クルエルティフリーコスメの基礎知識
みなさん、クルエルティフリーという言葉を聞いたことはありますか。
近年、欧米を中心に関心が高まっているキーワードですが文字通り残虐性(クルエルティ:cruelty)がない(フリー:free)という意味です。つまり、動物実験をしてないことを意味する単語です。
化粧品などをつくる過程では、使用する成分が人にとって安全かどうかを確かめるため、ウサギやラットを使った実験が数多く行われています。
この安全性を確かめるための実験は、動物の自由を奪ったり、傷つけたりします。このような動物実験は痛みを伴う=残酷なもの(cruel)であることから、動物実験を禁止しようという動きが世界で広まっています。ここではクルエルティフリーの背景、製品、ヴィーガンとの関係などご紹介していきます。
クルエルティフリーの背景
近年、特に欧米ではクルエルティフリーを推進する動きが活性化しています。クルエルティフリーにいち早く取り組んだのは、EUで2004年に化粧品完成品の動物実験を禁止したのを皮切りに2013年には化粧品の開発から販売のいかなるプロセスにおける動物実験を禁止する法案が施行されています。
それに習うように今ではニュージーランド、イスラエル、ブラジル、台湾などでも動物実験を禁止。アメリカ・カリフォルニア州では2020年1月より動物実験を行った化粧品の輸入や販売を禁止。
世界ではクルエルティフリーを推進する活発な動きがありますが、一方で日本ではクルエルティフリーの認知度も低く、法案が変わる動きも見せていません。
おそらく、クルエルティフリーはこれからの世界で主流となってくる動きでしょう。ぜひクルエルティフリーの概念を知っておきましょう。
クルエルティフリー=エコ・サスティナブルではない
クルエルティフリーは動物実験をしていないという意味ではエシカル(環境や社会に配慮している)だと言えます。しかし、クルエルティフリーだからと言ってエコ・サスティナブル(持続可能)であるというわけではありません。
クルエルティフリーでも、製造段階で環境に負荷がかかる製品もありますし。容器などが大量の廃棄物を出す可能性もあります。そのため、クルエルティフリーはエシカル消費の一手段であって、全てを解決する手段ではないのです。
クルエルティフリーのマーク
クルエルティフリーの認証として最も有名なのはリーピング・バニー(Leaping Bunny)のロゴです。
リービング・バニーは化粧品の実験で最も利用される動物のうさぎをモチーフにしたロゴで、一切の動物実験をしていないブランドに与えられます。他の認証マークとしては、アメリカに拠点を置くPEATのビューティー・ウィザウト・バーニーズ(Beauty Without Bunnies)も知られた認証のひとつでこちらも、やはりうさぎをロゴのモチーフとしています。
ヴィーガンとクルエルティフリーの関係
ヴィーガンとクルエルティフリーはどちらも「動物保護のため」という点は同じだけれど「何が動物に対してやさしいのか」という点が違う。
- ヴィーガン
動物由来の「材料・成分」が入っていない製品のこと。ヴィーガの判断は、つくる過程よりも成分が含まれているかどうかになります。
→動物実験をしていたとしても、成分に動物由来の材料や成分が含まれていないければヴィーガンと言えます。
- クルエルティフリー
製品が「つくる過程」で動物実験をされていないということ。製品そのものよりも、プロセスのことを指します。
→ハニー、ビーズワックス、コラーゲン、アルブミンなどヴィーガンではない成分が入っていても動物実験をしていなければ、その製品はクルエルティフリーです。
つまり、動物由来の製品を日常から完全に排除するためには、ヴィーガン+クルエルティフリーの製品を選ぶ必要があります。
◆クルエルティフリーのブランド
日本ではまだまだですが、海外ブランドなどを含むとクルエルティフリーコスメを探すのはそんなに大変なことではないのです。日本で手軽に手に入るブランドをご紹介します。
- LUSH
- THREE
- WELEDA
- NARS
- bare Minerals
などがクルエルティフリーの製品です。
日本では、まだ情報が限られており認知が低いクルエルティフリーですが、私たちの生活に価値をあたえてくれる化粧品を、動物の犠牲なしにもっと心から楽しめる日が早く訪れることを望みたいですね。