月桃
ショウガ科の植物「月桃(ゲットウ)」。沖縄の特産品として月桃を使用したお茶、ソバ、菓子などが人気です。心を癒してくれる甘い香りが特長ですが、近年の研究によって、月桃の葉に含まれる成分に健康・美容をサポートする作用があることがわかってきました。健康食品や化粧品の原材料としても注目を集める月桃について解説します。
月桃はショウガ科の多年草
月桃はショウガ科の多年草の1種。日本では、九州南部から沖縄にかけて生息。海外ではインド、東南アジア、中国南部、台湾などの温暖な地域に分布しています。
成長すると2~3m程度の高さになります。葉は幅10~15cm、長さ40~60cm程度の楕円形で、深い緑色をしています。
4~6月頃にかけて白いつぼみをつけ、その先端は薄いピンク色で、私たちの目を楽しませてくれます。夏には鮮やかな黄色い花を咲かせます。そして秋を迎えると、赤っぽい色の果実をつけます。
月桃の産地と言えば「沖縄」
国内の主産地は沖縄県。沖縄県では月桃を「サンニン」「サニン」などとも呼びます。野山に自生していて、民家の庭先でも栽培されるなど、沖縄県の人々に身近な植物として親しまれています。
月桃は防虫作用があり、虫よけとして利用されてきました。また、健康に役立つことから、薬草としても重宝されてきた歴史があります。
沖縄県の人々は古くから、蒸したモチなどを月桃の葉で包んだり、肉や魚を葉で包んで蒸し焼きにしたりしてきました。気温が高く、食材が傷みやすい沖縄県では、月桃の防腐作用を上手に活用してきたわけですね。このほか、葉を乾燥させて粉末にしたものを食品に練り込むこともあります。
現在では、ハーブティーをはじめ、アイスクリームのフレーバー、沖縄ソバなどにも使用。沖縄県の特産品として、月桃は幅広く利用されるようになりました。
月桃の葉から抽出するエッセンシャルオイルも人気です。さらに、月桃の香水や石けん、化粧品、シャンプー・コンディショナー、ボディソープなども開発され、女性の支持を得ています。
工業的な活用状況を見ると、月桃の茎を原材料に使用した月桃紙が生産されています。
月桃の栄養的な特徴
注目成分の「デヒドロカワイン」
月桃の葉には、シネオールやリモネンをはじめ、ピネン、ボルネオール、ケイ皮酸メチルなどが含まれています。
注目の成分はジヒドロ-5,6-デヒドロカワイン、5,6-デヒドロカワイン。これらの成分については、抗酸化作用や皮膚のコラゲナーゼ阻害作用が報告されています。
月桃の効果・効能
「肌のうるおい」に役立つ機能性表示食品が登場
月桃の健康への効果については、近年の研究によって確認されています。その成果の一つとして、消費者庁の機能性表示食品制度で月桃の成分を配合した商品が登場。「月桃葉抽出物」の肌への効果に着目したものです。
表示内容は「月桃葉抽出物は、肌が乾燥しがちな方の肌のうるおいに役立つことが報告されています」。
研究内容を見ると、肌の乾燥やたるみを自覚している日本人の女性に月桃葉抽出物を摂取してもらい、プラセボ(偽の食品)を摂取したグループと効果を比較しています。皮膚水分量や経表皮水分蒸発量を評価した結果、月桃葉抽出物を摂取したグループはプラセボのグループと比べて、皮膚水分量の増加、経表皮水分蒸発量の減少が認められたと報告しています。
コラーゲン産生促進、抗菌・消臭効果も
コラーゲンの分解を抑制し、コラーゲンの産生を促進する作用も報告されています。コラーゲンは皮膚や軟骨などを構成するタンパク質の1種。私たちの体内にあるタンパク質の約3割を占めます。月桃はコラーゲンの維持をサポートし、健やかな肌に役立つわけです。
このほか、月桃の葉には抗菌作用や消臭作用も。このため、防虫剤や消臭剤の原材料としても利用されています。
また、月桃の葉から抽出されるオイルは個性的な甘い香りを持つことから、アロマオイルとしても人気です。ハーブティーも同様に、気分をホッとさせてくれます。今後の研究の進展によって、月桃のリラックス効果の立証が期待されています。
月桃の葉は「食品原料」
月桃の葉は、厚生労働省が所管する食薬区分制度で、「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」に該当。つまり、一般食品の原材料として安心して利用できるわけです。
ただし、成分を濃縮したサプリメントについては、摂取対象者や1日当たりの摂取目安量などをしっかりと確認した上で使用してくださいね。
あなたの体と心を癒す月桃
月桃の甘い香りは、あなたの体と心を癒してくれるでしょう。月桃のお茶、まんじゅう、ソバといった伝統的な食品をはじめ、アイスクリームなども販売されていますので、お好みの食品で気軽に試すことが可能です。
美容が気になる方には、月桃のコスメ商品がおススメ。その魅力に触れてみてはいかがでしょうか。