適度な運動と機能性表示食品で「歩行能力」を維持
「年をとっても元気に外出したい」と思っていても、加齢に伴って足の筋力が弱くなったり、筋肉の量が減少したりして、歩行能力は衰えがちです。そうなる前に、日頃から適度な運動を続けることが大切。それをサポートしてくれる機能性表示食品の活用も有効です。「歩行能力の維持」に着目した機能性表示食品が注目されています。
サプリメント・飲料・ゼリーなどをラインアップ
機能性表示食品を販売する企業には、有効性と安全性を裏づける科学的な根拠を消費者庁へ届け出ることが求められます。提出資料に不備がなければ、商品に効果を表示できます。
「歩行能力の維持」をサポートする機能性表示食品は、現在11商品が販売されています(2023年3月20日現在)。
そのうちの約8割をサプリメント形状の商品が占めます。サプリメント以外では、飲料やゼリーなどがあります。中高年の男女をターゲット層とし、人気ジャンルに成長しつつあります。
スムーズな歩行を維持したい中高年に
「歩行能力の維持」の機能性表示食品は、どのような方に適しているのでしょうか。各商品のパッケージには、次のような表示が見られます。
- 自立した日常生活を送る上で必要な筋肉量と筋力・筋持久力の維持に役立つ。
- 歩行能力の維持に役立つ。
- 足の曲げ伸ばしなどの筋肉に軽い負荷がかかる運動との併用で、年齢とともに低下する足の筋力に作用し、中高年の歩行能力の向上に役立つ。
このように、日常生活に必要な筋力・筋肉量を維持したい、スムーズな歩行を維持したい、と考える中高年に向けた商品です。
注意しなければならないのは、期待できる効果は「歩行能力の維持」であり、「改善」ではないという点です。
HMBカルシウム、黒ショウガのフラボノイドが2大成分
配合される成分(機能性関与成分)には、いくつかの種類がありますが、「HMBカルシウム(3-ヒドロキシ-3-メチル酪酸カルシウム水和物)」と「ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボン」が2大成分と言えるでしょう。
HMBカルシウムの「HMB」とは、必須アミノ酸である「ロイシン」の代謝産物のこと。私たちは食事からロイシンを摂取し、体内でHMBを生成します。HMBは筋肉をつくる作用などに関与します。
しかし、ロイシンから生成されるHMBの量は5%程度。そこで、HMBをカルシウムと結合させて、効率的に摂取できるようにしたのがHMBカルシウムです。
ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボンは、東南アジア原産の黒ショウガに含まれる成分。
黒ショウガはタイでは「クラチャイダム」と呼ばれ、古くから根茎部を食用としてきました。ポリメトキシフラボンは、ポリフェノールであるフラボノイドの1種です。
6分間歩行テストなどで有効性を確認
販売各社は、有効性について主に「研究レビュー」と呼ばれる手法で確認しています。これは、過去の研究論文を収集して総合判断するというもの。
ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボンについては、軽い運動とともに、同成分12 mgを8週間摂取させたところ、6分間歩行テストでプラセボ群(見た目や味は薬と同じで薬効成分を含まないもの)と比較して歩行距離が増加した、という研究成果などがあります。
HMBカルシウムについても研究レビューの結果、1日1.5gの摂取で、筋肉量・筋力・歩行機能などの維持が期待できると判断した、と報告しています。
機能性表示食品がアクティブな毎日をサポート
いつもまで元気に日常生活を送ったり、アクティブに外出したりしたいものですね。“転ばぬ先の杖”ということわざがありますが、健康なうちから適度な運動を心がけて、足の筋力や筋肉量、歩行能力が衰えないように注意しましょう。それにプラスして、機能性表示食品を上手に活用してみてはいかがでしょうか。