耕作放棄地の問題点
耕作放棄地面積は、1985(昭和60)年までは、およそ13万haで横ばいであったが、1990(平成2)年以降から増加に転じ、2005(平成17)年には、東京都の面積の1.8 倍に相当する38.6万haとなっています。
また、農地面積は減少する中で、耕作放棄地面積率は約3倍に増加しています。2015(平成27)年の調査では、耕作放棄地は42万3千haに及んでいます。
なぜ、耕作放棄地は増加しつづけているのでしょうか。耕作放棄地が増えることでどのような問題が発生するのでしょうか。
耕作放棄地とは何か
耕作放棄地とは「過去一年以上、作物を作付けせず、数年間作付けする意思のない土地」であり、似たような言葉として荒廃農地や遊休農地などがあります。
荒廃農地とは、耕作放棄により作物の栽培が不可能になっている農地のことで、更に進むと遊休農地。現状作物が育てられておらず、今後も育てる予定がないと見込まれる農地のことです。
耕作放棄地が何故増加し続けるのか
1970(昭和45)年に始まった減反政策がきっかけと言う説もありますが、2018(平成30)年には中止されています。「減反政策」は、田んぼの面積を表す単位である「反」を減らすことから減反と呼ばれました。米の生産量が消費量を上回ったことから、米余りが発生したことから始まりました。減反政策に従えば補助金が入り生活が安定しました。
減反政策は、補助金(納税者負担)を出して米価を上げる(消費者負担増加)といった側面もありました。50年にわたり続けられた「減反政策」は廃止されましたが、耕作放棄地が増加しているのは、農業人口の減少ということが一番に考えられます。
- 少子高齢化による後継者不足
- 日本人の米離れ
- 生産調整
最近では、朝食は米よりパン派という人も多いのではないでしょうか。昼食はうどん、そば、ラーメン、夕食はパスタ。米以外にも選択肢はたくさんあります。
耕作放棄地の問題点
食料自給率の低下
日本の全体の食料自給率は、カロリーベースで28%、生産ペースで68%だそうです。そのような中で米だけが自給率ほぼ100%なのです。
出典:令和3年農水省資料
昨今の社会情勢や自然災害の多さは、いつ何時輸入が出来なくなるか予測不能で、食糧不足に陥る危険性をはらんでいます。
災害時の危険性が増大
農地には洪水などを防ぐ機能がありました。手入れされた農地の減少は水はけの悪化、地盤のゆるみなどの問題の原因ともなります。
廃棄物の不法投棄
日本人の健康で安全な暮らしが守るには、耕作放棄地を見直すことも大事な一つではないでしょうか。
害虫や鹿やイノシシなどの野生動物の繁殖
耕作放棄地は野生動物の隠れ家だけではなく、餌場としてもちょうど良い環境です。耕作放棄地だけにとどまらず、周辺の農地にも被害が及び、収穫に大きく影響します。近年では農作物被害だけではすまなくなっており、人的被害もおきてます。