夏から秋への変わり目は美肌菌バランスの乱れにご用心!
●コロナ禍において、敏感肌への意識がたかまっている
資生堂が10代~60代の女性1,500名に行った化粧品重視度変化の調査によると、コロナ禍において敏感肌向け化粧品に対する意識は高まっている傾向にあるようです。
新型コロナウィルスの影響で化粧品銘柄選択の際に「敏感肌向け・肌にやさしい」という特性を重視するようになったか否かを問うと、「非常に重視するようになった/重視するようになった」の回答をあわせると、2020年4月時点では15.1%なのに対し、6月時点では21.2%と、およそ6ポイント上昇しており、2割を超えています。
マスク着用の必要性や生活バランスの崩れなどから、肌のゆらぎが気になる方が増える傾向にあるのかもしれません。
●夏から秋への季節の変わり目のゆらぎ肌。それは“美肌菌バランス”の乱れが原因かも
例年とは異なるライフスタイルに加え、真夏から徐々に秋へとシフトする残暑の季節。毎年季節の変わり目に急に肌のコンディションを崩す、という方も少なくないのではないでしょうか?
夏から秋への移行期は、夏の間に大量に浴びてしまった紫外線の肌へのダメージの影響が現れ始める時期でもあり、肌に乾燥やシミ・そばかすといった目に見える変化を感じることも多いでしょう。
また、夏バテで体力自体も落ちてしまいがちで、新陳代謝のバランスを崩すことも。
ふだんは健やかなお肌の方でも急にニキビや赤み、かゆみや皮がむけてしまうなどの肌トラブルを感じることもあるかもしれません。
この季節替わりの時期の“ゆらぎ肌”、皮膚表面を覆っている肌の常在菌のバランス(美肌菌)が崩れてしまったことが原因かもしれません。
美肌菌と敏感肌の関係と、季節の変わり目の“美肌菌バランスの乱れ”対策を、皮膚科医の慶田朋子先生に伺います。
【監修医師 プロフィール】皮膚科医 慶田朋子先生
東京女子医科大学医学部医学科卒業。同大にて皮膚科助手、美容クリニック勤務などを経て、銀座ケイスキンクリニックを開設。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・日本レーザー医学会認定レーザー専門医。
最新の医療機器と注入治療をオーダーメイドで組み合わせ、「切らないハッピーリバースエイジング(R)」(メスを使わない若返り)を叶える美容皮膚科医として活動。著書に『女医が教える、やってはいけない美容法』(小学館)など。
●美肌菌とは?
私たちの肌表面には、指紋のように一人ひとり異なる種類や量の常在菌が検出されます。これらの常在菌は、肌にうるおいを生み出したり、肌のバリア機能を高めたり、24時間、365日肌で働いている状態なのです。
免疫的に寛容なまだ小さい赤ちゃんの頃に、肌に触れた常在菌が生着(自分の菌として定着する)することが可能で、母親の皮膚と接することで母親の肌の常在菌バランスを受け継ぐ可能性も示唆されています。常在菌バランスは思春期が終わるころには定着し、成人時にはその人ならではのバランスになるといわれます。
皮膚には300種類もの「皮膚常在菌」が存在しており、「表皮ブドウ球菌」を主とする肌の保護に役立つ常在菌が、いわゆる「美肌菌」です。逆に肌に悪影響を与える悪玉菌には、アトピー肌の方に多くみられ、炎症や肌荒れの原因となる「黄色ブドウ球菌」などがいます。
表皮ブドウ球菌のような美肌菌と、黄色ブドウ球菌のような悪玉菌は、互いに牽制しあい、バランスをとりながら共存していくので、悪玉菌を増殖させずに美肌菌がきちんと育つ環境をつくってあげることが重要です。
●美肌菌のはたらき
お肌の天然保湿クリームを作ってくれる
「表皮ブドウ球菌」は肌のうるおいを保つグリセリンや、肌を弱酸性に保ちながら雑菌・黄色ブドウ球菌の繁殖を防ぐ脂肪酸を生成し、肌のバリア機能を保つ役割を持ちます。
いわば、お肌を有害物質からガードしたり、天然のうるおいクリームを作ったりしてくれるのです。
バリア機能を強化してくれる
美肌菌はまた、3つのアプローチから肌のバリア機能を強化してくれることもわかっています。
(1)物理的バリア
肌の大部分を占める細胞、ケラチノサイトの“タイトジャンクション”=細胞同士の密着・結合)を強化し、隙のない壁を作る。
(2)生物学的バリア
ケラチノサイトが抗菌作用のある「抗菌ペプチド」を産生することを促進し、美肌菌自らも抗菌ペプチドを産生、黄色ブドウ球菌や溶連菌といった悪玉菌を選択して殺す。
(3)免疫学的バリア
免疫細胞であるT細胞に必要な働きをするよう指令を出す。
●“敏感肌”に足りないのは、美肌菌だった!?
