子どもの食べ物の好き嫌い…好きなものだけ食べているのはNG?
子どもがミルクしか飲まない時期が終わり、離乳食や通常食を食べるようになると、食べられるものと食べられないものが出てきます。
ミルクの時期は、ミルクを飲んでいるだけで栄養が摂れていたので栄養の偏りを気にすることはあまりありません。
しかし、離乳食や通常食が始まると、子どもによっては好き嫌いが多い子も出てきます。いつも好きなものばかり食べていると、どうしても栄養のバランスが気になってしまいますよね。
せっかく離乳食や通常食を食べるようになっても、好きなものだけ食べるのは問題ないのでしょうか?
同じものしか食べないのはNG?
ヒトの身体は、食べたものから作られています。
「食べることは生きること」と言われるように、食べ物にはさまざまな栄養素が含まれており、食べるものはヒトが生きていくうえで非常に重要なものであるのです。
たとえば、いつもうどんしか食べず具材やおかずをまったく食べない、果物ばかり食べてご飯を食べてくれないなど、極端に同じ食材しか食べないというのであれば、栄養面での偏りがあるのは避けられません。
多少の好き嫌いであれば問題ありませんが、ずっとひとつのものしか食べないというのであれば、改善の必要があると言えるでしょう。
子どものころは好きなものだけでも大丈夫!
子どもが好きなものしか食べないのはNGなのか?まず、結論からいうと子どものころは好きなものしか食べなくても大丈夫ということです。
あれ?先ほどはずっとひとつのものしか食べないのであれば、改善の必要があると言いましたよね?
確かにずっと同じものしか食べないのであれば、栄養面で偏りがあるため改善してく必要があるでしょう。
しかし、"子どものころは”好きなものしか食べないということに関しては、あまり心配する必要はないのです。
それは一体どういうことなのでしょう?
子どもの味覚は変化する
まず、子どもの味覚は成長するにつれ変化していくということです。
ヒトの舌に存在する味蕾という味覚を感知する器官は、子どもの頃にもっとも発達しています。大人と比べて子どもの方が非常に味覚が敏感になっています。
少しの味の変化でも敏感に感じ取ることができるため、子どもはその少しの差にも好き嫌いが出やすいのです。
大人になると味蕾の細胞は減少し、敏感に感じ取っていた味覚の変化もあまり感じにくくなります。
これまで食べられなかったものでも、大人になると自然と食べられるようになっていたという経験がある方も多いことでしょう。
子どもの頃に食べていなくても、いつの間にか食べられるようになっていくことが多いのです。
家族以外の人と食事をするようになる
これまで、家族といるときにしか食事をする機会がなかったという子も、幼稚園や保育園に行くようになると、ほかの子どもたちと一緒に食事をする機会が出てきます。
ほかの子どもが食べている姿は、小さな子どもにとっては刺激となり、食欲がかき立てられます。
いつも食が細かったり偏食だった子が食べられるようになるきっかけになりやすいのです。
まずは、幼稚園や保育園に通う年齢になるまで様子を見るというのも一つの手でしょう。
今は食べているだけマシと考える
食事を摂らないことには、身体は成長しません。たとえ食べる物に偏りがあっても、食べているものがあるというだけでしっかり身体は成長しているのです。
特に小さいうちは、食べることに興味を持たせることが大切です。食べないものを無理やり食べさせて食事をすること自体を拒否するようになっては本末転倒。
今は食べているだけマシと割り切ることも大切です。
大人がピリピリしていると子どもは敏感に感じ取る
子どもが同じものしか食べないからといって、大人がピリピリしていると、子どもはそのような空気を敏感に感じ取ります。
食事をするときにいつもそのような雰囲気では、子どもはますます食べることに抵抗をするようになり、好き嫌いを助長しかねなくなってしまうのです。
子どもが好きなものしか食べないのは、必ずしもわがままだとは限りません。成長過程における自然現象と考え、大人も落ち着いて接することが必要です。
好き嫌いはずっとは続きません
子どもが好きなものしか食べなくても、多くの子どもがそのような状態がずっと続くというわけではありません。
子どもは必ず成長し、味覚の変化や精神面で発達していきます。
さまざまな環境に触れたり、経験をすることによって徐々に食べられるようになるものも増えていくのです。
いつか必ずほかの食べものも食べるようになると信じて、大人は肩の力を抜いて見守っていくことも大切です。
こんなときは注意が必要
基本的には、子どもが好きなものしか食べないことは大きな問題になることではありませんが、食べない食材のなかには、発達障害であったり、食物アレルギーが原因となっている可能性も考えられます。
現在、食物アレルギーの子どもは3歳以下で約15%いると言われています。近年の統計では減少傾向にありますが、誰にでも起こり得ることに変わりはありません。
食物アレルギーは重篤な場合、命に関わることもあるので、食べて元気がないときは注意が必要です。
また、発達障害には感覚過敏などの症状があるものもあります。
これは、おもに広汎性発達障害と呼ばれるもので、酸味や苦味などを強く感じたり、食感や温度に敏感になってしまう症状があります。
このような発達障害が原因の場合は、ある程度大きくなっても偏食傾向にあるため、単にわがままだと思われがちです。
決してわがままで好き嫌いをしているわけではないので、好きなものしか食べない状態が続くようであれば、感覚過敏を疑うことも大切です。
明らかに体重が落ちていたり、元気が無かったりする場合は一度受診をすることも検討しましょう。
まとめ
子どもが好きなものしか食べないのは、親なら誰でも心配になってしまうもの。
ほかの子と比較せず、自分の子どものペースで少しずつ食べられるように見守っていきましょう。
子育て中は、真面目な方ほど神経質になってしまうものです。いつかは食べられると思うようにし、気持ちに余裕をもって過ごしていくことが大切です。