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で、何を選べばよいの?化粧品セレクトに必要な視点とは?

美容
増田美加(女性医療ジャーナリスト)
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で、何を選べばよいの?化粧品セレクトに必要な視点とは?

コスメの配合成分を知ることで生まれるメリット

どのような化粧品を使えば良いのか、もっと自分に合った化粧品はないのか、と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
年齢による肌悩みや、季節に合わせた化粧品を選ぶことも重要ですが、私はもうひとつ、化粧品の成分を重視したいと思っています。
化粧品にはさまざまな成分が配合されています。成分の内容や表示法などを知っておくことで、自分にとって最適な化粧品を選ぶことができます
保湿、美白、ハリと目的によって化粧品を使い分けているけれど、化粧品の中身、成分には、いったい何が使われているのかご存じでしょうか?
成分は、化粧品の外箱の側面、あるいは容器に表示されていますが、2001年4月の薬事法(現、薬機法)改正を機に、化粧品に含まれる成分を“全成分”表示することが義務付けられました。また、医薬部外品については義務ではありませんが、化粧品業界の自主基準として、多くの製品で全成分が表示されています。私たちコスメユーザーにも、成分が身近なものになりました。これは大きなポイントです!
全成分表示になった理由は、煩雑だった化粧品の製造や輸入に対する承認許可を簡略化して、欧米の制度と歩調を合わせるのが目的でした。そのことで、私たちユーザーは、自分の肌に合う成分や効果的な成分をチェックすることができるようになったのです。

有効成分は、化粧品の効果を知るカギ

化粧品の成分は、およそ5つに分けられます。
①油性成分、②保湿成分、③目的に応じた成分、④目的に応じた有効成分(医薬部外品)、⑤そのほか、紫外線防止成分、防腐剤、pH調整剤など、です。


このなかで、注目したいのが、③目的に応じた成分と、④目的に応じた有効成分(医薬部外品)。効果のカギとなるものだからです。
有効成分とは、美白、肌荒れ、にきびなどの分野で、厚労省に認可された「医薬部外品」の成分のこと。医薬部外品の有効成分は、効果・効能を表示することができるのです。
ですから、スキンケア製品を選ぶときに、医薬部外品の場合は、その有効成分を見ると、厚労省に認められたその化粧品の効果、効能がわかる、というわけです。
また、化粧品を使う順番や使用量は、メーカーが決めた使用順序や使用量を、極力守ったほうが、その化粧品の効果が十分得られます。
化粧品には、次に使う化粧品の成分を浸透しやすくするものや、成分を肌内部で閉じ込めるために、肌に密着して蓋の役割をする成分を配合したものがあります。これらは、使用順序を守って、初めて効果があるので、スキンケアは同じメーカーのものをラインで使うのがおすすめです。
とはいっても、同メーカーの化粧品をラインで使うだけでなく、違うメーカーのお気に入りの化粧品も一緒に使ったりしたいですよね?
すると、相性の良い成分の組み合わせはあるのか? ということが気になります。
一例として、グリセリンとヒアルロン酸を一緒に使うと、保湿効果はグンと上がります。自分で別々の化粧品で組み合わせるよりも、グリセリンとヒアルロン酸を配合した保湿化粧品を選ぶことをおすすめします。

美容トレンド「フリーフロム」を考慮したコスメ選び

化粧品のトレンドとして、今「フリーフロム(free from)」の考え方を取り入れた商品が多数、販売されるようになってきました。フリーフロムとは、化粧品に余計なものはいらない、入れない、シンプルに、という考え方です。
たとえば、フリーフロムの考え方を取り入れたスキンケア化粧品が、7つのフリー処方として、「界面活性剤、防腐剤(パラベンなど)、エチルアルコール(エタノール)、シリコン、鉱物油、合成香料、着色料」のフリー(無添加)を実現しています。肌への優しさを追求し、安心・安全に使える成分の処方を目指した化粧品です。
日本では、成分フリーですが、海外では、成分以外に、「動物由来原料」フリー、「遺伝子組み換え(GMO)」フリー、さらには成分以外に「動物実験の実施」フリーなども、フリーフロムの考え方の中に入ってきています


さらに「コンシャスビューティ」の流れがあるとの指摘もあります。コンシャスとは、意識的、自覚的、という意味。「意識的で自覚的な美」へ、という流れです。
コロナ禍で、地球上の人類がこれまでにない高水準の健康意識をもつようになりました。その影響で、さらにSDGs(持続可能性)を追求する視点も高まっています。将来に渡って、持続可能な消費行動をとることの重要性です。
私たちは、自分の肌タイプに合ったケアを探すだけでなく、自らの商品購入によって生じる倫理的、環境的な影響と、自分にもたらす利益を同時に考えて、選択するようになっています。フリーフロムから、コンシャスビューティ(意識的に選択する美)へ。これが、新型コロナを経験した私たちの美容トレンドです。

医薬部外品と化粧品の違いは押さえて

スキンケア商品は、厚生労働省が定める薬機法によって、「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」のどれかに分類されています。ここで、覚えておきたいのは、商品がこれらのどの分類に入るかによって、“効果・効能の範囲”が明確に分かれているということ。

