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脂肪酸ときくと体に悪いイメージがあるけど実際どうなの?

カラダ
YOKARE編集部
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脂肪酸ときくと体に悪いイメージがあるけど実際どうなの?

最近話題となっている脂肪酸。「脂肪」というネーミングがなんとなく体に悪そうなイメージはありませんか?不飽和脂肪酸とかトランス脂肪酸とか、名前をみるだけではいまいちピンとこないこともその理由の一つかもしれません。こちらの記事では脂肪酸について簡単に解説していきます。

脂肪酸ってなに?

ヒトが活動していく上で欠かせない成分が、炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルという五大栄養素。その中でも脂質は効率のいいエネルギー源であり、その脂質の90%を占めるのが脂肪酸です。この脂肪酸の種類や構成によって、脂肪の性質が決まると言われています。脂肪酸はざっくりと以下の4つに分類することができます。

飽和脂肪酸

飽和脂肪酸は肉やバター、チョコレートなどに多く含まれる脂肪酸のことで、動物性の脂肪の中に多く含まれています。

融点が70℃近いことから、常温でかたまっている「脂」のことと理解するとわかりやすいかもしれません。 これまでの様々な研究から飽和脂肪酸が体や脳に与える影響としては、以下のことが発表されています。

このように飽和脂肪酸をとりすぎることで心臓や脳へのリスクが高まるため、とりすぎは望ましくありません。ただし、最近の研究では飽和脂肪酸の摂取量と脳卒中のリスクは反比例になるとも言われ始めており、一概に摂らなければいいという話しでもなさそうです。

一価不飽和脂肪酸

主にオレイン酸と呼ばれる脂肪酸のことで、オリーブオイルやキャノーラ油、べにばな油、なたね油などに多く含まれています。

酸化されにくい性質をもつため加熱する料理に適しており、飽和脂肪酸の代わりに摂ることで善玉(HDL)コレステロールはそのままに動脈硬化の原因となる悪玉(LDL)コレステロールを減らす性質があります。 体内で作ることができるため、必須脂肪酸には分類されていません。

多価不飽和脂肪酸

体内で作ることができない脂肪酸のことで必須脂肪酸と呼ばれています。多価不飽和脂肪酸は化学的な構造の違いから、オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸に分類されます。オメガ3系脂肪酸の代表例がDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)。

青魚の油に多く含まれているので、なんとなく名前を聞いたことがある人は多いかもしれません。

どちらもサラサラな油ですが、役割が少し異なります。 DHAは脳や目(網膜)の脂質成分であり、記憶力や集中力の維持、目の健康を維持するために重要な役割を担っています。特に成長期の脳に欠かせないと言われており、1989年に北ロンドン大学・脳栄養化学研究所所長のマイケルクロフォード博士が著書の中で「日本の子供の知能指数が高いのは、小さい頃からよく魚を食べるからではないか」と言ったほどです。 EPAは血液や血管などの循環器系の健康維持に必要で、血液サラサラ効果や中性脂肪を低下させる作用が期待できます。

えごま油などに入っているα-リノレン酸は体内に入った後に代謝されてDHAやEPAとなります。

トランス脂肪酸

トランス脂肪酸は植物油を加工する過程でできる脂肪酸のことで、健康に対するマイナス面が多く報告されています。マーガリンやファットスプレッドやショートニング、それらを原料としたパン、ケーキ、ドーナツなどにはトランス脂肪酸が含まれていることが多いです。

ちなみに牛や羊など反芻して食事をする動物の場合、胃の微生物の働きによってトランス脂肪酸が作られるそうです。そのため、ごく微量ながら牛肉や羊肉、牛乳には天然のトランス脂肪酸が含まれるようですが、人体に悪影響を及ぼさないと報告されています[※1]。 人工のトランス脂肪酸の場合、日常的にとりすぎると生活習慣病になるリスクが高まるのでとりすぎないように注意しましょう。

※1 工業的に製造されたトランス脂肪酸と天然に存在するトラ ンス脂肪酸の違いについて|IDF栄養ホームページより(訳:を JIDF 事務局)

なにごともバランスが大事

このように脂肪酸にもさまざまな種類のものがあり、飽和脂肪酸であったり人工のトランス脂肪酸はとりすぎない方がいいだなということがわかりました。では、できるだけとらない方がいいのかというと決してそんなことはありません。飽和脂肪酸も取らなさすぎると脳卒中のリスクが高まるとも言われていますし、なにごともバランスが大事になってきます。 現在、望ましいと言われている脂肪酸摂取のバランスは、飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸=3:4:3と言われています。さらに多価不飽和脂肪酸にはオメガ6系とオメガ3系があるというお話しをしましたが、これもオメガ6系:オメガ3系=4:1が望ましいと言われています。 そして、全エネルギー摂取の20%ほどに脂質を抑えておくのが理想的です。とりすぎもよくないですし、とらなさすぎもよくありません。どうしても〇〇が良くない、という話しが出てくると極端に減らす方が多いのですが、やりすぎるとまた別の弊害が出てしまいます。バランスの良い食事を心がけるようにしましょう。

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