メルケル細胞が美容業界で注目されている
メルケル細胞は1875年にドイツの解剖学者メルケルによって発見されました。メルケル細胞は、「タッチ細胞」として機能するのではないかと推測されていました。
メルケル細胞のすべての機能は解明されていませんが、接触を知覚する細胞として機能し、感触や圧力などの接触を脳に伝達していることは明らかになっています。
そんな接触を知覚するメルケル細胞は、美容への有効性が研究されて、注目を集めています。
今回は、化粧品メーカーが研究したメルケル細胞について紹介します。
香り成分によるメルケル細胞の活性化
資生堂では、メルケル細胞が末梢神経を通じてハリやたるみなどに関与すること、メルケル細胞が加齢により減少することを確認していました。
特に、香り成分によってメルケル細胞が活性化し美しく健やかな肌へ導く可能性などを見出したことで大きな注目を集めました。
白檀(サンダルウッド)の香りを持つ香り成分により、触覚を担うメルケル細胞に存在する香り受容体が活性化することを、ヒト皮膚培養系を用いた実験で発見しました。
肌に触れることなく、香りを用いたアプローチで、肌を美しく健やかな状態に導くことが考えられます。
機能性ペプチド「デカペプチド」がメルケル細胞を活性化
ファンケルでは、皮膚科学研究におけるアンチエイジングという観点から、加齢で衰える皮膚感覚と感覚受容器(メルケル細胞)、肌老化の関係について着目していました。比較的皮膚の表面にあり、かつ指先に多く存在するメルケル細胞は、皮膚の状態や化粧行為がもたらす情感にかかわりが深いと考えました。
メルケル細胞は外的ストレスや老化など皮膚環境の変化に応答して機能が低下することを見出し、表皮や真皮の老化に影響を与える可能性を確認しました。さらに、機能性ペプチド「デカペプチド」がメルケル細胞を活性化し、細胞老化を防ぐオキシトシ量を増やすことを発見しました。
また、デカペプチド-4*によるメルケル細胞活性化に着目した高機能プレステージブランド「BRANCHIC(ブランシック)」を発売しています。
皮膚を取り囲み、その反応に影響を与える環境空間「emossome」
スタンフォード大学とロレアルは共同で、皮膚の張りとそのメカニズムを解明するべく2014年から調査を行っていました。皮膚ストレスの一つである皮膚の張りに関連する受容体を特定する必要がありました。その結果、皮膚のストレスに敏感に反応する受容体はメルケル細胞に落ち着きまた。
保湿液よりも洗浄フォームを使った時の方が、メルケル細胞が活性化したこともわかりました。心理的な影響は複雑であるが、皮膚の受容体(メルケル細胞)が活性化しているかを計算できることが示されました。
また、別の研究では、周囲の空間が特定の感情状態を引き起こす可能性あり、その影響を受けていることが示唆されています。皮膚を取り囲み、その反応に影響を与える環境空間は、「emossome」と名づけられました。