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化粧品の成分表示には何が書いてある? 知って得する成分の意味と読み方

美容
増田美加(女性医療ジャーナリスト)
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 化粧品の成分表示には何が書いてある? 知って得する成分の意味と読み方

何が使われているか知っていますか?

保湿、美白、ハリと目的によって化粧品を使い分けているけれど、意外と化粧品の中身について、詳しく見ている人は少ないのではないでしょうか? 
化粧品の中身、成分には、いったい何が使われているのかご存じですか。

成分を読み解く方法を知っておくと、化粧品を無駄なく上手に使いこなすために役立ちます。「食品の成分表示はよく見るけど、化粧品の成分は見たことがなかった…」という人も、ぜひ参考にしてください。

成分はどこに?

まず、化粧品に入っている成分を知るには、どこを見ればいいのでしょう?

成分は、化粧品の外箱の側面、もしくは容器に表示されています。2001年4月の薬事法(現、薬機法)改正を機に、化粧品に含まれる成分を“全成分”表示することが義務付けられました。また、医薬部外品については義務ではありませんが、化粧品業界の自主基準として、多くの製品で全成分が表示されています。
これは大きなポイントです。あとで詳しく、全成分表示の見方について紹介します。

化粧品の外箱や容器に、商品名や全成分が表示されています。そのほか、お客様相談室の電話番号など、購入した私たち消費者にとって、必要な情報がまとめて記載されていますので要チェックです。

メイクアップコスメなど、外箱や容器が小さくて、全成分がそこに書き切れないものは、箱の中に印刷物として入っている場合もあります。
また、サンプルなども小袋の裏側に、書いてあったりします。小ボトルがセットになったものは、全アイテムの成分がまとめて表示された紙台紙が入っていることもありますので見逃さないようにしましょう。

全成分表示にはこんなメリットが

化粧品成分を全成分表示するという制度が2001年に導入される前までは、薬機法(元薬事法)で指定された一部の成分だけの表示で良かったのです。しかし、全成分をパッケージ記載することが義務化されて、私たちは化粧品の中身をより詳しく知ることができるようになりました。

さらに、2006年からは医薬部外品についても、全成分が表示されることになって、私たちコスメユーザーにも、成分が身近なものになりました。

全成分表示になった理由は、それまで煩雑だった化粧品の製造や輸入に対する承認許可を簡略化して、欧米の制度と歩調を合わせるのが目的でした。

そのことで、私たちコスメユーザーにとっても、自分の肌に合う成分や効果的な成分をチェックすることができるようになったのです。

全成分表示のメリットのひとつに、たとえば、肌トラブルを起こした場合、使った化粧品の成分表を皮膚科医に見せて、原因となる物質を見つけ出すために役立てることもできます。

有効成分は製品の効果を知るカギ

化粧品の成分は、大別すると5つに分けることができます。
①油性成分、②保湿成分、③目的に応じた成分、④目的に応じた有効成分(医薬部外品)、⑤そのほか、紫外線防止成分、防腐剤、pH調整剤などです。

化粧品の成分
  1. 油性成分
  2. 保湿成分
  3. 目的に応じた成分
  4. 目的に応じた有効成分(医薬部外品)
  5. 紫外線防止成分、防腐剤、pH調整剤 etc…

このなかで、③目的に応じた成分や ④目的に応じた有効成分(医薬部外品)は、その製品の効果のカギとなるものです。
有効成分とは、美白、肌荒れ、にきびなどの分野で、厚労省に認可された「医薬部外品」の成分のこと。医薬部外品の有効成分は、効果・効能を表示することができるのです。

ですから、スキンケア製品を選ぶときに、医薬部外品の場合は、その有効成分を見ると、厚労省に認められたその化粧品の効果・効能がわかる、というわけです。

また、さまざま配合されている香料は、まとめて「香料」と表記してよいことになっていて、ひとつひとつの表示は義務付けられていません。たとえ、さまざまな香りが使われていても、全成分表記に、香りの名称は含まれず、ひとくくりに香料と表示されています。

成分表示の順番って意味がある?

成分名の表記は、たくさん並んで書かれていますが、その順番に意味があることを知っていますか?

化粧品の成分表記は、その配合量の多い順に記載されています。配合されている分量が多い成分ほど、順番が先に表示されているのです。

また、1%以下の成分に関しては、順不同になっています。どこからが1%未満なのかは表示されていません。
医薬部外品の場合は、「有効成分」と「その他の成分」の2グループに分けてから先に表示されていて、どれが有効成分かがわかるように、印をつけるなどして明示してありますので、注目してください。

下の表示例の場合は、成分名に*がついたものが有効成分です。

成分
アラントイン*、グリチルリチン酸ジカリウム*、精製水、グリセリン、BG、ベタイン、POEメチルグルコシド、ビワ葉エキス、カワラヨモギエキス、塩化ナトリウム、水酸化カリウム、安息香酸塩
*は「有効成分」無表示は「その他の成分」

全成分表示によって化粧品が変わった!?

全成分表示で、各化粧品メーカーが自己責任で配合できる成分の幅が広がったこともあって、化粧品は大きく変化したと言われています。

たとえば、昔、皮膚科で処方されていた美白効果のあるハイドロキノンと、今、市販で売られている美白剤は、病院処方のものと格差がなくなっている、とも言われています。
化粧品は大きく進歩して、限りなく病院処方のものに近くなっています。

また、メーカーは、安全性の配慮も高めています。配合の際、大事にしていることは製品の安全性と実証された効果です。

注目の成分はまだまだ出てくる!

今後、化粧品の成分は、バイオ技術による発酵成分や人の体内にある因子を利用した肌再生などが、ますます注目されそうです。

また、香りの効果を利用したメンタルケアなど、情動や感覚に働きかける化粧品へのニーズが高まるとの指摘もあります。

化粧品業界と皮膚科医が協力して、科学的根拠に基づいて「改善する」と言えるような化粧品成分が出て来るかもしれません。
成分開発によって、今まで思いもよらなかった方法で、優れた肌ケアができるようになる日も遠いことではないでしょう。

増田美加/女性医療ジャーナリスト

エビデンスに基づいた健康情報&患者視点に立った医療情報について執筆、講演を行う。

女性誌『婦人画報』『GINGER』『MyAge』、女性WEBマガジン『MYLOHAS』『GINGER web』『女子カレLOVABLE』『講談社現代ビジネス FRaU』ほかで女性のヘルスケアや医療の連載を行う。テレビ、ラジオにも出演。乳がんサバイバーでもあり、がんやがん検診の啓発活動を行う。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)、『後悔しない歯科矯正』(小学館新書)ほか多数。新刊(2021年4月2日発売予定)『もう我慢しない! おしもの悩み ~40代からの女の選択』(オークラ出版)が話題。

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