健康に大切な「カルシウム」についてもっと知ろう
カルシウムは、特に成長期の子どもや、骨がもろくなりがちな中高年にとって、しっかりと摂取しておきたい栄養素。カルシウムの吸収効率は、ほかの栄養素とも密接に関連しています。カルシウムの基礎知識について解説します。
カルシウムってどんな成分?
カルシウムはミネラルの1種。私たちの体内にあるミネラルのうち、カルシウムが最も多く、成人では約1㎏も存在しています。そのほとんどが骨や歯に含まれていて、骨・歯の健康維持に重要な役割を果たしています。
このほか、筋肉収縮、血液凝固作用、細胞分裂などにも関与しています。神経を安定させる作用もあります。
このようにカルシウムは、骨や歯の形成だけでなく、身体機能の維持・調節に不可欠な栄養素なのです。
不足したり、過剰に摂取したりするとどうなる?
カルシウムが不足すると、骨や歯の健康が蝕まれます。子どもでは成長に悪影響も。中高年女性の場合、カルシウム不足が続くと骨粗しょう症の原因となります。
反対に過剰摂取すると、高カルシウム血症や高カルシウム尿症、尿路結石などの原因となります。便秘なども生じます。
毎日どのくらい摂取すればいいの?
カルシウムは、毎日の食事からしっかり摂取することが基本です。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、カルシウムの1日あたりの「推奨量」を定めています。
それによると男性の場合、15~29歳が800mg、30歳~74歳が750mg。女性の場合は15歳~74歳が550mgです。
男性のカルシウムの1日あたりの推奨量
- 15~29歳が800mg
- 30歳~74歳が750mg
女性のカルシウムの1日あたりの推奨量
- 15歳~74歳が550mg
カルシウムが豊富な食品とは?
子どもの頃、「牛乳を飲みなさい」「小魚を食べなさい」と言われませんでしたか?牛乳や小魚には、成長期の子どもにとって重要なカルシウムが多く含まれているからです。
カルシウムは乳製品や小魚のほか、大豆製品、野菜類、海藻などにも豊富に含まれています。
乳製品を見ると、牛乳はコップ1杯(200g)に220mg、ヨーグルトは1パック(100g)に120mg、プロセスチーズは1切れ(20g)に126mgのカルシウムを含んでいます。
乳製品に含まれるカルシウム量
- 牛乳はコップ1杯(200g)に220mg
- ヨーグルトは1パック(100g)に120mg
- ロセスチーズは1切れ(20g)に126mg
骨ごと食べる小魚は、カルシウムの摂取源として理想的。シシャモなら3尾に149mg、サクラエビなら大さじ1杯(5g)に100mg含まれています。
小魚に含まれるカルシウム量
- シシャモなら3尾に149mg
- サクラエビなら大さじ1杯(5g)に100mg
野菜は、小松菜が70g(1/4束)あたりに119mg、菜の花が50g(1/4束)あたりに80mg、水菜が50g(1/4束)あたりに105mgなど。また、木綿豆腐は150gあたりに180mg、納豆は1パック(50g)に45mgです。
野菜に含まれるカルシウム量
- 小松菜が70g(1/4束)あたりに119mg
- 菜の花が50g(1/4束)あたりに80mg
- 水菜が50g(1/4束)あたりに105mg
カルシウムを効率的に吸収するためのポイント
骨や歯の健康を考えると、カルシウムを多く含む食品に目が向きがちですが、それだけでは不十分。というのも、カルシウムの吸収は、ほかのミネラルやビタミンとも関係しているからです。
カルシウムを効率的に吸収するには、ビタミンDの摂取も必要です。ビタミンDは太陽の光を浴びることで、体内で生成されます。食品から摂取する場合は、イワシ・サンマ・サケといった魚類、キクラゲ・シイタケなどのキノコ類がオススメです。
さらに、カルシウムの吸収効率は、マグネシウムやリンとも関係しています。
カルシウムとマグネシウムはバランスが大切で、カルシウム:マグネシウム=2~3:1が理想的と言われています。このバランスが悪いと、骨などに悪影響を与えます。また、リンを過剰に摂取すると、カルシウムの吸収効率が悪化します。
カルシウムを強化した栄養機能食品
カルシウムは栄養機能食品制度(消費者庁の所管)の対象成分で、一定量を配合した商品に「カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です」と表示できます。配合量については、1日分あたりに204mg~600mgと規定されています。
カルシウムの栄養機能食品は人気のジャンルで、サプリメント・菓子・飲料・デザートなど多様な商品が販売されています。
カルシウムを補給したい方にとって、栄養機能食品の活用も有効な手段です。
食生活を見直してカルシウムをしっかり摂ろう!
カルシウムには、骨・歯の形成、筋肉収縮など多くの作用があります。健康を守るためには、食生活を見直してカルシウムをしっかりと摂取することが大切。その際には、カルシウムの吸収効率と関連するビタミンDなどの摂取にも注意しましょう。