血圧とは?低いとどうなの?高いと何が心配?
健康診断で「血圧が高いですね」と言われると、ドキッとしませんか?高血圧は自覚症状がないため、ついつい油断しがちです。一方、低血圧の方では、朝起きられない、立ちくらみがするといった悩みも。高血圧にはどのようなリスクがあるのか、低血圧だとどうなのかなど、血圧の基礎について見ていきましょう。
血圧とは?収縮期と拡張期とは?
私たちの血管を流れる血液は、心臓から送り出されます。その際に、血液が血管の壁を押す圧力のことを血圧と言います。
健康診断の結果を見ると、「収縮期血圧」と「拡張期血圧」があります。収縮・拡張とは、心臓の動きを表現したもの。心臓は血圧を送り出す時に収縮します。送り出された血液によって、血管の壁に圧力がかかります。
「収縮期血圧」とは、心臓が最も収縮した時の血圧のことです。
これに対して「拡張期血圧」は、心臓が拡張した時の血圧の値。心臓から送り出された血液は、再び心臓へ戻ってきます。その時、心臓は拡張して血液を溜め込みます。そうすると、血管の壁にかかる圧力が下がります。
正常値とは?
血圧の正常値の基準は、医療機関で測定する場合(診察室血圧)と家庭で測定する場合(家庭血圧)とで、やや異なります。家庭血圧は診察室血圧よりも5mmHg低い基準を用います。というのも、白衣を着た医師を目の前にすると、血圧が高くなるケースがあるからです。
正常値は診察室血圧の場合、収縮期が130mmHg未満かつ拡張期が80mmHg未満。正常値よりもやや高く、収縮期が130~139mmHgまたは拡張期が80~89mmHgは「高値血圧」と呼びます。
高血圧とは?
「高血圧」の基準は、収縮期が140mmHgまたは拡張期が90mmHg以上。高血圧になると、なぜ問題となるのでしょうか。
高血圧の方は、常に血管に過剰な圧力がかかっている状態にあります。その状態が長く続くと、血管の内側が傷つきやすくなります。
そもそも血管は加齢とともに、弾力性がなくなり、硬くなっていきます。それに加えて高血圧により、血管に刺激を与えることで、「動脈硬化」となるリスクが大きくなります。その結果、脳梗塞などの脳血管疾患、心筋梗塞などの虚血性心疾患につながっていきます。
高血圧の方は「減塩」が基本
高血圧と判明したら、医師の指導に従うことが必要です。多くの場合、食事を見直すように指導されます。程度によっては、降圧剤の服用も求められます。
食事の基本は「減塩」。食塩の摂取量は1日あたり6g未満に抑えることが大切です。塩分の多いカップ麺、ハム・ソーセージ、漬物、佃煮などは控えます。みそ汁も1日1杯に減らすようにします。アルコールも血圧を上げるため、飲酒量にも注意が必要です。
食事以外では適度な運動も効果的です。高血圧の改善には、有酸素運動を30分以上行うことが有効とされています。
低血圧とは?
低血圧の基準はあいまいです。というのも、低血圧=病気とは限らないからです。世界的な基準としては、世界保健機関(WHO)が収縮期100mmHg以下、拡張期60mmHg以下と定めています。
高血圧のように、低血圧については重視しない傾向が見られますが、疾患として問題になるケースもあります。
症状で最も多いのが、立ちくらみとめまい。そのほか、朝の起きづらさ、頭痛、倦怠感、肩こり、動悸などがあります。そうした低血圧症の原因は人によって異なります。体質が原因の方もいれば、心疾患やホルモン異常などが原因の方もいます。
食後に血圧が低下することもあります。これを「食後低血圧」と呼びます。食後、消化するために胃に血液が溜まり、心臓に戻りにくくなることが原因です。
低血圧の方は日常生活で注意を!
低血圧で悩んでいる方は、日常生活で注意が必要です。まずは過労を避けて、十分な睡眠を取ることが基本です。
体質的に低血圧となる方は、肉体的な弱さが原因となりがちのため、適度な運動で体を鍛えるようにしましょう。
食生活はバランスの良い食事を基本とし、水分を多めに取り、食塩も適度に摂取するようにします。食後低血圧の方は、1回の食事でたくさん食べることを控え、緑茶やコーヒーを食後に飲んでカフェインを適度に摂取することがオススメです。
立ちくらみが起こる方は、足を動かすなどしてから、ゆっくりとした動作で起き上がるようにしましょう。
「高血圧」「低血圧」に健康食品は無意味
血圧に着目した特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品が販売されていますが、これらは「やや高めの方」に向けた商品。「高血圧」「低血圧」の改善・予防にはまったく役に立ちません。
健康食品に頼らず、医師の指導に従って食事の見直しや運動などに取り組んでくださいね。
家庭用の測定器で日頃からチェック
血圧は年に1度の健康診断で測定しますが、できれば家庭用の測定器を購入して、日頃からチェックすると安心です。
高血圧の方も低血圧の方も、生活習慣の見直しが対策の基本。あなたの生活習慣を見つめ直して、手遅れにならないように改善してみましょう。