ハトムギ
健康ブームを背景に、注目されるようになったハトムギ。「ハトムギ茶」がコンビニやスーパーマーケットの定番商品になるなど、私たちにとって身近なものとなっています。最近では、ハトムギの機能性に着目したサプリメントや化粧品が登場。用途先が広がりつつあります。
「ハトムギ茶」はノンカフェイン
ハトムギはイネ科ジュズダマ属の植物。「シコクムギ」と呼ばれることも。多年生植物のジュズダマの変種とされ、ジュズダマは殻が硬いのに対し、ハトムギの殻は柔らかいのが特徴です。
ハトムギは背丈が1m~1.5mほどに成長します。日本では5月~6月頃に種をまき、秋に収穫。国内で流通しているハトムギは精白した丸粒のものが主流で、食感はやや硬めです。
アジア諸国では主食としたり、粒を焙煎してハトムギ茶として利用したりするのが一般的です。
ハトムギ茶は麦茶と同様、ノンカフェインのお茶として知られています。このため、子どもから高齢者まで安心して飲むことができるのですね。麦茶と比べて薄い色をしていますが、香ばしくて甘みがあり、すっきりとした飲みやすい味わいです。
日本では消費者の健康志向の高まりを受けて、ハトムギ茶だけでなく、ハトムギを原料に用いた菓子や麺類などの加工食品が市場で見られるようになりました。
ハトムギエキス配合のサプリメントや化粧品も
最近の市場動向を見ると、ハトムギから抽出したエキスを配合したサプリメントや化粧品が登場。ハトムギエキスは、ハトムギの主成分であるアミノ酸をバランス良く含むことから、その機能性が注目され、ヘルスケアやスキンケアの分野で利用されるようになりました。
また、ハトムギの種子は生薬(ヨクイニン)にも使用されます。なお、種子・種子エキス・種子油・葉については食品としても使用できます。
ハトムギの主産地は北陸・東北地方
原産地はインドシナ半島やインド。インドシナ半島から漢の時代に中国へ伝わり、中国の広い地域で栽培されるようになったという説があります。その後、江戸時代に日本へ伝わり、薬用植物として使用されるようになったと言われています。
日本でハトムギが本格的に栽培されるようになったのは1980年代以降。米の過剰生産を抑えるために転作が推進されるなかで、水田での栽培が可能なハトムギがクローズアップされたわけです。
農林水産省の傘下団体である農研機構では、各地域に適したハトムギの品種育成を進めてきました。主なものとして、「はときらら」「はとゆたか」「とりいずみ」「あきしずく」などの品種が開発されています。
国内の主産地は、北陸地方(富山県、石川県)、東北地方(岩手県)、中国地方(鳥取県、島根県)、栃木県など。
作付面積は北陸地方、東北地方、中国・四国地方、関東地方の順に多く、そのほか九州などでも栽培されています。全国で1,100ヘクタール以上の栽培面積があり、年間1,500トン以上が生産されています。現在、富山県が生産量でトップです。
ハトムギの栄養的な特徴
アミノ酸や食物繊維が豊富
ハトムギの種子の成分は、炭水化物が50~79%、タンパク質が16~19%、脂肪が10%の構成となっています。
精米と比べて、タンパク質と必須アミノ酸の含有量は約2倍、食物繊維の含有量は約8倍。このほか、ビタミンB1・B2、カルシウム・鉄・リン・カリウムといったミネラル類を含むなど、栄養価の高さが特長です。カロリーは精米と同程度で、100gあたり360kcal。
ハトムギの効果・効能
乾燥肌の改善、血管の弾力性を保つ作用など
ハトムギの健康への効果に関する研究も進んできました。
2018年には内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム 次世代農林業水産業創造技術」の開発研究として、栃木県小山市などによる共同研究が実施されました。20~64歳の健康な日本人の男女を対象に、ハトムギ茶を飲むグループ(60人)と麦茶を飲むグループ(60人)に分けて、それぞれ1日あたり500㎖を8週間にわたって摂取。その結果、ハトムギ茶を飲むグループでは炎症抑制作用、血管の弾力性を保つ効果、脂質異常症への効果などが示唆されたと報告しています。
ハトムギ種子エキスの機能性については、国内の肌荒れ患者を対象とした試験により、乾燥肌の改善効果が確認されたという報告もあります。
一方、漢方の生薬(ヨクイニン)は、水分代謝の調節による関節・筋肉の腫れ、神経痛、関節痛、筋肉痛などの改善を目的としています。
安心して利用できるハトムギ関連商品
ハトムギは古くから食されてきましたが、近年の研究成果によって健康への効果も脚光を浴びるようになってきました。
健康・美容を維持する上で、安全性が高いハトムギは安心して利用できる食材。ノンカフェインのハトムギ茶をはじめ、ハトムギの加工食品やサプリメントも、あなたの健やかな毎日をサポートしてくれるでしょう。