今、発酵液コスメがアツイ!そのヒミツに迫ります!
「発酵液」に注目が集まるそのわけは?
最近、化粧品ジャンルで注目されている成分が「発酵液」です。
発酵とは、酵母や細菌などの微生物がエネルギーを得るために、有機化合物を分解して、アルコール・有機酸・二酸化炭素などを生成していく過程のことです。発酵と腐敗のプロセスは同じですが、その成分変化が人間にとって有用なものを発酵と呼びます。
発酵は、日本の食文化にとってかかせないもの。酒・味噌・醬油などの製造に古くから利用されてきていますね。
この私たちの健康にとって重要な発酵が、化粧品にも使われています。
発酵コスメの歴史は古く、乳酸菌がローマ時代にスキンケアに使われていたという説もあるのです。また、日本でも昔から、日本酒の麴を使った化粧水や味噌パックなど、発酵食品をスキンケアに使用してきました。
発酵技術が飛躍的に進化、レベルアップしています!
化粧品に使われる発酵液にはいろいろありますが、米を使って、選び抜かれた酵母とともに発酵させ、コメ発酵液を化粧品原料として開発したものも出てきています。
化学的に生成された成分は単独の成分ですが、発酵液の成分は、発酵の過程で微生物が生み出したものなので、単なる水には含まれないフルーツ酸、核酸、アミノ酸、ポリアミン、糖などのさまざまな天然由来の有用成分が数多く含まれています。
肌はひとつの栄養で整うことはありません。肌のためには、複合的な成分が必要なため、多くの成分が含まれた発酵液の可能性が注目されているのです。
1980年代ころまでは、微生物と発酵条件の組み合わせを総当たり的に検証し、有効な発酵成分を見つけ出して、量産する手法が中心でした。
しかし今は、発酵技術が飛躍的に進化しました。微生物に関するゲノムレベルの研究や、発酵条件に関するデータが蓄積されてきているのです。ひと昔前の発酵コスメとは、各段のレベルアップを遂げています。
天然由来の有効成分、発酵液はこんなにも!
発酵由来の美容成分には、有機化合物が分解されることにより、アミノ酸やミネラル、糖など多彩な養分が含まれるので、肌なじみがよく、肌に棲む常在菌のバランスに良い影響を与えるものもあるようです。常在菌のエサになります。
知られているものでは、米を発酵させたライスパワーエキス。イソフラボンを含む豆乳を発酵させた豆乳発酵液。発酵を促す酵母自体ににさまざまな処理をして抽出した酵母エキスなどなど。
ほかにも、さまざまな発酵液を使ったコスメがありますので、注目している発酵液コスメを紹介していきます。
まず紹介したいのは、エスティローダーの化粧水「マイクロ エッセンス ローション フレッシュ SF」。
30年以上に渡る発酵研究における新たな知見を活用した、乳酸桿菌発酵液を用いたアミノ酸豊富な代謝物の生成方法である、発酵代謝テクノロジーを採用しています。
乳酸桿菌発酵液(整肌成分)を用いたアミノ酸豊富な代謝物や、乳酸桿菌発酵液(うるおい肌を保つ成分)をダブルで備えた美容液レベルの化粧水です。サトザクラ花エキス、酒粕エキス(いずれも整肌成分)といった和素材のパワーにも着目。テクスチャーは軽やかで、毛穴の目立たない肌へ導きます。
エスティ ローダー公式オンライン ショップ (esteelauder.jp)
ランコムの「ジェニフィック アドバンスト N」も発酵エキス入り化粧品。
ランコムの言う「美肌菌」とは、肌に存在する数十億もの微生物群(=マイクロバイオーム)のこと。美肌菌の種類は1000以上あり、バランスはひとりひとり異なります。ランコムは、美肌菌が4段階のバリア機能を強化することに着目。バリア機能は、肌表面だけでなく、肌深くまで存在します。美肌菌は、肌を外的刺激から守るだけでなく、バリア機能をサポートする重要な役割を果たしています。バランスのとれた美肌菌を持つことが、健康的で美しい肌に大切なのですが、美肌菌は日常的な要因で量とバランスが変化。美肌菌バランスが崩れ、バリア機能が低下すると、肌トラブルが起こりやすくなります。ビフィズス菌培養溶解質、乳酸桿菌などが配合され、美容液「ジェニフィック」は、発酵エキスによって、バリア機能をサポートし、うるおう肌へ。まさに、発酵エキスから生まれた化粧品です。
