「血圧が高めの方」に向けた機能性表示食品
摂取対象者を理解して賢く活用
「最近、血圧がやや高め。なんとかしないと」と悩んでいませんか?自覚症状がないため、ついつい放置しがちですが、油断すると危険です。正常値よりもわずかにオーバーしている程度の方は、服薬の必要はなく、食事や運動で対応することになります。そこにプラスしたいのが、「血圧が高めの方」に向けた機能性表示食品です。
「血圧」関連商品は500件超、人気ジャンルを形成
機能性表示食品制度は消費者庁が所管。販売者が有効性と安全性を確認し、その根拠となる資料を消費者に届け出るという仕組みです。届出資料に問題がなければ、商品に具体的な有効性を表示することができます。
「血圧」に着目した機能性表示食品の届出件数は、2022年7月3日現在で約550件に上ります。全体の約1割を占めるほど、人気のあるジャンルです。
商品形態は約6割が加工食品、3割強がサプリメント、生鮮食品が1割弱の内訳。加工食品では飲料や野菜ジュースをはじめ、調味料・食用油、コーヒー・紅茶、ヨーグルト・ゼリー、菓子、スープ・みそ汁などがあります。
生鮮食品はトマトとバナナが代表的な品目。そのほか、ブドウ、大豆もやし、パプリカ、ナス、ケールなどがあります。
「血圧が高めの方」が摂取対象者
有効性に関する表示の代表例を以下に挙げてみました。
- 「血圧が高めの方に適した機能」
- 「血圧が高めの方の血圧を改善する機能」
- 「血圧が高めの方の血圧を下げる機能」
共通しているのは「血圧が高めの方」という点。では、「血圧が高めの方」とはどのような人のことでしょうか。
機能性表示食品の摂取対象者には、病者は含まれません。「血圧」についても同様で、「高血圧」の方は摂取対象者ではありません。
摂取対象者の範囲を具体的に見ると、血圧が正常値をわずかに超えた方で、数値で言えば、収縮期血圧130~139mmHgまたは拡張期血圧85~89mmHgの方です。
機能性表示食品は「血圧が高めの方」に向けたものであり、「高血圧」の方ではありません。この点を十分に理解して利用しましょう。
配合成分はGABA、リコピンが人気
「血圧」の機能性表示食品の配合成分には、さまざまなものがあります。そのなかで圧倒的に多いのがGABA(γ-アミノ酪酸)。GABAはアミノ酸の1種で、トマトやジャガイモ、ブドウ、大豆などに豊富に含まれています。
リコピンも代表的な配合成分の一つ。リコピンはトマトなどに含まれる色素成分で、カロテノイドの1種です。
このほか、サーデンペプチド、α-リノレン酸、大豆ペプチド、コーヒー豆由来クロロゲン酸類、納豆菌由来ナットウキナーゼ、酢酸などがあります。
システマティック・レビューで有効性を確認
「血圧」の機能性表示食品の有効性は、どのように確認されているのでしょうか。
届出のほとんどは、システマティック・レビュー(SR)と呼ばれる手法を用いています。SRは、販売予定の商品に当てはめること(成分配合量や商品形態など)が可能な研究論文を収集し、総合的に判断するというもの。
たった1つの研究では信頼性は低いのですが、SRでは複数の研究結果を総合的に判断することから、より信頼性が高いと言えます。
例えば、GABAを機能性関与成分とした商品では、10報以上の研究論文を採択し、総合的に有効性を判断しています。
それぞれの研究では、被験者を2つのグループに分けて、GABAを配合した食品と、GABAを配合しない食品(プラセボ)を原則12週間ほど摂取してもらい、血圧の低下の違いを検証しています。
「血圧」については試験の被験者に、Ⅰ度高血圧(収縮期140~159mmHg、拡張期90~99mmHg)の軽症者も含めることが可能とされています。ただし、これは機能性表示食品の試験に関するルールであって、摂取対象者に軽症者(Ⅰ度高血圧)は含まれません。機能性表示食品は高血圧の方に向けたものではありませんので、この点に注意してくださいね。
食生活の見直しが基本
機能性表示食品もプラスアルファで活用。健康診断で「血圧がやや高めですね」と注意されたら、医師の指導に従って、食事の見直しや適度な運動に取り組むことが重要です。
さらに、プラスアルファの形で機能性表示食品を上手に活用することも、あなたの健康をサポートしてくれるでしょう。