フォルスコリー106件、ブラックコホシュ70件などの合計198件。21年(1~8月)はコレウス・フォルスコリー91件、ブラックコホシュ31件などの合計137件となっています。

使用する場合は細心の注意を

「指定成分」を含むサプリメントを利用する場合には、そもそも摂取する必要性があるか、摂取する目的が適切か、という点について十分に考えてみましょう。摂取量についても、商品パッケージに表示している「1日摂取目安量」を厳守することが大切です。

疾病をお持ちの方や妊娠中の女性などは利用を避けてください。特に未成年者は使用しないように注意しましょう。
 

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