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春先にも発生する?台所に潜む食中毒の温床と対策

食・料理
ふかいちひろ
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春先にも発生する?台所に潜む食中毒の温床と対策

「食中毒」といえば、湿度・温度が高い梅雨の時期から夏にかけて、多く発生すると思われがちですが、1年中発生しています。近年、地球温暖化により気温が上昇していることや、一年中を通して空調設備のある屋内で生活することが多いため、夏以外の季節でも気をつける必要があります。

台所に潜む食中毒とは

食中毒というと、飲食店や給食など家庭以外で発生しているイメージがありますが、実は毎日食べている家庭の食事でも発生しています。家庭における食中毒は、症状が軽かったり、家族全員には症状が出なかったりする場合もあるため、食中毒であると気づかないことも多いようです。

では、実際にどのような食中毒菌が存在し、家庭内のどういった場面で発生しやすいのでしょうか?

食中毒菌の種類

細菌性食中毒、ウイルス性食中毒、寄生虫食中毒、科学性食中毒、自然毒食中毒といったように食中毒にも様々な種類があります。

食中毒 細胞性食中毒 感染型 サルモネラ属菌、腸炎ビブリオ、病原性大腸菌、ウェルシュ菌、エルシニア菌、カンピロバクターなど
毒素型 黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌、セレウス菌(嘔吐型)など
ウイルス性食中毒 ノロウイルス、A型肝炎ウイルスなど
寄生虫食中毒 クドア、サルコシティス、アニサキス、クリプトスポリジウムなど
科学性食中毒 水銀、ヒ素、ヒスタミンなど
自然毒食中毒 動物性 フグ毒、貝毒など
植物性 毒キノコ、ジャガイモの芽など

一年を通して、湿度・気温が高い夏頃が「細菌性食中毒」、冬が「ウイルス性食中毒」、春や秋が「自然毒食中毒」が多発する傾向にあります。また、食中毒と診断された人のうち、約4割は細菌、約5割はウイルスが原因との結果も出ています。

食中毒菌の発生場所

家庭内で食中毒菌が発生しやすい所についてお話します。

まな板

まな板

家庭での食中毒が起こる原因の一つの原因はまな板です。肉、魚、野菜など、生の食材を調理することが多いため、どうしても菌が付着してしまいます。また、菌はまな板の傷の中にも侵入するで「見た目にきれいなので大丈夫!」と思ってさっと洗うだけでは洗い流しきれず、雑菌が繁殖してしまうことになります。

布巾・スポンジ

布巾・スポンジ

水に濡れた布巾やスポンジも食中毒菌が繁殖しやすい場所の1つです。食中毒菌は、水分・温度・栄養の3つの条件がそろうと繁殖します。汚れをしっかり落としきれていない布巾を水に濡らし、テーブルなどを拭いた場合は、逆に雑菌を広げていることになります。

テーブル・調理台

テーブル・調理台

先ほども述べたように、水拭きしたテーブルや調理台は雑菌を拭き取るどころか、逆に増殖しています。また、しばらく放置すると、ホコリでも汚れるので見た目が綺麗でも注意が必要です。

包丁

包丁

意外と見落としがちなのは「柄」の部分。「刃」の部分は食材を切るので念入りに洗いますが、手でさわる「柄」の部分は手についている雑菌が付着します。洗浄時も「柄」の部分を持って洗うので、綺麗に洗いきれていないことが多々あります。

食中毒予防の3原則・対策

「つけない」「増やさない」「やっつける」が食中毒予防の3原則です。

  • つけない… 食材に菌をつけないように心がける。
  • 増やさない… 食品についた菌が増えないよう迅速に調理・提供をする。また、すぐに提供しないものは必ず冷蔵庫、冷蔵庫等に保存する。
  • やっつける… しっかりと中心まで加熱をする。(基本的には75℃1分以上)

食中毒予防対策

次に具体的な食中毒予防対策についてご紹介いたします。

まずは手洗いを!

手にはさまざまな雑菌が付着しています。調理を始める前、生肉・魚・卵などを取り扱う前後、調理途中でトイレに行った後、鼻をかんだ後、おむつ交換した後、動物に触れた後、食卓につく前、などの時は必ず手を洗いましょう。まずは「つけない」を意識することが第一です。

食材を切る順番を工夫

1つの包丁・まな板で調理を進める場合は、「野菜⇒肉類」の順に切るのも良いでしょう。飲食店や給食施設では、「肉用」「魚用」「野菜用」などといったように種類ごとに分けて使いますが、家庭でも用意できる場合は使い分けることをオススメです。

まな板を清潔にするコツ

ちょっとした物を切った場合でも、使ったら必ず食器用洗剤で洗いましょう。
先ほども少し述べましたが、まな板に傷があると、傷から雑菌が入り込んでしまいます。

洗い方の注意点として、肉・魚・卵を切った後のまな板は“まずは水洗いをする”というのがポイントです。これらに含まれるたんぱく質は、先にお湯に触れると固まってしまい、逆効果になります。洗剤で水洗いし、しっかりすすいだ後、お湯洗いをするようにしましょう。

包丁は柄の部分もしっかりと!

一番手で触れることが多い「柄」の部分。洗う時も手で握っているので意識してしっかり食器用洗剤で洗いましょう。

十分に乾燥させる

使い終わって洗浄した後はしっかり乾燥をさせましょう。調理器具や食器については、「少しくらいならいいや!」と水滴がついた状態でしまうと、そこで雑菌が繁殖してしまいます。また、布巾については、テーブル用・食器用など用途に分け、複数種類用意をします。使用後は、洗剤や石鹸で洗浄、そして消毒後、十分に乾燥させてから使いましょう。
消毒方法は、85℃以上の熱湯で煮沸する、漂白剤を使用するなどがあります。

中までしっかり加熱

ほとんどの細菌やウイルスは加熱によって死滅します。魚や野菜類は生で食べることがありますが、加熱するとより安心です。特に肉料理は中心までよく加熱することが大切で、中心部を75℃で1分以上加熱することが目安です。(ノロウイルス対策は85~90℃以上90秒以上が目安)

室内に放置しない

室内では細菌の増殖が活発になりますが、10℃以下では増殖がゆっくりとなり、マイナス15℃以下では増殖が停止します。食べ物に付着した菌を増やさないためには、低温で保存することが重要です。調理後すぐに食べない場合や、作り置きをする場合は速やかに冷蔵庫や冷凍庫に入れて保存しましょう

 

参考資料

食中毒の原因(平成30年)|農林水産省

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