メニューを閉じる
メニューを開く
  • 食・料理
  • 美容
  • カラダ
  • 食育
  • SDGs

スポーツドリンクは「経口補水液」は許可された商品を

カラダ
YOKARE編集部
プロフィール画像
スポーツドリンクは「経口補水液」は許可された商品を

夏場になると、熱中症対策や脱水症対策といったスポーツドリンクの宣伝が目立つようになります。これは「経口補水液」というジャンルですが、安易に利用すると健康に悪影響を及ぼすことも。「経口補水液」の適切な使い方についてお話します。

スポーツドリンクに含まれる電解質とは?

熱中症対策や脱水症対策をうたうスポーツドリンクなどの広告には、スポーツ時や激しく汗をかいた時に「水分と電解質を補給」といった説明が出てきます。

電解質は、水に溶けると電気を通す性質の物質で、代表的なものにナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどがあります。電解質は、細胞の浸透圧の調整や神経の伝達などに関与します。

人の汗には水分のほか、ナトリウムやカリウムなどが含まれていて、汗をかくと、水分だけでなくナトリウムやカリウムなども失われます。そこで、私たちの体液と同じようなイオンバランスを持たせるために、電解質をプラスしているわけです。

無許可の「熱中症」「脱水症」表示は違法

ところで、広告で熱中症対策や脱水症対策をうたう商品も少なくありません。しかし、そもそも「熱中症」「脱水症」は疾病名であり、そうした表現を宣伝に用いると、医薬品医療機器等法(薬機法)や健康増進法に違反してしまいます。

「熱中症」「脱水症」という表示が許されているのは、消費者庁の特別用途食品制度の許可を受けた商品だけです。さらに言えば、「経口補水液」も本来、同制度の許可を得ていない商品には表示できません。

無許可の商品には健康面の“落とし穴”も

特別用途食品制度の許可を得ていない商品には、意外な“落とし穴”があります。

電解質をプラスしたスポーツドリンクなどは、コーラやジュースといったソフトドリンクと一緒の棚で販売され、日常的に利用されがちです。

同制度の許可を得た「経口補水液」は、軽度から中等度の熱中症や脱水症の方を対象とし、その旨を商品パッケージに表示していますので、どのような場合に利用するのかが明瞭です。これに対して無許可の商品では、表示内容も販売方法もソフトドリンクと変わらず、消費者にとっては、どのような場合に利用すべきなのかがあいまいです。

無許可のスポーツドリンクなどにも、ナトリウムやカリウムが添加されている商品が多いため、脱水状態でない方が日常的に利用すると、ナトリウムの過剰摂取につながります。

また、無許可の商品では、ナトリウムやカリウムなどの配合割合にもバラツキがあり、脱水状態の方が利用した場合、症状を改善できるかどうかも不明です。

特別用途食品制度の改正で「経口補水液」を新設

こうした現状にメスを入れようと、消費者庁は特別用途食品制度を見直して、「経口補水液」を許可基準型病者用食品として新設することを決定しました。2023年度の早期にスタートさせる予定です。

これまで同制度では、「経口補水液」については、企業から申請があれば、個別に学術データを提出してもらって、専門委員会で許可の判断を行ってきましたが、制度上に「経口補水液」というカテゴリーはありませんでした。改正によって、制度上に「経口補水液」を新設し、国が定めた規格基準をクリアすれば、特別用途食品の「経口補水液」と表示できるようにします。

規格基準は、ナトリウムが100mlあたり92~138mg、カリウムが59~98mg、ブドウ糖が1.35~2.50gなどとする予定。これは、WTOガイドラインや科学的知見を踏まえて設定したものです。

改正後、一定の経過措置期間を設けて、無許可の商品については「経口補水液」の表示を禁止します。これによって、電解質を含むスポーツドリンクなどの誤った利用を防止する考えです。

新設する許可基準型病者用食品の「経口補水液」では、「感染性胃腸炎による下痢・嘔吐等の脱水状態に適する」旨を表示します。一方、「熱中症」「脱水症」対策を表示する場合には、従来どおり、個別に申請して許可を得る必要があります。

特別用途食品の「経口補水液」なら安心

前述したように、脱水状態でない方が、電解質を添加したスポーツドリンクなどを安易に飲むのは、ナトリウムの過剰摂取になる恐れがありますので、くれぐれも注意してくださいね。

脱水状態の方が水分補給を行う場合には、特別用途食品として許可を得た商品を選ぶようにしましょう。
 

SHARE