改正特商法がスタート、健康食品の定期購入のルールが変わる!
「お試し」の表示を見てサプリメントを申し込んだが、4回の購入が条件で高額な料金を請求された――そうした消費者トラブルが後を絶ちません。そこで、国は特定商取引法(特商法)を改正し、消費者を騙すような広告を行う通販会社を厳しく取り締まることになりました。もし、トラブルに巻き込まれた場合は改正特商法を思い出して、泣き寝入りしないようにしましょう。
後を絶たない定期購入トラブル
通販の定期購入契約に関する消費者相談は、2018年に2万件を突破。そこから一気に増えて19年に約4万5,000件、20年には約6万件に。21年も約4万7,000件と高水準で推移しました。
購入商品のほとんどが健康食品と化粧品。典型的な手口は次の通りです。
SNSなどで大げさな効果をうたった広告を流し、消費者の関心を引く。そこから販売サイトへ誘導。販売サイトで「お試し」「トライアル」などと強調し、1回限りの購入のように思わせて申し込みをさせます。しかし、商品が届いた時に、消費者は定期購入が条件であることを知ります。
泣き寝入りするケースが多い
被害に遭って泣き寝入りするケースが多いのも、定期購入トラブルの特徴。というのも、解約を申し出ても「電話がつながらない」「違約金が必要と言われた」など、解約を妨害する行為が横行しているからです。
そうした状況を改善するため、消費者庁は法改正に乗り出し、改正特商法が2022年6月1日にスタートしました。
知っておきたい改正特商法の3つのポイント
ポイント(1)申し込み最終確認画面に6項目の表示があるか?
改正のポイントの1つ目は、「一定事項の表示を義務づけ」「契約の申し込みとなることや一定事項について、人を誤認させる表示を禁止」したこと。
まず、「一定事項の表示を義務づけ」とは何かを見ていきしょう。
インターネット通販の場合は申し込み最終確認画面(ボタンをクリックすると申し込みが完了する画面)、カタログ・チラシ通販の場合は申し込みハガキや申し込み用紙に、次の6項目の表示を義務づけました。
- 【分量】
各回の分量と総分量
自動更新の場合はその旨 - 【販売価格】
各回の代金と支払総額
無料の契約から有償に自動的に移行する場合は、移行時期と支払金額 - 【支払時期・方法】
各回の代金の支払時期 - 【引き渡し時期】
各回の商品の引き渡し時期 - 【申し込みの期間】
申し込み受付期間の設定がある場合は、正確な申し込み期限 - 【申し込みの撤回・解除に関する事項】
解約時に違約金などが発生する場合はその旨と内容
解約の方法や受付を特定の手段・時間帯に限定する場合はその旨
トラブルを避けるためにあなたが最も注意すべき点は、申し込む前に、申し込み最終確認画面や申し込み用紙などに、6項目の表示が分かりやすく明記されているかどうかを確認することです。
明記されていない場合は、申し込みを思いとどまってくださいね。なぜなら、改正特商法の違反行為に該当し、その販売会社はコンプライアンスの欠如が疑われるからです。
また、定期購入契約で「お試し」「トライアル」などと表示することは、「人を誤認させる表示を禁止」に違反します。
前述の6項目の一部だけを強調し、残りを目立たないように表示することも違反に該当します。そのような販売サイトは避けてくださいね。
ポイント(2)契約解除の妨害を禁止
改正の2つ目のポイントは、「解約が可能」と表示しながら、消費者が定期購入契約を解約したいと申し出た際に、妨害する行為を禁止した点です。
健康食品や化粧品はあなたの体質に合わないこともありますので、申し込み前に、解約が可能かどうかを確かめましょう。
解約の条件・方法は通販会社によって異なります。このため、解約に関する事項をしっかりと読んでから、申し込んでくださいね。
ポイント(3)誤認して申し込んだ場合の「取消権」
改正の3つ目のポイントは、6項目の表示が不十分だったり、「お試し」と表示しながら定期購入が条件であったりと、誤認させるような表示を見て申し込んだ場合に、消費者の「取消権」を設けた点です。
これにより、トラブルに巻き込まれた場合も消費者に有利となります。
申し込む前に表示の確認を!
トラブルに遭わないためには、広告をはじめ、申し込み最終確認画面や申し込み用紙などをしっかりと読むことが基本。問い合わせ先の電話番号がある場合は、申し込む前に、すぐにつながるかどうかを確認することも有効です。
改正特商法のポイントを理解し、信頼できる販売サイトで通販を楽しんでくださいね!