機能性表示食品に使用されている乳酸菌
健康に役立つことから、幅広い層の消費者に人気の乳酸菌。ヨーグルトやサプリメントだけでなく、チョコレート、みそ汁、調味料などさまざまな食品に使われています。そのなかでも市場を牽引しているのが、健康への効果が証明されている機能性表示食品。機能性表示食品に使用される乳酸菌には、どのようなものがあるのでしょうか。
乳酸菌・ビフィズス菌入りの機能性表示食品は約260件
機能性表示食品は、企業が安全性と機能性の根拠を消費庁へ届け出て、健康への効果を表示できるというもの。乳酸菌やビフィズス菌を使用している機能性表示食品は、2021年3月末現在で約260件に上ります。機能性の内容も「お腹の調子」をはじめ、「睡眠」「脂肪」「尿酸値」「肌」など広がりを見せています。
ここで、乳酸菌とビフィズス菌の関係を押さえておきましょう。ビフィズス菌も乳酸菌と同じように腸内で作用し、乳酸菌の“仲間”と言ってもよいでしょう。
ただし、正確に言うと違いもあります。乳酸菌は糖から「乳酸」をつくり出しますが、ビフィズス菌は「乳酸」と「酢酸」を産生します。また、ビフィズス菌は乳酸菌と比べて、酸や酸素に弱い性質をもちます。
このように違いもあるのですが、ここでは難しく考えずに、ビフィズス菌も乳酸菌の仲間として話を進めていきます。
機能性表示食品の機能性関与成分とは?
機能性表示食品制度では、健康への効果を生み出す成分を「機能性関与成分」と呼びます。どんな成分でもいいというわけではなく、制度の対象となる成分についてはルールが設けられています。乳酸菌とビフィズス菌については、「菌の株レベル」で品質を保証することが要件とされています。
乳酸菌の種類は多く、代表的なものにラクトバチルス属のブルガリクス種やアシドフィルス種、ストレプトコッカス属のサーモフィルス種などがあります。ビフィズス菌にはロンガム種やブレーベ種などがあります。
しかし、機能性表示食品として届け出る場合には、このような菌の属性や種類だけでなく、さらに細かく分類した「菌株」まで特定しなければなりません。このため、「機能性関与成分:乳酸菌〇〇〇株」などとして届け出ることになります。
ポイントは、「菌株」まで特定された乳酸菌やビフィズス菌について、安全性と機能性を企業の責任で証明していること。この点が一般的な健康食品と異なり、機能性表示食品の強みであり、安心して利用できます。どのような健康への効果が期待できるのかもはっきりと表示されるため、自分にぴったりの商品を選びやすいわけですね。
生きた菌と死んでいる菌
あなたも「生きたまま腸まで届く乳酸菌」という宣伝を聞いたことがあると思います。実は、乳酸菌には生きている菌と、殺菌処理して死んでいる菌があります。
「死んでいる菌って健康に役立つの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。結論を言うと、死んでいる菌であってもまったく問題ありません。乳酸菌は生きていても、死んでいても健康への効果を発揮するからです。
機能性表示食品制度が2015年にスタートしてからしばらくの間、生きている菌を使用した製品が主役でした。しかし、最近では、死んでいる菌を機能性関与成分とする届出も目立つようになってきました。
使用されている乳酸菌・ビフィズス菌
機能性表示食品では、どのような乳酸菌が使われているのでしょうか。主なものを紹介します。
機能性表示食品に使われている主な乳酸菌 |
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乳酸菌ブレビスT001株 |
ガセリ菌SP株 |
乳酸菌シロタ株 |
PA-3乳酸菌 |
KW乳酸菌 |
植物性乳酸菌K-1 |
乳酸菌ヘルベ |
乳酸菌エンテロコッカス・フェカリス菌 |
有胞子性乳酸菌 |
乳酸菌クレモリスH61株 |
プラズマ乳酸菌 |
L92-乳酸菌 |
乳酸菌NY1301株 |
乳酸菌LS1 |
殺菌乳酸菌EC-12株 |
「ガセリ菌SP株」「乳酸菌シロタ株」「乳酸菌ヘルベ」などは大手食品メーカーの宣伝により、知名度の高い乳酸菌。免疫機能をうたうことができる初の機能性表示食品として、「プラズマ乳酸菌」も話題となっています。
死んでいる菌では、「殺菌乳酸菌EC-12株」や「L92-乳酸菌」などが機能性表示食品に使用されています。
これらのほかにも、乳酸菌そのものではなく、菌体のなかに含まれる特定の物質を機能性関与成分とした機能性表示食品も登場しています。
機能性表示食品に使われている主なビフィズス菌 |
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ビフィズス菌BB536 |
ビフィズス菌Bifix |
ビフィズス菌BE80 |
ビフィズス菌HN019株 |
ビフィズス菌B-3 |
ビフィズス菌BB-12 |
ビフィズス菌LKM512 |
ビフィズス菌MCC1274 |
ビフィズス菌N708株 |
機能性表示食品では、「ビフィズス菌BB536」や「ビフィズス菌BB-12」などが主流となっています。「ビフィズス菌Bifix」は大手食品メーカーのブランド名にもなっているので、知名度があります。
機能性表示食品に使用される乳酸菌とビフィズス菌は、今後も新たなものがたくさん登場するとみられています。
自分にあった乳酸菌・ビフィズス菌選びを
乳酸菌やビフィズス菌を配合した機能性表示食品は、今や大きな市場を形成。使用される菌も、表示内容もバラエティーに富み、自分の悩みの解消をサポートしてくれる製品を探しやすい状況にあります。
商品パッケージの表示を読めば、どのような乳酸菌・ビフィズス菌が使われていて、1日にどのくらい摂取すれば、どのような効果が期待できるのかがわかります。ぜひ、自分にぴったりの製品を見つけてくださいね。