「花粉・ほこり・ハウスダスト」対応の機能性表示食品とは?
春先になると、気になるのが花粉の飛散。健康食品の広告も、花粉症への効果をイメージさせるものが増えてきます。しかし、現在のところ、「花粉」と表示できるのは機能性表示食品だけで、その場合も、花粉症への効果をイメージさせないように「花粉・ホコリ・ハウスダスト」と表示する必要があります。「花粉・ホコリ・ハウスダスト」に対応した機能性表示食品について解説します。
2月末現在で4商品が登場
健康食品の広告のなかには、花粉症への効果をうたったものがあります。また、直接的な表現を避けた広告も。たとえば、ティッシュで鼻をかんだり、目をこすったりする人の写真などを使って、花粉症への効果をイメージさせるような表現です。きっとあなたも、ウェブ上で見かけたことがあるのではないでしょうか?
しかし、食品で花粉症への効果を表示したり、またはイラスト・写真を用いて花粉症への効果をイメージさせたりすることは法律で禁止されています。この点は、特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品も同じです。
食品で花粉症という言葉を用いることはNG。
ただし、機能性表示食品では「花粉・ホコリ・ハウスダスト」と表示した商品が登場しています。現在のところ、機能性の説明で「花粉」の文字を使用している食品は機能性表示食品だけです。
2021年2月末現在で、表示に「花粉」の文字を含む機能性表示食品は4件。表現方法は次の2通りがあります。
「花粉、ホコリ、ハウスダストなどによる鼻の不快感を軽減することが報告されています。」
「花粉やハウスダスト、ホコリなどによる目の不快感を軽減することが報告されています。」
各商品に含まれる機能性関与成分はそれぞれ異なります。現時点では酢酸菌、ロズマリン酸、ビフィズス菌の3つです。
花粉症患者を対象としていない点に注意
機能性表示食品で「花粉」の文字を用いることについては、制度を所管する消費者庁で慎重に判断したと考えられます。というのも、一般消費者が機能性表示食品の広告を見て、「花粉症に効きそう」と誤解する可能性があるからです。本来、耳鼻咽喉科に受診しなければならない症状の方が、機能性表示食品で改善できると誤解すると、受診せずに症状を悪化させてしまう恐れがあります。
機能性の表示で「花粉・ホコリ・ハウスダスト」と列挙しているのは、一般消費者にそうした誤解を与えないようにするためと言えます。
次に、「本当に効果があるの?」という疑問が出てきそうですね。正しく理解するために、機能性表示食品の届出資料にある研究結果を紹介します。
現在公表されている4商品は、研究レビューという方法で機能性を証明しています。研究レビューとは、世界中の関連する研究論文を取り寄せて、効果の有無を総合的に評価する手法です。
4商品の研究論文の数は、2商品が1本、残りの2商品が4本と報告されています。必ずしもとは言い切れないのですが、基本的に研究論文の数が多い方が、より信頼できると言えます。
それぞれの研究論文を見ると、試験に参加した人は「健康な人」または「アレルギー治療薬を常用していない人」となっています。具体的に見ると、花粉やハウスダストが原因で鼻や目に不快を感じる人で、医師から疾病ではないと判断された人を試験の対象としています。つまり、花粉症患者は含まれていないわけですね。
各研究では、花粉の飛散期の鼻の不快感や、総合的な不快感が軽減されたと報告しています。つまり、薬のような効果はないけれど、「花粉症まで至らない健康な人の鼻や目の不快感を軽減する」という効果は確認されていることになります。
ここまで解説してきたように、「花粉・ホコリ・ハウスダスト」の機能性表示食品は、花粉症患者でない「健康な人」が使用してはじめて一定の機能性が期待できます。正しく理解して、上手に活用してみましょう。