美肌菌とは | スキンケア | ランコム公式オンラインショップ (lancome.jp)
特別な発酵液「ミュラ」を使ったのがアルビオンの化粧水「フローラドリップ」。
世界遺産に登録された白神山地の麓にあるアルビオンの自社研究所で有機栽培された5種類のハーブを厳選。アルビオンは、肌に必要な発酵代謝物を検証し、それらを生み出す微生物を選定していきました。この厳選された植物を麹の中でも多くの酵素をつくりだす希少な純白麹「しらかみ」で発酵させて完成させたのが、発酵液「ミュラ」です。
この発酵液「ミュラ」には、フラボノイド類・アミノ酸類・各種ビタミン・ミネラル類のほか、膨大な数の有用成分が確認されています。さらに、自然の成り行きに任せて発酵させるのではなく、あらかじめ肌効果などの条件を割り出し、発酵をコントロールするべく、計画的な発酵を行なった発酵液です。
この発酵液から得られた成分には、キメ、ハリ、ツヤなど肌のあらゆる美しさに関与する働きが認められたと言います。植物抽出や人工合成した既存成分とは異なる、次世代の画期的な開発手法です。
アルビオン独自美容成分を配合した濃密化粧液『フローラドリップ』|ALBION
発酵液で忘れてはならいのがSK-Ⅱの「ピテラ™フェイシャル トリートメント エッセンス」。
ピテラ™とは、特別な酵母の株から、SK-Ⅱ独自のプロセスで発酵させ生み出した天然由来成分(SK-II独自のガラクトミセス培養液)。
ピテラ™は、350種類の酵母の株を調べた末に誕生しました。始まりは、酒造りを担う杜氏の顔に刻まれたシワに比べ、手が若々しいことを偶然目に留め、研究を始めたことから。ビタミン、ミネラル、アミノ酸、有機酸といった50以上の微量栄養素を含む天然由来の成分で、肌本来の機能を整えます。人の肌が持つ天然保湿因子(NMF)のいくつかを含み、肌なじみがいいのが特徴。透明感のある肌へ導くSK-IIを代表するエッセンスです。
フェイシャル トリートメント エッセンス 化粧水 | SK-II (SK2 エスケーツー)
HACCI(ハッチ)の「発酵液ローション1(さっぱり)」「発酵液ローション2(しっとり)」は、発酵が難しい素材である蜂蜜を発酵させたローション。
蜂蜜は糖度が高く水分をほぼ含有しないため、微生物が活動しにくく、発酵しにくい性質を持つ。しかし、蜂蜜の新たな可能性を探るため、HACCIは京都の老舗発酵屋さんと協力。果物を花酵母で発酵させ、発酵が難しい蜂蜜の媒介役「発酵母液」を開発。この発酵母液には、ヒアルロン酸の産生力やバリア機能を改善する働きが認められ、HACCI発酵液シリーズの全製品に配合されています。
この連載で以前からお話しているように、化粧品の多くは、“水”ですが、「発酵液ローション」は、水のかわりに「蜂蜜発酵液」を使用しています。「発酵液ローション」は、肌の潜在能力へアプローチし、肌をみずみずしく保ち、肌の新陳代謝やバリア機能もサポートします。
HACCI(ハッチ)公式サイト /発酵液ローション 2(しっとり): 通常 (hacci1912.com)
蜂蜜×発酵🐝
— HACCI official (@hacciofficial) October 7, 2021
伝統の発行技術との出会いから誕生した、水を使わず、ハチミツの発酵液をベースにした贅沢スキンケア「HACCI 発酵液」 → https://t.co/4rh0VzBYmM
