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サイクルロードレースの体づくり

カラダ
YOKARE編集部
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サイクルロードレースの体づくり

備後しまなみを拠点に国内最高峰のサイクルロードレース「Jプロツアー」に参戦する「eNShare」代表 宮口 直之さんにサイクルロードレースのトレーニングや必要な栄養素についてお話を伺いました。
宮口さんは、小学校の時に、フランスを一周するレース「ツールドフランス」をテレビで観戦したことをきっかけに、自転車でプロになって海外に行きたいと思い、サイクルロードレースを始め、自転車歴20年を超えます。


自転車のロードレースは地域との関係が深い競技

eNShareはロードレースだけでなく幅広く活動されていますが、どのような活動をされているか教えていただけますか?

eNShare が行なっている活動が主に3つあります。
一つ目がロードレース活動で、JBCF主催の「Jプロツアー」に参戦しています。日本の最高峰のレースで、全国ツアーが3月から10月まで行われています。私たちはこの大会で日本一を目指しています。
幼稚園と小学校を対象とした命を守る授業の中で、交通安全の啓蒙活動を行っています。

二つ目が交通安全教室です。行政機関と協力し、幼稚園と小学校を対象として、命を守る授業の中で自転車の安全な乗り方を教えています。安心安全に自転車を乗れる環境がないと、自転車が普及していかない。野球選手が野球教室を開催したり、サッカー選手がサッカー教室を行ったりするのと同じように、僕たちは交通安全教室で自転車の乗り方を教えています。ロードレース活動と同じぐらい力を入れて交通安全教室を行っています。

三つ目が自転車を通じた地域活性化になります。自転車は多くの人にとって、小さい頃から乗り慣れ、慣れ親しんだ乗り物です。他のスポーツに比べて地域性もあったり、身近な存在でもあったりします。また、ロードレースの競技でも、市民の皆様が使っている道路を使うので、地域と密接に関わります。
そういった自転車の特性を活かして、街づくりや観光ツーリズムと自転車を掛け合わせて、自転車を普及させながら、地域を活性化していくような活動を行なっています。

この前は、自転車の婚活イベントを開催しました。サイクリングロードなど企画からアドバイザーとして関わることも多いです。

そして、もう一つ4つ目の活動が去年から加わりました!「ファーム」活動です、農業を始めました。サイクルロードレースの特性上、地域との結びつきがあります。地元の農家の方とお話しする機会があり、農家の高齢化や人手不足の課題が解決せずに耕作放棄地が増えていることをお聞きしました。
僕たちアスリートにとっては、体づくりの元となる「食」なので、とても身近でもありました。そこで、農作業のお手伝いをしながら農業研修を行なってきました。ご縁があり尾道市瀬戸田町にレモンと紅八朔の畑をお借りすることとなり、2021年12月からは、アグリ事業「eNShareファーム」スタートしました!

チームスポーツでエースを一番にするために戦術がある

とても幅広い活動ですね。ロードレースの大会はどのようなところが魅力ですか?

サイクルロードレースを観戦する時に、注目していただきたいのがウェアですね。各チーム、ウェアは工夫していて、とてもカラフルに映ると思います。


僕たちの拠点である備後しまなみエリアはデニムをはじめとした繊維関係の産業が盛んで、デニム色を基調としたユニフォームにしています。下りは70km/hの速度が、上りでも40km/hの速度がでます。速いスピードで前後の隙間なく、走っているので、近くで見るとスピードと風圧を感じることができ、迫力があります。
そこは魅力だと思います。野球やサッカーと違って、本当にそばで観戦できますから。

それから、サイクルロードレースはチームスポーツなので戦術があります。チームは8人で、それぞれの役割があり、チームで戦っています。エースを一番にゴールに送り届けるためにアシストをします。チームは集団で固まって走るのですが、同じ速度で走っていても、中の方にいる選手は力を温存することができ、前の方の選手は疲れが大きいのです。そういうところも魅力です。

「eNShare」の目標は何ですか?

競技をやっている以上は一番を目指したいですし、世界一と言いたいところなのですが、まずは日本で一番を目指しています

日本一を目指すためのトレーニングと栄養補給

日本一を目指すためには、どれくらいのトレーニングをされているのですか?

ロードレースの試合時間は、おおよそ3~4時間です。持久系のスポーツなので練習時間が結果に結びついてきます。持久力を向上させるようなトレーニングを意識してやっています。具体的には、週に5~6日はトレーニングをしていて、1週間500キロくらい走っています

ゴール前のラストスパートになると瞬発的なパワーも必要になってくるので、瞬発的なトレーニングとしては短距離をダッシュするようなトレーニングも取り入れています。

トレーニングも本番のレースを意識して組み立てられているのですね!栄養面ではどのような工夫をされていますか?

サイクルロードレースは、マラソンに近い競技です。レースは3〜4時間で、持久力が求められます。余分な脂肪は削ぎ落としたいので、脂肪はあまり摂らないようにして、筋肉をつけていかないといけません。筋肉をつけるために、特にタンパク質をしっかり摂るようにしています。
選手によっては、サプリメントやプロテインで、アミノ酸を摂って、栄養を補っています。選手はみんな、シーズン中の体脂肪率は一桁になります。

水分補給で意識していることはありますか?

スポーツドリンクで水分を補給していくことは、日頃から心がけています。特にレースの前々日から水分摂取は意識しています。水よりもスポーツドリンクの方が体の吸収もいい。

一般の方だと、自分の脂肪をエネルギーとして使うことができるのですが、自転車の選手はそういう無駄な脂肪がついてない。エネルギーとして使える脂肪は体に蓄えられてないので、スポーツドリンクやエナジージェルで、自転車で走る分のガソリンを補っていかないといけない。

特に自転車乗るときは、夏はスポーツドリンクを1時間に1リットルは飲みます。競技中は、体にかける方の水も持っています。水をかけながら体を冷却していきます。

日常ですと、トレーニングしてないときは、スポーツドリンクでは糖分を摂りすぎてしまうので、スポーツドリンクの量を減らして水の量を増やしたりしています。

ロードレースの選手ならではお悩みはありますか?

自転車に乗る時間が長いので、自転車に乗る筋肉が特化して発達していきます。自転車で使わない筋肉――走る筋肉だったり、ボールを投げたりする筋肉は発達していないので日常生活に支障をきたす選手もいます。例えば、ちょっと子どもとキャッチボールをしただけで筋肉痛になることも(笑)。心肺機能が強いのですけどね。


ありがとうございました。持久力が求められるサイクルロードレースの選手は、脂肪を極力まで落として大会に臨まれているのが印象的でした。
 

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