自転車は健康づくりに最適
健康のためにフィットネスジムに通ったり、ヨガを習ったりする人が増えています。「でも、もっと手軽にできる健康にいい運動があれば…」と思っている方には、サイクリングがお勧め。科学的な研究によって証明された自転車の健康効果について解説します。
自転車を活用した健康増進、国土交通省が推奨
自転車に乗って出かけることは、あなたの健康をサポートしてくれます。ジョギングがブームとなっていますが、自転車はジョギングやランニングと比べて足・膝への負担が小さくて済みます。このため、あまり運動したことがなかった方でも、ケガをしにくいというメリットがあります。
体への負担は小さいながらも、サイクリングは全身を使用する有酸素運動。筋力や心肺機能の強化、ダイエットサポート、生活習慣病やロコモティブシンドロームの予防効果も期待できます。国土交通省では、自転車を活用した健康増進に関する広報・啓発に乗り出しています。
5月5日は「自転車の日」
交通ルールを守ってサイクリングを楽しもう
自転車は健康に役立ち、誰もが気軽に実践できますが、自動車やバイクと同様に安全運転が求められます。自転車活用推進法の施行により、5月を「自転車月間」、5月5日を「自転車の日」と定めています。これは交通安全を促進する観点から、自転車の正しい利用の普及を目的としたものです。
自転車で健康づくりを行う場合、安全に利用することが前提となります。自転車に乗る時には、以下の基本的なルールを守ることが大切です。
- 自転車は車道が原則、歩道は例外
- 車道は左側を通行
- 歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行
- 安全ルール(飲酒運転、二人乗り、並走の禁止)を守る
- 子どもはヘルメットを着用
これらに加えて、傘をさしながらの運転や、携帯電話を使用しながらの運転も禁止されています。健康のために自転車に乗ったものの、事故を起こして自身がケガをしたり、歩行者にケガを負わせたりすると本末転倒です。事故を起こさないように、しっかりとルールを守りましょう。
自転車による健康効果
死亡リスクが低下する!
サイクリングは有酸素運動であり、健康づくりに役立つと説明してきましたが、その効果は科学的な研究によって証明されています。
イギリスで行われた研究では、1991年から25年間にわたって30万人以上の通勤者を追跡し、通勤方法の違いによる死亡リスクを分析しました。その結果、自転車通勤者は、自動車通勤者と比べて「早死」のリスクが20%も低いことがわかりました。心血管疾患による死亡リスクは24%低く、ガンによる死亡リスクも16%低かったと報告しています。
ニュージーランドで行われた研究でも、同様の結果が得られました。研究チームは国勢調査と死亡記録を基に、3~5年間の追跡調査を実施。全死因による死亡リスクを分析した結果、自転車通勤者は自動車通勤者と比べて、死亡リスクが13%低かったことが判明。一方、歩行通勤者と公共交通通勤者では、リスクの低下は見られなかったといいます。
もう一つ、デンマークで行われた観察研究の結果を紹介します。約7,500人を対象に追跡調査を実施したところ、サイクリングを行う糖尿病患者は、サイクリングを行わない糖尿病患者と比べて、全死因による死亡率が少なくとも24%低くなったと報告しています。
自動車に頼ると健康にマイナス、自転車を利用しよう!
サイクリングは誰でも手軽に実践できる健康づくりの方法です。自動車やバイクに頼ってばかりだと、気づかないうちに、あなたの健康を蝕むかもしれません。いつまでも元気でいるために、交通ルールを守りながら、積極的に自転車を活用してみましょう。