化粧品はほとんどが水！だからこそこだわりたい。今、注目の「発酵液」って何？

「基剤」が化粧品のベースです

化粧品の成分のベースである「基剤」。この基剤は、ほとんどが水です。化粧品にとって基剤とはなんなのか？　基剤のベースである水の役割についてご紹介します。

さまざまな成分が入っている化粧品ですが、実は、スキンケア化粧品の成分の構成は、大きく分けると３つなのです。
「基剤（化粧品の骨格を作る基本成分）」「訴求成分」「品質保持を目的とした成分」がその構成です。　

基剤の構成に関しては「『化粧品の中核をなす「訴求成分」と「基剤」って何？　化粧品の質感にも差が生じるの？』に詳しく記載されています。

化粧水、乳液、美容液、どれも基本は同じ構成です。

この成分構成を知っていると、化粧品を選ぶときにも役立ちます。そのポイントとなるのが「基剤」です。基剤は、化粧品のベース成分です。

化粧品の基剤の役割とは？

まず、基剤（ベース成分）の役割について、ご紹介します。

化粧品の基剤の構成は、「水」が中心となっていて、それに「油分（肌から水分を逃さないエモリエント剤）」と「保湿成分（肌に潤いを与えて乾燥から守る）」が加わってできています。

ちなみに私たちの肌の構成も、「水分・油分・天然保湿成分」で成り立っています。この3つで肌の潤いのバランスを保っているのです。

実際に、化粧品の基剤となる「水」「油分」「保湿成分」に、アルコール、界面活性剤、増粘剤などを加えて化粧品の使用感を調整しています。

基剤の役割は、ズバリ、肌の潤いのバランスと使用感。この2点に集約できます。

この図は、化粧水の処方のイメージです。このように基剤のほとんどは、水からできています。

化粧品のほとんどが「水」であるのならば

化粧品に配合されている贅沢な機能性成分や天然の植物成分などはどれも魅力的ですが、同じように、魅力的な「水」が使われている化粧品を使うという視点もあるのではないかと思います。
化粧品について着目すべきポイントは、有効成分などの機能性成分も大切ですが、これからは水の種類に注目することも大切かもしれません。
また、良い水はそれだけで十分、化粧品としての機能を果たす可能性もあります。

通常、化粧品に使われている水は、ほとんどが精製水です。
けれども最近は、水にこだわった化粧品も出てきています。たとえば、精製水の代わりに、温泉水やローズ水、炭酸水などを使っているもの。水にこだわった化粧品を使うことで、そのほかの含有成分がより有効に働いてくれることも考えられます。

今、注目の「発酵液」とは？

　最近、化粧品で注目されている基剤成分があります。それは、「発酵液」です。

発酵は、微生物の力によって、成分変化が起きることを言いますね。発酵と腐敗のプロセスは同じですが、その成分変化が人間にとって有用なものを発酵と呼ぶのです。

発酵は、日本の食文化にとってもかかせないものであり、私たちの健康や美容にとっても重要なものです。私たちの身体、肌も髪も、口にした食材、食事からつくりだされるのですから。

化粧品に使われる発酵液にはいろいろありますが、和食のベースとなる「米」を使って、選び抜かれた酵母とともに発酵させ、化粧品の水の代わりに使用するコメ発酵液を化粧品原料として開発したものも出てきています。

水を発酵液に置き換えるとどうなる？

発酵液には、発酵により、単なる水には含まれないフルーツ酸、核酸、アミノ酸、ポリアミン、糖などの様々な天然由来の有用成分が豊富に含まれています。水を発酵液に置き換えることで、有効成分（機能性成分）以外にも発酵による有効成分まで含まれた化粧品でのスキンケアが可能となります。

水にこだわった化粧品をいろいろ試してみたいですね。

増田美加／女性医療ジャーナリスト

エビデンスに基づいた健康情報＆患者視点に立った医療情報について執筆、講演を行う。女性誌『婦人画報』『GINGER』『My Age』、女性WEBマガジン『MY LOHAS』 『GINGER web』『女子カレLOVABLE』『講談社現代ビジネス　FRaU』ほかで女性のヘルスケアや医療の連載を行う。テレビ、ラジオにも出演。乳がんサバイバーでもあり、がんやがん検診の啓発活動を行う。著書に『医者に手抜きされて死なないための　患者力』（講談社）、『女性ホルモンパワー』（だいわ文庫）、『後悔しない歯科矯正』（小学館新書）ほか多数。新刊『もう我慢しない！ おしもの悩み　～40代からの女の選択』（オークラ出版）が話題。