新知見!敏感肌さんは美肌菌が少ない
長年に渡り「敏感肌」に関する研究を続けてきた資生堂は、そんなお肌の味方である「美肌菌」が、敏感肌では健康な肌より少ないという新知見にたどりつきました。
補足:この試験では、乳酸による刺激に感受性の高い肌を敏感肌として選び、乳酸刺激を感じない肌を非敏感肌としています。
研究では、美肌菌が多い肌は、(1)水分量が多い (2)赤みが低い ということが判明したことから、美肌菌の少なさが、水分量低下によるバリア機能低下や肌の赤みなど、敏感症状の一因になっている可能性が考えられます。美肌菌が少ないことは肌を健やかに育む環境が十分に備わっていない状態と言えるでしょう。
特に夏から秋への季節の移り変わりは、気温や湿度の変化から皮脂分泌量が変化する、真夏には汗をかいて潤っていた肌が急激に乾燥する、人によっては秋の花粉アレルギー(ブタクサ、ヨモギ、キリンソウ等)により肌の機能が低下するなど、安定して美肌菌が増殖できない環境となってしまうリスクがあります。
季節の変わり目のゆらぎ肌でもより安定して「美肌菌」を増やし、働いてもらうために、自身の肌状態を把握し、美肌菌を増やす「美肌菌ケア」に取り組みたいものです。
頬の常在菌における表皮ブドウ球菌の割合と水分量の相関
●皮膚科医が教える!美肌菌の育て方
「美肌菌は美容皮膚科の中でも今まさに急上昇中のトピックで、世界中で盛んに研究が進んでいます。美肌菌は誰もが持っているもので、自分の肌を潤わせて守る役割を果たしてくれる天然の、しかも自分のためだけの美容液のようなもの。美肌菌のケアをすることで、敏感肌の方も、より美しい肌を目指すことができます。」(慶田先生)
自分の肌の常在菌のバランスを整えるためにはどんなことが有効なのか、慶田先生に伺いました。
洗顔やスキンケア、生活習慣などをトータルで意識することで、美肌菌が喜ぶ環境づくりを目指していきましょう。
洗顔やスキンケアのポイントは?
皮脂をきちんと落とすことが必須です。皮脂が毛穴に詰まると無酸素状態になり、アクネ菌が増殖しすぎてしまいニキビの原因に。アクネ菌は好脂性(脂分を好む)で、増えると皮膚に対してさらに皮脂の分泌を促す作用を発揮してしまい、ますます皮脂が増えやすくなるという悪循環に。
「皮脂を適度に残すために水やお湯だけで洗う」と推奨されるケースを見ますが、異なる場合も。
皮脂は洗い流してもすぐに分泌されますし、肌のバリア機能を保とうとする美肌菌も短時間で増殖します。古い皮脂を残すほうが、酸化させてしまい、悪玉菌の増殖につながります。
ただし、洗顔後にひりひりと肌が突っ張るほどの強い力で洗ってはいけません。低刺激設計の洗顔を選び、きちんと泡立てて丁寧にやさしく洗いましょう。
洗顔後のケアは、表皮ブドウ球菌の増殖には、湿った環境(適度に肌が潤った状態)を作ることが重要。たっぷりの保湿が美肌菌育成に直結すると心しましょう。
特に夏場は汗をかくせいで肌が潤っていると感じることから、保湿を怠ってしまいがち。そのせいで湿度が下がる秋に途端にカサつき肌になる方も多いので、盛夏からたっぷりと保湿を。
「美肌菌」の代表格である表皮ブドウ球菌の増殖を促進し、肌に悪影響を与える黄色ブドウ球菌は増殖させないという機能を持つ、美肌菌を育てる効果の期待できるスキンケアを使用してみましょう。
角層が厚くゴワつくような肌状態ならば、ターンオーバーのスピードが落ちてしまっている可能性があるので、医師に相談したうえで隔週程度のペースでのケミカルピーリング施術を受けるのもおすすめ。敏感肌やアトピー肌の方でも使えるピーリング剤を用いれば、角層のいちばん上の部分だけを優しく溶かすことで表皮全体のターンオーバーを促し、自前の水分保持成分を作り出せるようになります。善玉菌が住みやすい潤い豊かな角層に整えることは菌活に繋がります。
美肌菌にとってNGなケアは?
