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生鮮食品丸ごとの機能性表示食品

食育
YOKARE編集部
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生鮮食品丸ごとの機能性表示食品

ミカンやリンゴ、モヤシ、トマトをはじめ、多くの種類の生鮮食品が機能性表示食品として販売されています。最近では生鮮肉の地鶏や鮮魚のマダイも登場。「血圧」「内臓脂肪」「血糖値」など、さまざまな効果をうたった生鮮食品の機能性表示食品について解説します。

ミカンとモヤシを中心にスタート

2021年6月6日現在で、機能性表示食品として公表された生鮮食品は106件。全体の届出件数の2~3%にすぎませんが、特定保健用食品(トクホ)の生鮮食品の実績がいまだにゼロであるのと比べると、注目すべき件数と言えます。

機能性表示食品制度がスタートした2015年当時、生鮮食品はミカンとモヤシが中心でした。モヤシについては、大豆イソフラボンの働きによって「丈夫な骨を維持したい中高年女性の方に適した食品」と表示。ミカンはβ‐クリプトキサンチンを含み、「骨の健康に役立つ」とうたった製品が登場しました。

リンゴ、バナナ、ナス、イワシ、豚肉など続々と

その後、野菜ではトマト、唐辛子、ケール、ホウレンソウ、パプリカ、ブロッコリー、ナス、カボチャ、エゴマの葉、ヘチマが登場。果物はリンゴ、バナナ、メロン、ブドウ、ビルベリーが加わりました。

さらに、野菜・果物にとどまらず、生鮮肉や鮮魚にまで拡大。肉類は地鶏と豚肉。鮮魚はイワシ、カンパチ、ブリ、マダイがあります。

 

これらのほか、生鮮食品として米、卵、エノキタケ、ナッツなどが販売されています。

効果の表示内容をいくつか紹介します。

  • リンゴ「内臓脂肪を減らす機能」
  • バナナ「血圧を低下させる機能」
  • 唐辛子「食後の血糖値の上昇を抑える機能」
  • エゴマの葉「花粉やハウスダスト、ホコリなどによる目の不快感を軽減」
  • 地鶏「個人が経験した比較的新しい出来事に関する記憶をサポート」
  • マダイ「中性脂肪を低下させる機能」

販売者は食品企業だけでなく、農協が多いのも特色です。農業者の利益拡大に向けて、国産食材の高付加価値化を目指しているわけですね。

安全性については喫食実績によって確認するケースがほとんど。ミカンやリンゴ、モヤシやホウレンソウなどは古くから全国で多くの消費者が食べてきたわけですから、喫食実績は十分すぎるくらいあり、安全と言えますよね。

サプリメントや飲料などと比べて、より安心して利用できることも生鮮食品のメリットとなっています。

生鮮食品の機能性表示食品の難しさ

生鮮食品を機能性表示食品として届け出る場合、もっとも難しいのは、機能性関与成分の含有量をいかに安定させるかという点。というのも、季節によって気温・気候などの栽培条件が異なる結果、成分の含有量にバラツキが出てしまうからです。

成分の含有量をできるだけ安定化させるために、生産現場ではさまざまな工夫を行っています。例えばホウレンソウの場合、収穫期直前にハウスの窓を開ける(寒締め栽培)ことによって、ルテインの濃度を高めています。

温州ミカンだと、含有成分のβ‐クリプトキサンチンの濃度と糖度の関係性が密接なことから、選果機の糖度測定によってβ‐クリプトキサンチンの濃度を保証しているのです。

表示方法についても工夫

生鮮食品の機能性表示食品については、成分含有量の安定化に取り組んだとしても、どうしても製品に表示した値を外れる可能性も出てきます。その場合には、「〇〇〇の含有量が表示値以上になるように、栽培・出荷の管理を実施していますが、生鮮食品のため、気象などの影響により、〇〇〇の含有量が表示されている量を下回る場合があります」と製品パッケージに表示します。

1日摂取目安量の設定にも配慮しています。というのも、期待される効果を発揮するためには、ミカンなら1日3個、トマトなら1日1~2個、モヤシなら1日200gの摂取が必要で、特定の食材ばかり多く取ることになり、食事のバランスが崩れてしまうからです。

そこで、生鮮食品については「本品を約1個食べると機能性が報告されている一日当たりの機能性関与成分の量の50%を摂取できます」という表示方法が認められています。ただし、%表示は「50%以上」でなければなりません。

 

機能性表示食品の生鮮食品は野菜・果物を中心に、今では生鮮肉や鮮魚、卵、ナッツなどへと広がっています。国内農業の活性化という観点からも、引き続き多くの届出が行われ、その裾野は広がると予想されます。

どうせ果物や野菜を食べるならば、あなたの健康ニーズに合った機能性表示食品の生鮮食品を活用してみてはいかがでしょうか。きっと、毎日の健康をサポートしてくれるでしょう。
 

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