米離れに歯止めはかかるのか
日本人の米離れが問題視されたのは、平成13年(2001年)に一人当たりの米の消費量が100㎏をきってからです。令和4年(2022年)には一人当たりの消費量は50.7㎏まで落ち込んでいます。[※1]
しかし、日本人の心は米離れしてはいないようです。あるアンケート調査で「ご飯が好きか嫌いか」という質問に対して、「好き」という回答が97%を占めていたそうです。
では、なぜ米離れが加速的に進んでいるのか、どうすれば米離れに歯止めがかかるのか、考えてみましょう。
お米の種類は300種以上
日本にはどれくらいの種類の稲が成育されていると思いますか?
なんとお米は、300種以上もあるそうです。その内訳は下記になります。
- うるち米…200種
- 酒米…26種
- もち米…88種
うるち米は私たちが普段食べているお米で、一般的に「白米」として知られています。この種のお米は主に食卓で食べられ、地域ごとの品種が存在します。最近では気候変動に対応し、さらに美味しいお米を提供するために、さまざまな研究と努力がなされています。ブランド米も多く、新しい品種が毎年発表され、その年の人気によって変動します。
毎年新しいブランド米が発表され、年によって人気は変わりますが、下記のお米に人気が集まるようです。
1位 | コシヒカリ(新潟) |
2位 | あきたこまち(秋田) |
3位 | ゆめぴりか(北海道) |
4位 | ひとめぼれ(宮城) |
5位 | つや姫(山形) |
なぜ米離れがおきているのか
日本人はお米が好きで、おいしいお米がたくさんあるにも関わらず、米離れが進んでいるのはなぜでしょうか。
お米の消費が減少している「米離れ」の原因には、いくつか理由があるようです。
- 食生活の多様化(主食が簡単に食べられるパンや麺類に移行)
現代の食生活は多様化しており、パンや麺類など、主食としてお米以外の食品が広く普及しています。これにより、お米の消費量が減少しています。 - 少子高齢化
少子高齢化が進む中、家族の人数が減少し、また高齢者が多くなることで、お米の消費量が減少しています。少人数の食事では、調理の手間を減らすために、より簡単に調理できる食品が選ばれる傾向があります。 - 世帯構造の変化(共働き世帯や単身世帯が増えている)
共働き世帯や単身世帯の増加により、食事の準備にかける時間が限られ、手間のかからない食事が好まれるようになっています。これが、お米の調理に対する手間を感じさせる要因となっています。 - 中食(パックライスやコンビニ弁当)外食の増加
コンビニ弁当やパックライスなどの中食の普及や、外食の増加により、家庭でお米を炊く機会が減少しています。
つまり、ご飯は食べたいけれども、お米を調理するには手間がかかる、ということに尽きるのではないでしょうか。無洗米もありますが、無洗米でも炊くためには一定の準備が必要です。これらの要因が組み合わさって、お米の消費量が減少しているのです。
お米の消費量を上げるための取り組み
お米の消費量を上げるためには、お米の魅力を伝え、消費者の意識を高める取り組みが効果的です。
- 学校給食での米飯の推進
- 米飯の健康効果についての普及・啓発活動
- 新しい品種の開発
- 米粉の普及
また、新しい品種の開発を通じて、新たな消費者ニーズを生み出すことも取り組むの一つになります。
秋田県立大学の機能性米への取り組み
「機能性米」という新らたなニーズの創出を目指し、健康志向の需要に対応した品種も開発しているのが秋田県立大学です。
米には、主食用米、味噌や煎餅などに用いられる加工用米、酒造り用の酒米など用途に応じたニーズがあります。
その中で注目されているのは、秋田県立大学で開発した「まんぷくすらり」です。この米はレジスタントスターチ(難消化性デンプン)が通常の米の10倍も含まれており、生活習慣病の予防に役立つと期待されています。
『まんぷくすらり』は、食物繊維と似た働きを持つ難消化性澱粉があきたこまちの約10倍程度高く、食後の血糖値上昇を抑制する効果があり、満腹感も得られる機能性米です。また難消化性澱粉は、血糖値上昇抑制という機能性以外にも、腸内環境の改善も期待できることから、2型糖尿病や糖尿病予備群、肥満に対しても有用性が期待されます。
出典:本学発ベンチャーが企業と共同で米粉商品を開発しました|秋田県立大学
ただし、食感がかたく、普通に炊いて食べるには向かないようです。パエリアなどでは「まんぷくすらり」100パーセントでもおいしく食べることができるようです。
また、「まんぷくすらり」を使用した「カラダ想いのきりたんぽ」は、食感の硬さを解消し、通常のきりたんぽと遜色のない食感を実現しています。
調理法や加工によっては、消費量拡大の一助になるかもしれませんね。
参考資料
※1 お米の1人当たりの消費量はどのくらいですか。|農林水産省