発酵エキスとはちみつのパワーが驚きの浸透力で潤いを瞬時に届けて、透明感あふれる肌へと導きます❤︎ pic.twitter.com/CP54elfDvk
もうひとつ蜂蜜の発酵液を使ったローション、山田養蜂場の「ハニーラボ 発酵蜜エッセンス」 を紹介します。
蜂蜜の山田養蜂場が、蜂蜜の可能性を追求し、肌へのアプローチに役立てたいと蜂蜜の発酵研究に挑戦し、生まれた蜂蜜発酵液です。ハチミツとカモミールを独自成分「蜂蜜乳酸菌YB38」で発酵させました。肌本来が持つ昼のダメージからの防御と夜のダメージからの回復をサポートする花のエキスや肌の透明感を引き出す植物エキスを配合しています
ハニーラボ 発酵蜜エッセンス|化粧品の通販 山田養蜂場【公式】 (3838.com)
ファンケルの「ビューティブーケ エイジングケアライン ローション」は、「白麹ステロール」と独自の「発芽米発酵液」の2つの発酵を配合した、まさに発酵力を大いに発揮した化粧水。
ファンケルは、人の肌に存在するタンパク質「美肌酵素(アルギナーゼ1)」に着目。肌の中にもともとある美肌酵素を長く研究してきた中で、美肌酵素が多い肌は、しっとりと透明感があることを発見しました。「白麹ステロール」はこの美肌酵素に働きかける非常に希少な成分です。化粧品独自の成分「白麹ステロール」は、ファンケルの肌研究とキリンホールディングスが長年培ってきた発酵技術の共同研究によって開発されたもの。長年研究しながらも、商品化に至っていなかった眠れる素材を化粧品に初めて配合することに成功しています。
また、「発芽米発酵液」を水の代わりに100%置き換えて配合しています。まるで美容液のような贅沢な化粧液。
乾燥によるハリ・つや・くすみなどに働きかける新成分「白麹ステロール」と、豊富な成分を含む独自の「発芽米発酵液」の2つの発酵を配合。肌をほぐしてたっぷりの美容液成分が角層深部まで、キメを整え、うるおい・ハリ・明るさなど多角的にケア。大人の複合的な肌悩みにアプローチします。
商品ラインナップ|ビューティブーケ|無添加化粧品のファンケル (beautybouquet.jp)
出典:プレスリリース
コーセーの「黒糖精 プレミアム インテンスケア ローション」は、黒糖発酵エキスを配合した化粧水。
黒糖発酵エキスとは、コーセーの黒糖精だけの純黒糖から生まれたオリジナルな美肌のための発酵エキス。ミネラルなどをたっぷり含んだ貴重な品種、徳之島産のさとうきび22号を厳選して使用。特別な工法を使って、独自技術で発酵させることにより、美肌効果を高めた、黒糖発酵エキスを生み出しました。
また、酵母にもこだわり、数百種類もの中から厳選したオリジナル酵母KMTを採用。天然保湿成分である乳酸やアミノ酸を豊富につくりだせる希少な酵母です。発酵エキス独自のにおいや色を抑えた独自の発酵技術を開発。また、徳之島産の純黒糖だから可能な添加物なしの発酵を実現しています。
黒糖発酵エキスの力は、美肌効果が高く、さまざまな肌悩みにマルチケア。肌のうるおいを保つ、肌のコンディションを整えるなどです。発酵によって、肌に理想的な美肌成分を与えられる化粧水です。
発酵スキンケア [黒糖精] - コーセーコスメポート (kokutousei.com)
コスメを本音で評価する雑誌 #LDKtheBeauty 10月号で#黒糖精 プレミアム インテンスケア エマルジョンが#A評価 をいただきました👏
— コーセーコスメポート公式 (@kosecosmeport) August 20, 2021
黒糖精 プレミアム インテンスケアは、#肌あれ を繰り返す #乾燥性敏感肌 に着目した #低刺激&濃厚保湿 スキンケアシリーズです🥰 pic.twitter.com/vTi2gk1roE
Tatcha(タッチャ)の「タッチャ エッセンス」は、水を使わず、ボトル詰めした発酵化粧液。酵母選びと二次発酵プロセスにこだわり抜いたエッセンスです。
