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World Bicycle Day(世界自転車デー)の取り組みと自転車のメリット

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YOKARE編集部
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World Bicycle Day(世界自転車デー)の取り組みと自転車のメリット

アメリカの社会学教授であるレシェク・シビルスキーによる草の根運動から始まり、2018年に国連総会決決議で、56カ国の支持を得て、World Bicycle Day(世界自転車デー)は6月3日に制定されました。最終的には、決議は加盟全193カ国の賛成により採択されました。

この採択は、自転車の独自性、多用途性、耐用年数の長さが評価されました。自転車は、手頃な価格で、持続可能な輸送手段であり、環境保全と健康を促進することに期待を込められているでしょう。

2022 年 3 月に国連総会では、「持続可能な開発のための公共交通システムへの主流の自転車の統合(integration of mainstream bicycling into public transportation systems for sustainable development)」が提出され、幅広い地域の支持を得ました。

自転車は、利便性、健康上の利点、世界中の温室効果ガスの削減に期待されていることが伺えます。今回は、6月3日の世界自転車の日を祝って、自転車の健康効果と環境へのメリットについて考えてみましょう。

自転車のメリット

糖尿病患者の減少

2040 年までに成人の 10 人に 1 人が糖尿病に罹患すると言われています。 1 型糖尿病は、一般的に人生の最初の段階 (2 ~ 25 歳) に現れる糖尿病は、原因はまだわかっていませんが、自己免疫疾患と考えられています。一般的に"糖尿病"というと2型糖尿病のことで、生活習慣の悪化に伴ってインスリンが出なくなったり、効かなくなったりして、血液中を流れるブドウ糖という糖(血糖)が増えてしまう病気です。

南デンマーク大学の研究者は、24,623 人の男性と 27,890 人のデンマークの女性、年齢 50 ~ 65 歳、2 型糖尿病やその他の慢性疾患のない人が、サイクリングの習慣に関するライフスタイルを5年間調べました。研究では、人生の後半(50歳以降)でサイクリングを始めた人でも、サイクリングを全くしない人と比較して、糖尿病 のリスクが 20% 低いことがわかりました[※1]。

中高年が通勤やレクリエーションのサイクリングに取り組むことは有益です。

中高年のサイクリング

日本を対象として研究でも、通勤の主な手段としての自転車は、糖尿病リスクの低下と有意に関連していることがわかりました[※2]。

また、サイクリングは糖尿病に苦しむ人々にとっても適したスポーツの 1つ。サイクリングは反復的で一定のタイプの有酸素運動で、下肢に位置する筋肉量の 70% を活性化するため、糖尿病に効果があります。

体脂肪の低下

持久系スポーツはカロリーを燃焼するのに最適であり、自転車は他のスポーツより日常的に取り入れることができます。呼吸する酸素が多いほど、より多くのカロリーを消費します。つまり、多くの血液を体や臓器に送り込み、エネルギーを消費し、体重を減らすことにつながります。

自転車と体脂肪

ハーバード大学の研究による、時速19.3km~22.4kmの中程度の強度で30分間自転車に乗った場合の消費カロリーが下記になります[※3]。

  • 56.7kgの人で210〜240kcalを消費します
  • 70.3kgの人で260〜298kcalを消費します
  • 83.9kgの人で311〜355kcalを消費します

膝に負担がかからない

サイクリングは、水泳以外で関節に負荷をかけない唯一の運動です。若い頃にスポーツをしていて、膝や足首を怪我した経験がある場合、膝に負担がかかりすぎてないかは気になるところ。

メンタルヘルス

ランニングやサイクリングがその好例である有酸素運動が不安感を大幅に軽減し、不安感がパニック発作や障害に発展するのを潜在的に防ぐことができることが示されました[※4]。

自転車とメンタルヘルス

さらに、うつ病の患者に対して身体活動が有効であることもわかっています。
スポーツ医学雑誌『British Journal of Sports Medicine』に掲載された研究では、健康な成人、精神障害を持つ人々、さまざまな慢性疾患を持つ人々(128,119 人)を対象にして、うつ病、不安、精神的苦痛の症状に対する身体活動の影響を調べました[※5]。最大の効果は、うつ病、HIV、腎臓病の人、妊娠中および産後の女性、健康な人に見られました。このことからも身体活動は、うつ病、不安、精神的苦痛の管理における主要なアプローチであるべきです。

CO2 削減

欧州サイクル連盟(the European Cyclists’ Federation :ECF)の調べによると、自転車は自動車に比べて、とってもエコとわかります[※6]。
自動車を運転すると、乗客 1 キロあたり約 271 g の CO2 が排出されます。
平均的なヨーロッパ人の食事からの CO2 排出量を加えると、1 キロメートルのサイクリングあたりさらに 16g の二酸化炭素が排出されます。合計すると、自転車に乗ることによる 1 km あたりの CO2 排出量は約 21g になります。自転車は自動車の 10 分の 1 以下です。

さらに改善の余地もあると書かれています。ヨーロッパ人は肉を多く食べることから、100 カロリーを生産するために最大 1500 g のCO2排出量が必要です。肉を控えてベジタリアンなれば、100 カロリーを生産するためにトウモロコシは 11 gのCO2排出量、ジャガイモは 23 gのCO2排出量で 抑えることができます。

ベジタリアン

日本の自転車の日は、交通マナーの向上

ちなみに日本における自転車にかかわる記念日は、旧自転車法が施行された5月を記念して、5月1日~31日は「自転車月間」。期間中の祝日である5月5日を自転車の日と定めています。どちらかというと、交通ルールの遵守及び交通マナーの向上を目的とされています。

健康促進や持続可能性の観点から自転車を活用することは世界的に前向きですが、前提として、安全でならなければ自転車の普及も難しいでしょう。


 

参考文献

※1:Associations between Recreational and Commuter Cycling, Changes in Cycling, and Type 2 Diabetes Risk: A Cohort Study of Danish Men and Women

※2:通勤自転車と 2 型糖尿病のリスク

※3:Calories burned in 30 minutes for people of three different weights

※4:Effects of aerobic exercise on anxiety sensitivity

※5:Effectiveness of physical activity interventions for improving depression, anxiety and distress: an overview of systematic reviews

※6: How much CO2 does Cycling really Save?
 

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