白髪は老化のせいだけじゃない!最新研究から見えてきた白髪のメカニズムと白髪ケアの最前線

年齢を重ねると、ちらほら目立ち始める白髪。他人からも見えてしまうからこそ気になりますよね。実は、白髪が生まれる背景にはさまざまな原因があります。さらに近年の研究により、新しい白髪発生の仕組みも少しずつ明らかになってきました。
今回は白髪のメカニズムと最新の研究結果を踏まえた白髪ケアの最前線をわかりやすく解説していきます。
髪の色は”色素のリレー”で決まる
髪の毛は「毛母細胞」という細胞からつくられます。そのすぐ近くには、髪の色を生み出す「色素細胞(メラノサイト)」があり、ここでつくられた色素カプセル「メラノソーム」が毛母細胞に届けられることで、髪の毛に黒や茶色などの色が生まれます。
毛母細胞と色素細胞は別々に存在しているため、この“メラノソームの受け渡しリレー”がスムーズに行われることが、髪色を決める大切なポイントです。

しかし、何らかの原因で色素細胞が減ったり死んでしまったり、受け渡しが出来なかったりすると、“メラノソームの受け渡しリレー”が途絶えてしまいます。すると毛母細胞で色がない髪が作られ、白髪として生えてきてしまうのです。[※1]
白髪の原因は多種多様
髪の色の決定には色素細胞と毛母細胞の ”メラノソームの受け渡しリレー” が重要だとお伝えしました。実は白髪はさまざまな原因によって発生するといわれています。
- 加齢:年齢による色素細胞の減少や死滅
- 遺伝:家族に若白髪や白髪の発生が早い人がいれば要注意
- 環境要因:紫外線ダメージ、頭皮の乾燥や頭皮の荒れなど
- ストレス・生活習慣:酸化ストレスや睡眠不足により色素細胞の減少や死滅
- 栄養不足:栄養バランスの低下、特にビタミンB12や鉄不足
- ホルモンバランス:更年期や体調の変化により色素細胞や毛母細胞の働きが低下
- 薬や喫煙:頭皮への血流不足や頭皮への影響
- メラノソーム輸送不全:色素は作られても毛母細胞まで届かない
最新研究でわかった「コリネバクテリウム」原因の白髪発生の可能性
最近の研究では、白髪の発生に頭皮の常在菌が関わっているのではないか?と考えられており、「コリネバクテリウム」という菌に注目が集まっています。
頭皮が赤みを帯びている人や白髪や薄毛に悩む人を調査した結果、頭皮にコリネバクテリウムが多く存在していることが判明しました。
コリネバクテリウムが増えすぎると頭皮の常在菌のバランスが崩れ、毛根の細胞の働きが弱まってしまうのです。結果としてこれが白髪の引き金ではと考えられています。[※2]
まだまだ仮説の段階ですが、頭皮の菌のバランスの乱れによって白髪発生が高まるかもしれないという新しい見方が出てきているのです。
メロン果汁が白髪ケアの未来を変えるかも?
白髪の原因のひとつが「酸化ストレス」です。これは体が酸素を使って食べ物からエネルギーをつくるときに出る「活性酸素」が増えすぎてしまうことを指します。
イメージするなら、体の中で栄養をガソリンのように燃やすときに生まれる煙が活性酸素。その煙がたまりすぎると肌や髪にダメージを与えてしまいます。
活性酸素は髪の“メラノソームの受け渡しリレー”が滞ってしまう原因のひとつと考えられており、白髪の原因に深く関わっています。
そんななか、美容メーカー・ミルボンは、メロン果汁に含まれる抗酸化成分がメラニン色素の輸送向上させるとの研究結果を発表しました。メロン濃縮果汁濃縮を20週間連続して経口摂取することで、白髪増加が抑制されていたそうです。[※3]
メロン抽出物が白髪の進行を緩やかにする可能性があるのです。今後の研究結果次第で白髪ケアに大きな変革を与える日が来るかもしれませんね。

白髪はメラノソームが作られなくなる、毛母細胞にメラノソーム届かなくなるという“メラノソームの受け渡しリレー”の乱れによって生まれます。その原因には加齢だけでなく、生活習慣や頭皮環境、常在菌、そして酸化ストレスなど、さまざまな要因が関わっています。
つまり白髪は年齢のせいだけではないのです。研究が進む今、従来とは違うまったく新しい白髪ケア方法が現れるかもしれません。今後の研究に期待が高まります。
参考資料
※2 ”頭皮の慢性的な炎症とスカルプフローラのバランスが関連することを発見” . 2018年7月18日. ミルボン ニュースリリース
※3 ”経口摂取による白髪の抑制効果を確認 ~メロン果汁濃縮物により、メラニン色素の輸送遺伝子の発現量が向上~” . 2025年4月11日. ミルボン ニュースリリース
”加齢に伴う白髪化の新たなメカニズムを解明 ~メラニン色素の輸送異常が関与~” . 2021年8月25日. ミルボン ニュースリリース