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人生100年時代、Tie2・リンパ・血管の研究を生活に取り入れよう

カラダ
YOKARE編集部
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人生100年時代、Tie2・リンパ・血管の研究を生活に取り入れよう

私たちの日々、生活する中で、研究が役に立っていると直接的にはあまり感じにくいことがあります。
例えば、スポーツ分野でも、仮説があり、研究で実証されたことが練習に応用されていくことはよくあります。インターバルトレーニングの運動休息比は、競技によって異なります。それは、乳酸系やATP-CP系など活性化したいエネルギー供給経路によって、持久力を向上させるために必要な運動休息比とセット数が異なると研究でわかったからです。つまり、エネルギー供給経路は、競技によって異なるので、どの供給経路を鍛えるかも異なり、インターバルトレーニングの運動休息比が変わるのです。

スポーツだけでなく、私たちの老化においても研究結果を役立つことがわかってきました。多くの人が40歳前後からカラダの変化を感じますが、加齢によって毛細血管が減少もしくはゴースト化していくことが知られています。この毛細血管の研究は私たちの生活にも取り入れていくことができます。

10月18日に第10回Tie2・リンパ・血管研究会では、「これまでの10年、これからの10年」と題して、毛細血管に関する研究発表が行われたので紹介します。

人生100年時代、健康に過ごすために毛細血管の維持

人の血管のうち、95%は毛細血管です。酸素や養分を末端に供給し、生命維持にとってももっと重要な役割を果たしていると言えます。
2014年にドイツのラルフ・アダムスの研究で骨密度と毛細血管との間に相関が見られたことから研究が始まったと毛細血管に関する研究の歴史を、Tie2・リンパ・血管研究会 会長 高倉伸幸先生は振り返りました。
2018年には毛細血管の役割が脳にも関連づけられ、マウスを用いた認知症の研究で、脳内の毛細血管密度が低下することで、認知機能が悪化することが明らかになりました。
2019年には、毛細血管の周りにあるペリサイト(血管を支える細胞)の役割に注目した研究が行われました。若いマウスでもペリサイトが減ったらどうなるかを研究し、血管機能の低下を引き起こし、認知障害を発生することがわかりました。

リンパ管・血管の老化からはじまるエイジングドミノ

また、血管と同じく、循環器系で忘れていけないのはリンパ管です。
心臓から動脈を介して末端細胞へ血液は運ばれ、静脈を介して90%は回収されて戻ってきます。しかし10%は静脈で回収されずにリンパ管を経由して戻ってくるのです。

東京科学大学 病態生化学分野 渡部徹郎先生によれば、「リンパ管は常に一定の方向に流れ、緊張や蠕動運動によって心臓がないためにも関わらずリンパ液が浸透します」。そんなリンパ管は加齢とともに低下し、平滑筋の低下、弁の機能低下、バリア機能低下により漏れていくようになってしまいます。
足のむくみに始まり、エイジングドミノと言われる症状に繋がり、フレイルや要介護に最終的にはつながってしまう可能性があります。
渡部先生は、目のリンパ管、脳のリンパ管からはじまるエイジングドミノの例を挙げました。眼のリンパ管といわれるシュレム管を通って眼房水が静脈へ吸収されることで眼圧が一定に保たれています。しかし、眼房水の流れが妨げられることで、緑内障を発症します。加齢によって血管系やリンパ系の両方が障害されると、脳にアミロイドβが蓄積されてしまい、アルツハイマーにつながってしまいます。

自分自身の毛細血管を見ると意識が変わる

毛細血管スコープ血管美人を開発する、あっと株式会社のデータサイエンティスト 齊藤さんは、「健康経営」プログラムとして企業へ毛細血管スコープを活用した導入事例を紹介。
87%が健康について「気づき」を得られたと回答し、33%の参加者は「気づき」から実際の具体的行動に移したことも挙げられています。さらに、参加者の46%がプログラムを通じて毛細血管が改善されました。

医学と工学を融合した組織工学研究を行う東京大学生産技術研究所の松永行子先生によるプロジェクト、「血管の音色 Attune」は毛細血管の状態を耳で聴くという体験型の作品。

科学と芸術の丘などで設置されました。 毛細血管を見ることで行動変容につながります。

充実した人生100年時代を迎えるために毛細血管やリンパ管を維持しよう

私たちの健康に深く関わる毛細やリンパ管の研究は、老化や生活習慣とそれに伴う認知症や緑内障などに知見を与えてくれます。

Tie2(タイツー)の働きが活発になり、アンジオポエチン-1と結びつくことで、血管の構造的な安定化が守られ、血管のゴースト化を防ぐことができます。しかし、アンジオポエチン-1の分泌量は加齢と共に減少していまうので、代わりになる素材として、ヒハツやシナモンが注目されています。

ヒハツやシナモンなどのTie2を活性化する植物を取り入れることも一つの対策ですが、未病の段階でのアプローチとして適度な運動やバランスのとれた食生活、ストレス管理を行うことが大切です。毛細血管やリンパ管の健康を守ることが、充実した人生100年時代を迎えるための始まりになるでしょう。

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