まず、「医薬品」は、病気の治療を目的とした薬です。配合されている有効成分の効果、効能が、厚労省によって医薬品として承認されたものです。医師が処方する「医療用医薬品」もあれば、ドラックストア、薬局、薬店で購入できる「OTC医薬品(市販薬)」もあります。
たとえば、皮膚科で処方されている白色ワセリン、ヘパリン類似物質製剤、尿素含有製剤などは、「医療用医薬品」です。ドラッグストアで購入できる「医薬品」と表示された外用薬(軟膏、クリーム、ローション)などは、「OTC医薬品」に該当します。
 
次に、「医薬部外品」は、厚労省が許可した効果・効能に有効な成分が、一定の濃度で配合されているもの。予防や衛生を目的に作られています。ドラッグストアなどで購入できます。「医薬部外品」は、「医薬品」と「化粧品」の中間です。
たとえば、「医薬部外品」は、厚労省が許可した効果のある有効成分が配合されていれば、「肌荒れ、にきびを防ぐ」「日焼けによるシミ・ソバカスを防ぐ」「あせも、しもやけ、あかぎれ、ただれの防止」「皮膚の殺菌」「脱毛防止、育毛、除毛」などへの効果を商品に表示することができます。

そして、最後に「化粧品」は、「医薬部外品」でも、「医薬品」でもないもの。清潔にする、美しくする、魅力を増す、肌や髪を健やかに保つなどの目的で作られている商品です。化粧品は、医薬部外品には認められている「肌荒れ、にきびを防ぐ」「皮膚の殺菌」などの効能・効果は認可されていないので、パッケージなどに謳うことはできません。
化粧品で表示できる効能・効果は、たとえば、「肌を整える」「肌にハリ・ツヤを与える」などです。「ニキビが治る」「シミが消える」「しわがなくなる」などを表記することはNGです。
医薬品・医薬部外品・化粧品、それぞれの違いを知って、賢く、自分の目的に合わせて、商品を選びたいものです。

化粧品を「水」で選ぶという考え方

化粧品の基本(ベース)成分とは、化粧品の骨格を作る中核となる成分のことで、「基剤」と呼ばれています。


「基剤」には、「油性成分(油や油に溶ける成分)」と「水溶性成分(水分そのものや水に溶ける成分)」、それに油性成分や水溶性成分を混ぜ合わせるために必要な「界面活性剤」や化粧品の保湿効果や感触を調整する「増粘剤」などが含まれます。
基剤は、化粧品組成の70~90%を占めており、化粧品の要です。ということは、基剤の成分は、私たちの肌にとって大事な成分である、ということです。
特に、スキンケア化粧品は、成分表示のトップに表示されているのは、ほとんどの場合「水」です。化粧水の場合、少なくとも70%が水です。一般的に、化粧品や医薬部外品の成分表示で、水と記されているもののほとんどは、「精製水」です。
ところが近年、精製水以外にも、化粧品のベースとして使われる水が出て来ています。あります。
化粧品に配合されている贅沢な新成分や天然由来の植物成分は魅力的ですが、それらの成分が含まれる量は、水と比べるとほんの少し。それなら、水にこだわって、発酵水、温泉水、ローズ水、炭酸水など、水にこだわった化粧品を使うことはメリットがあるのではと思います。
良い水は、それだけで、化粧品としての機能を果たしてくれます。水にこだわった化粧品選びも楽しんでみてください。

注目の水「発酵液」で選ぶという新発想

今、化粧品で注目されている基剤成分が「発酵液」です。また、発酵を前面に打ち出した「発酵エキス入り化粧品」も続々登場しています。
化粧品の成分で最も多い水を発酵に変えることで、機能性が高まることも考えられます。発酵液には、単なる水(精製水)には含まれていないフルーツ酸、核酸、アミノ酸、ポリアミン、糖などのさまざまな天然由来の有用成分が豊富に含まれています。前回紹介した水にこだわった発酵液コスメも、いろいろ試してみたいですね。

伝統の技と先端技術から誕生した、進化型の発酵液コスメ。まだまだ発酵由来成分の可能性は、広がるように感じます。
肌代謝や肌回復力を上げたい方、エイジングが気になる方、保湿力を内側から立て直したい方、肌本来の機能を取り戻したい方、発酵液に着目したスキンケアを試してみるのもおすすめです。

 

増田美加/女性医療ジャーナリスト

エビデンスに基づいた健康情報&患者視点に立った医療情報について執筆、講演を行う。女性誌『婦人画報』『GINGER』『My Age』『素敵なあの人』、女性WEBマガジン『yogaジャーナル オンライン』『婦人画報デジタル』『講談社現代ビジネス FRaU』ほかで女性のヘルスケアや医療の連載を行う。テレビ、ラジオにも出演。乳がんサバイバーでもあり、がんやがん検診の啓発活動を行う。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)、『もう我慢しない! おしもの悩み ~40代からの女の選択』(オークラ出版)ほか多数。

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