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化粧品の中核をなす「訴求成分」と「基剤」って何? 化粧品の質感にも差が生じるの?

美容
増田美加(女性医療ジャーナリスト)
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化粧品の中核をなす「訴求成分」と「基剤」って何? 化粧品の質感にも差が生じるの?

スキンケア化粧品は、どれも3つの成分構成なのです

スキンケア化粧品の成分バランスについて、興味をもったことはありますか? 実は化粧品の成分は、大きく分けると3つで構成されているのです。

これは、クレンジング、化粧水、乳液、美容液などなど、どれも同じ構成です。この成分の構成を知っていると、化粧品選びに大いに役立ちます。そのポイントとなるのが「訴求成分」と「基剤」です。

今回は、化粧品の中身の中核をなす、「訴求成分」と「基剤」について詳しく紹介します。

「訴求成分」「基剤」「品質保持成分」が基本

まず、スキンケア化粧品を成り立たせている3つの構成について詳しく紹介します。

「訴求成分」「化粧品の骨格を作る基本成分(基剤)」「品質保持を目的とした成分」の3つがその構成です。
それぞれの役割についてみていきましょう。

訴求成分

肌の悩み、乾燥、シミ、シワ、ニキビなどに対して、コラーゲン、セラミドなどの化粧品の効能、効果を発揮する原料を訴求成分と言います。

植物エキスやビタミン類、合成でできた機能性成分もここに含まれます。

化粧品の効能、効果については、薬機法で厳しく規制されているため、実際には効能、効果があっても、販売時にセールスポイントとして効能や効果をうたうことができない場合がほとんどです。
しかし、この訴求成分に何が使われているかは、効能、効果の決め手ともなるのです。また、付加価値を高めるために、香料が訴求成分に配合されることもあります。

基本成分(基剤)

基本成分とは、化粧品の骨格を作る中核となる成分のことで、「基剤」と呼ばれています。基剤には、油性成分(油や油に溶ける成分)と水性成分(水分そのものや水に溶ける成分)、それに油性成分や水性成分を配合するために必要な界面活性剤や増粘剤などが含まれます。

スキンケア化粧品の構成は、皮膚のモイスチャーバランスを基本として考えられています。
皮膚のモイスチャーバランスは、水分、皮脂、NMFと言われる天然保湿因子で整えられています。これら水分、皮脂、NMF(天然保湿因子)は、年令を重ねることで減少しやすくなるものです。

だから、これらの3つに相当する物質を化粧品(水分、油分、保湿剤)によって補うことで、皮膚のモイスチャーバランスを維持していこうとするわけです。
つまり、化粧品の水分、油分、保湿剤の3つによって、皮膚の保湿力の恒常性を維持しようとするのがスキンケア化粧品の大きな役割です。

まとめると「基剤」は、人の皮脂の代わりとなる油性成分、水分そのものやNMF(天然保湿因子)の代わりとなる保湿剤などの水溶性成分を基本に構成されています。さらに、それらを混ぜ合わせるための界面活性剤も重要です。

  • 皮膚のモイスチャーバランス ⇒ 水分、皮脂、NMF
  • スキンケア化粧品のモイスチャーバランス ⇒ 水分、油分、保湿剤

品質保持を目的とした成分

訴求成分や基本成分(基剤)以外の成分としては、品質の安全性や品質を保つことを目的とした酸化防止剤や防腐剤などがあります。

美容液の中身を大解剖!

たとえば、美容液の中身をみてみましょう。
美容液は、その名称からも、高い効果を感じさせますね。訴求成分を多く配合して、通常のお手入れに取り入れることで、効能、効果や使用感触をよくするなど、付加価値の高い化粧品です。

美容液は、「基剤」を表している名称ではありません。ですから、化粧水タイプのものもあれば、乳液タイプ、クリームタイプ、ジェルタイプのものもあります。

乳液タイプ、化粧水タイプ、ジェルタイプの美容液のおもな成分の構成を紹介します。

乳液タイプ

訴求成分、界面活性剤、増粘剤、油性成分、精製水、水性成分(保湿剤、アルコールなど)。
これは、乳液の成分の構成と同じです。

化粧水タイプ

訴求成分、精製水、水性成分(保湿剤、アルコールなど)。
これは、化粧水の成分の構成と同じです。

ジェルタイプ

訴求成分、界面活性剤、増粘剤、精製水、水性成分(保湿剤、アルコールなど)。
これは、ジェルの成分構成と同じです。

このように、美容液には、乳液、化粧水、ジェルタイプなどがありますが、どれを選べばいいかは、あくまで使用感で決めていいと思います。

美容液が最も美容効果が高いの?

きっと、美容液の美容効果について、気になっている方も多いと思います。化粧水、乳液、クリーム、ジェルなどと比べると、美容液はいちばん美容効果が高いのでは、とも思えますね。

けれども、全てがそうとも言えないのです。
スキンケア化粧品につける種類別の名称(化粧水、乳液、クリーム、ジェルなど)は、メーカーが自由につけられます。

ですから、美容液の定義として、「訴求成分」や「基剤」の配合量が決まっているわけではありません。

そのため、あるメーカーの美容液より、ほかのメーカーの化粧水や乳液のほうに、訴求成分がたくさん配合されている場合もあるのです。もちろん、その逆もあって、メーカーによっては、美容液にもっとも「訴求成分」を多く配合している場合もあります。

「基剤」はモイスチャーバランスの基本に

また、お伝えしたかったこととして、「基剤」の重要性があります。

「基剤」には、皮膚のモイスチャーバランスを整えるため、肌のうるおいバランスを保つ成分として、水分、油分、保湿剤が使われています。

これらの水分、油分、保湿剤に何が使われているかも重要です。また、基剤に含まれている界面活性剤は、油分と水分をなじみやすくするだけでなく、使用感にも影響を与えるので、これも大切。

次回は、「基剤」に使われている水分について、詳しくお伝えしていこうと思います。

 

増田美加/女性医療ジャーナリスト

エビデンスに基づいた健康情報&患者視点に立った医療情報について執筆、講演を行う。

女性誌『婦人画報』『GINGER』『MyAge』、女性WEBマガジン『MYLOHAS』『GINGER web』『女子カレLOVABLE』『講談社現代ビジネス FRaU』ほかで女性のヘルスケアや医療の連載を行う。テレビ、ラジオにも出演。乳がんサバイバーでもあり、がんやがん検診の啓発活動を行う。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)、『後悔しない歯科矯正』(小学館新書)ほか多数。新刊(2021年3月22日発売)『もう我慢しない! おしもの悩み ~40代からの女の選択』(オークラ出版)が話題。

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