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世界を駆け巡った「アスパルテームの発がん性」報道…どのくらい心配すべきか?

ニュース
YOKARE編集部
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世界を駆け巡った「アスパルテームの発がん性」報道…どのくらい心配すべきか?

「甘味料のアスパルテームに発がん性の可能性」というニュースが世界中を駆け巡り、消費者に衝撃を与えました。アスパルテームは、日本でもさまざまな加工食品に使用されています。ニュースを耳にして心配になった方も多いと思われますが、実際のところ、どうなのでしょうか?内閣府の食品安全委員会の見解を基に考えてみましょう。

砂糖よりも強い甘味、わずかなカロリー

アスパルテームは、アミノ酸のアスパラギン酸とフェニルアラニンで製造される甘味料。砂糖の200倍ほどの甘味がある一方で、カロリーはわずか。このため、健康やダイエットが気になる方に支持されています。

アメリカやカナダをはじめとする120カ国以上で安全性を確認済み。日本では、1983年に厚生省(現・厚生労働省)が食品添加物として安全性を評価し、使用を認可しました。

カロリーはわずかで、砂糖よりも甘味が強いことから、さまざまな加工食品に使用されています。主なものに菓子やチューンガム、アイスクリームをはじめとしたデザートなどがあります。

また、ダイエット中の方や健康が気になる方では、コーヒーや紅茶に入れるなど、砂糖の代替品として利用されています

アスパルテーム

国際がん研究機関による発がん性分類は4段階

日本人にとっても身近な存在となったアスパルテームですが、発がん性の可能性があるという新たな知見が、世界保健機関(WHO)の傘下機関、国際がん研究機関から発表されました。このニュースは世界中の消費者に大きな衝撃を与えています。

国際がん研究機関では、発がん性の分類として4つの段階を設定。これは、化学物質や微生物、作業環境や特定の行為といったさまざまな要因について、発がんの原因となり得るかどうかの根拠の強さを示したものです。

  1. もっとも強いのが「1:人に対して発がん性がある」で、「人で発がん性の十分な根拠がある場合」と規定。アルコール飲料、カドミウム、タバコ、アスベスト、ディーゼルエンジンの排気ガスなどが該当します。
  2. 2番目に強いのが「2A:恐らく人に対して発がん性がある」。(1)人で発がん性の限定的な証拠あり、(2)実験動物で発がん性の十分な根拠あり、(3)発がん性物質としての主要な特性を示す有力な証拠あり――のうち、2つ以上に該当する場合です。例えば、ポテトチップスなどに多く含まれるアクリルアミド、65℃以上の熱い飲み物、夜勤などがあります。
  3. 3番目に強いのが「2B:人に対して発がん性がある可能性がある」で、「2A」の3要件のうち、1つが該当する場合です。例としてベンゾフラン、ガソリン、漬物、わらびなどが挙げられています。
  4. 最下位の「3(人に対する発がん性について分類できない)」は、「1」「2A」「2B」のいずれにも該当しないケース。カフェインや茶、コレステロールなどがあります。

アスパルテームの発がん性は3番目の「2B」

国際がん研究機関は、アスパルテームの発がん性を上から3番目の「2B」に分類しました。つまり、アスパルテームは「人に対して発がん性がある可能性がある」というわけです。

今回の発表を聞いた消費者の中には、「これまで摂取してきたけど大丈夫かしら」「がんが発症したらどうしよう」と心配している方も多いと思われます。「2B」に位置づけられたことについて、私たちはどう考えるべきでしょうか?

正しく知る前提として、「許容1日摂取量(ADI)」について理解することが必要です。

ADIとは、特定の物質を生涯にわたって毎日摂取し続けたとしても、健康被害が出ないと考えられる量を指します。

アスパルテームについては、国際的に1日あたりのADIを40mg/体重1㎏と設定しています。これに対し、国の調査結果によると、日本人のアスパルテームの摂取量は1日あたり6.58 mgと推計され、ADI比で0.3%にすぎません。

日本人のアスパルテーム摂取量はわずか

今回、国際がん研究機関はアスパルテームを発がん性分類の「2B」に位置づけましたが、発がん性の確実な証拠は見当たらず、また、摂取後に消化管内で分解されてから体内に入ることから、現行のADI(0~40mg/kg<体重>)を変更する理由はないと説明しています。

関連データを見る限り、ほとんどの日本人にとって、加工食品から摂取しているアスパルテームはADI比でわずかな量であり、現在のところ、深刻に心配する必要はないと言えるでしょう。

ただし、アスパルテームの発がん性については不明な点が多く、今後の研究によって、より明確になる可能性もあります。

信頼できる情報に基づく冷静な行動を

アスパルテームのように、食品の安全性をめぐって新たな知見が発表されると、パニックになる方も少なくありません。しかし、科学的な根拠を重視して、冷静に行動することが大切です。

インターネット上には食品の安全性に関する情報が溢れかえっていますが、鵜呑みにせずに、信頼できる情報に基づいて判断するクセを身に付けましょう。

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