100年の歴史を誇る秋田の発酵スペシャリストが約300種類から酵母を厳選。その酵母と厳選された素材を使って、2回の発酵を行いました。一次発酵で生まれた発酵液を、さらに成分をなじませ、穏やかに発酵させることで、低臭、澄明な発酵液が誕生。こうした丁寧な工程から生まれたのが、独自の発酵液「HADASEI-3®」です。
日本のスーパーフードである米・茶・海藻を主成分に、先進の発酵技術を駆使して出来上がったのが、和フード発酵コンプレックス「HADASEI-3® 」。
あとから、水を加えずに、ボトル詰めした高濃度発酵化粧液で、高濃度でありながら、サラサラのテクスチャーを実現したのは、丁寧な発酵プロセスによるもの。素早く肌に浸透し、天然のアミノ酸や乳酸がしっとり、弾力感のある肌に導きます。
タッチャ エッセンス | Tatcha(タッチャ)
Did you know two minutes is all it takes to transform your cold-weather skin? Our Classic Ritual was designed to be as short and effortless as it is effective. @LaneCrawford https://t.co/5g4hamuTR4 pic.twitter.com/KC8CVsXxhw
— TATCHA Beauty (@tatcha_v) October 28, 2020
KohGenDoの「オリエンタルプランツ 発酵ローション-60」も 独自の発酵液を使った発酵化粧水。
シソ葉、米、ナツメ果実を原料に、独自の浸保潤発酵液™を開発。独自の浸保潤発酵液™の原料が約60%配合されたまろやかさを感じる化粧水です。
浸保潤発酵液™と5FPカプセル™が、乾燥が気になる肌を角質層までうるおいで満たし、キメをふっくら整え、引き締まったハリ肌へと導きます。水バリアをまとうように、肌にうるおいを補って、柔らかでみずみずしい弾力のある肌に。
オリエンタルプランツ 発酵ローション-60 (化粧水) | オリエンタルプランツ | 商品情報江原道 KohGenDo - 隙のない美しい肌へ -
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— KohGenDo(江原道)公式 (@KohGenDo_jp) June 22, 2021
#VOCE8月号
2021年上半期読者べスコス1位🏆✨
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「オリエンタルプランツ 発酵ローション-60」が、「読者10万人のクチコミで決める 2021年上半期読者べスコス」化粧水部門の第1位に選ばれました🎉
ありがとうございます❣#ベストコスメ #べスコス2021
いかがでしたか? 発酵液コスメの底力を感じたのではないでしょうか。ここに紹介できなかった発酵液コスメもまだまだあります。
次回は、美のカギを握るコスメを選ぶときに欠かせない、今だからこその視点をお伝えします。
増田美加/女性医療ジャーナリスト
エビデンスに基づいた健康情報&患者視点に立った医療情報について執筆、講演を行う。女性誌『婦人画報』『GINGER』『My Age』『素敵なあの人』、女性WEBマガジン『yogaジャーナル オンライン』『婦人画報デジタル』『講談社現代ビジネス FRaU』ほかで女性のヘルスケアや医療の連載を行う。テレビ、ラジオにも出演。乳がんサバイバーでもあり、がんやがん検診の啓発活動を行う。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)、『もう我慢しない! おしもの悩み ~40代からの女の選択』(オークラ出版)ほか多数。