屋根がなくても太陽光を導入できる!太陽光の余剰電力を企業や地域でシェアする新サービス「循環型電力」って?

政府や企業が脱炭素に向けて多くの課題を抱えている昨今。「脱炭素に取り組みたくても設置場所やコストの問題で踏み切れない」という悩みを持つ企業も少なくありません。そんななか、太陽光オンサイトPPA(企業などの需要家が自社の敷地内に設置した太陽光発電設備から電力を購入する契約)の最大手として、1,200施設以上の開発実績がある株式会社アイ・グリッド・ソリューションズは脱炭素とコスト削減を両立する新サービス「循環型電力」を開始することを発表しました。
太陽光パネル発電における需要と供給のアンバランスを解決する「循環型電力」
「循環型電力」とは、自社の太陽光パネルで発電した余剰電力を企業や地域にシェアするサービス。屋根上や駐車場などに設置した太陽光パネル等の発電設備で、自家消費分以上に生み出した再生可能エネルギーを地域の別の施設に供給するというもの。同社はこれまでも屋根上や駐車場上の太陽光発電を行っており、現在は全国で1200以上の施設の導入実績を誇るものの、そのうちの305施設で余剰電力が発生しているそうです。
一方で賃貸物件や築古施設など施設の条件により太陽光パネルが設置できない企業もあり、再エネ導入が進まないという課題も抱えてきました。こうした太陽光パネル発電における需要と供給のアンバランスさを解決するのが「循環型電力」なのです。「循環型電力」を活用することで、太陽光パネルの設置が困難とされてきた施設でも「設置工事不要」、「最短2か月」で再エネ導入を可能にし、企業の脱炭素経営を強力に後押しするとのこと。
また契約期間は20年間定額で安定した電力供給が実現されます。余剰電力量の精密な予測を可能にする同社独自のAIプラットフォームは全国の再エネルギーをネットワーク化し、余剰電力量の予測と運用ができ、安定した電力を送ることができるそうです。
これからは「余剰電力を捨てない」も大きな社会課題に
これまで一般家庭では導入してきた循環型電力を今回は施設や企業向けに開発した同社。現在はまだ都心などでは導入実績がないので、今後は都心の施設でも導入できる場所があれば積極的に推進していく予定とのこと。
また代表取締役社長の秋田智一さんは発表会にて「現在、日本のエネルギー自給率は約10%と低く、太陽光発電におけるエネルギー受給率の低さは世界的に見ても日本特有の最大の課題です。そのような課題にも向き合い、これからは太陽光発電施設で使い切れない地域の電力を地産地消し、全国に循環型電力を広げていくことで地域経済の循環にも貢献していきたい」と語りました。
近年、気候変動や情勢が不安定などから東電エリアの市場価格変動幅は拡大。経産省は2026年度から化石燃料や利用が多い工場や店舗を持つ1万2000事業者に屋根置き太陽光パネルの導入目標の策定を義務づけるとしています。第7次エネルギー基本計画では、2040年までに太陽光発電で賄う電力を現在の3倍の3480億kwhとする見通し。同社はこれからも捨てない再エネで日本のGXをリードしていくと決意を新たにしていました。
これまで太陽光パネル設置に踏み切れなかった企業にとって助け舟ともなるであろう循環型電力。「余剰電力を捨てない」社会の実現に向け、期待に胸が膨らみます。