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ボルドーワイン「2020ヴィンテージ」速報!

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YOKARE編集部
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ボルドーワイン「2020ヴィンテージ」速報!

ボルドーワイン「2020ヴィンテージ」速報が、ボルドーワイン委員会から発表されました。困難に打ち勝った歴史に残るヴィンテージ収量はやや控えめながらも品質は傑出。2020年ヴィンテージの収穫状況について、ボルドーワイン委員会がレポートを発表いたしました。今年は新型コロナウィルス禍という未曾有の事態のもと、局地的・一時的にはさまざまな天候被害が発生して収量が下がるなど、幾多の困難に苛まれたぶどう生育期間でありました。
最終的には、ヴィニュロン(栽培醸造家)たちの真摯かつ懸命な努力の甲斐もあって、ぶどう樹は見事な質の実りとなりました。

ボルドーワイン 2020 早わかり
  • 豊かな色調とタンニンに加え、アルコールと酸のバランスがすばらしく、期待が高まる仕上がり。
  • 予想生産量は過去10年の平均値を若干下回る。
  • 暖冬のあとの春には、遅霜、雹・あられ、大雨などで局地的な被害が発生。
  • 夏は酷暑で、収穫がピークを迎えた9月前半は完璧な好天。
  • ぶどう生育期間は、平年比で約15日早く推移。
  • 早めの収穫(8月中旬から9月末)。

品質水準とワイン生産量

2020年のぶどう生育期間は、後述する通り、さまざまな天候被害に見舞われました。しかしながら、その時期がうまく重要な時期からはずれていてくれたり、あるいはアペラシオンが限定されていたりしてくれたおかげで、結果的には総じて十分な成熟度の、健全で優れた果実が得られています。ワインはまだ醸造途中であるがため、最終的な「判決」を下すには時期尚早ではありますが、明るい話題。

ボルドー大学醸造学部が定義した「偉大なヴィンテージの条件」の一つに、「開花時期が早く、受粉から結実が迅速かつ均質に進むこと」が挙げられます。2020年の開花時期は例年より約2週間早く、好天のもと申し分ないペースで進みました。色付きの期間に水分ストレスがかかることも、同じく「偉大なヴィンテージの条件」のひとつだが、この点でも2020年は十分すぎるほどでした。6月末から色付きが終わる8月上旬までの間、この年はほとんど雨が降らず、1959年以来最も雨の少ない夏でした。

平均気温
7月から9月にかけて、どの月も平均気温が平年を上回っていたのも、概して言うなら果実の成熟を促進してくれた事象。日照量については、8月こそ平年をわずかに下回ったものの、7月は大幅に、後半に雨が降った9月も10%以上は平年を上回っています。

8月末から9月半ばすぎまでは、再びまったく雨が降らない中、最高気温が35℃前後にも達する暑い日が何日もあり、風味成分をしっかりと凝縮させました。それでも、昼夜の寒暖差が十分にあったのと、摘みとり開始が平年より早かったために、ぶどうはフレッシュさを失っていない。カビ病の繁殖とも、この時期は無縁でした。

9月後半からは秋雨に見舞われたものの、早く生育期間が推移してくれたおかげで、大多数のヴィニュロンはすべての品種の収穫を、9月末までに終えることができています(9月末の3日間は、好天であった)。晩熟のカベルネのみ、降雨の中で収穫が進んだものの、もとより果皮が分厚いこの品種は、多少の秋雨には耐えることが知られています。

黒ぶどうは品種を問わず、果皮が厚めになったのが目覚ましい特徴で、濃い色とたくましい渋味を備えた、力強い赤ワインが生まれそうだ。赤白問わず、アルコールと酸のバランスは申し分ない。

収穫量は減少

品質面では好材料が多く揃った2020年だが、ぶどうの収穫量、すなわちワインの生産量については、過去10年の平均値(約500万ヘクトリットル)をわずかに下回る結果となりそうです。原因のひとつは、5月前半および6月を通じて降り続いた雨のために、ベト病の被害が出たこと。よくない房を切り落としたことで、収量減にはつながったものの、品質へのマイナスは生じてはいません。

もうひとつの原因は、極端に乾燥した7月が招いた樹の水分ストレスと、8月末から9月前半にかけての気温上昇により、果粒が小粒になったことです。ただし、これは疑いなく、品質面ではプラスに数えられる要素です。

新型コロナウィルス禍の影響

この流行病が、2020年のぶどう栽培ならびに収穫に、いくばくかの影響を及ぼししました。春先に、ボルドー地方を含めたフランス全土で外出制限がなされたのは、まだ記憶に新しいことでしょう。ただし、畑での農作業は必須の営みとして、例外的に許可されていたため、栽培管理の作業が滞るような事態にはならなかったことは救いでした。フランスのギヨーム農相から3月末、ロックダウンによって仕事ができなくなっている人々に対し、「農作業を手伝おう」という応援メッセージが発せられたことも、ヴィニュロンたちにとっては勇気づけられたでしょう。

シーズンのクライマックスであるぶどうの摘みとりも、感染を防ぐために必要な措置を講じつつ、社会的距離を保っての営みになったため、平年とはやはり勝手が違っていました。

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