剃毛(毛を剃る)を毎日する、垢すりをする、など、角層を傷つける行為は、美肌菌のすみかである潤い豊かな角層を破壊してしまうので避けましょう。
汗をかく習慣を身につけて、お水のような“サラっと汗”をかけるように
常日頃、軽い運動やバスタイムに湯舟に浸かるなどして汗をかく習慣を持つことも、美肌菌対策になります。汗を沢山かくことでエクリン汗腺が活性化し、臭いのない、お水のようなサラッとした、肌をかぶれさせずに保湿してくれる質のいい汗になります。
ただし、42度以上の温度で長時間の入浴は、肌のバリア成分が流れ出しやすくなり、乾燥しやすくなるのでNG。
美肌菌を育てる食生活は?
ニキビに繋がるアクネ菌の増殖と食べ物の関係性については、ある程度の相関関係がわかっています。「地中海式」と呼ばれる食事、すなわち、タンパク質豊富な魚、お肉、大豆などの豆類、抗酸化物質であるビタミンA、C、Eやポリフェノール類をふんだんに含むトマト、ナス、ズッキーニ、スイカ、キウイなどの野菜や果物をバランスよくいただくことで、アクネ菌の過剰な増殖を抑制する効果が期待できます。
肌の水分量を高めるという観点では、セラミドやコラーゲンといった、肌の水分貯蔵を助ける成分を経口で身体に取り込むこともおすすめです。これらを食べて体内に入れることで、皮膚の保湿成分の合成を促すスイッチが入り、角層の水分量が高まることがわかっています。セラミド入りヨーグルトやセラミド含有量が多い生芋こんにゃくを食べる(こんにゃく芋の外皮にセラミドが豊富)、お鍋でお肉や魚のコラーゲンを摂ることは、間接的に美肌菌の増殖に役立つでしょう。
毎日マスクの日々…美肌菌への影響や対策は?
マスクで肌が擦れてしまう直接的な刺激や汗や蒸れが刺激になり、マスク肌あれを起こしている人が増えています。美肌菌対策の観点では、物理的な刺激がきっかけで炎症を起こすと悪玉菌が増えやすくなってしまいます。肌に触れる面に、シルク、柔らかなガーゼ、シルキーな化学繊維など、滑らかな布を使ったもののほうが好ましいです。また、エタノールの揮発によって涼感を得るタイプの汗止めスプレーなども出回っていますが、肌の刺激となるのであまりおすすめできません。
せっかく塗った保湿剤がマスクに吸い取られてしまうので、いつもよりたっぷりめにスキンケア剤を塗ると良いでしょう。
可能な時はマスクを極力外し、日中1回は、マスク着用部の汗や汚れを水で洗い流して、保湿クリームや乳液を塗ることを習慣づけると悪玉菌の増殖を防ぐことに繋がります。
自分のお肌を自分自身で健やかにできる可能性を持つ美肌菌。
美肌菌がよろこぶ環境を積極的に作ってあげることで、自分のお肌を好きになれるといいですよね。
▼ d プログラム ブランドサイト
https://www.shiseido.co.jp/dp/?rt_pr=trg60
転載:PR TIMES