ポリフェノールの吸収率を高める成分とは?
健康ブームで注目を集めているポリフェノール。健康に役立つことは国内外から報告されているのですが、ポリフェノールには欠点も。それは体内に吸収されにくい点。しかし、近年の研究によって一部の乳酸菌がポリフェノールの吸収率を高めることなど、ポリフェノールを効率的に摂取するための対応策がわかってきました。
ポリフェノールは吸収されにくい
ポリフェノールは、植物が光合成を行うときに作り出される成分。私たちが「色素成分」「苦味成分」「渋味成分」と呼んでいるものが、ポリフェノールなのです。植物がこれらの成分をつくり出すのは、紫外線を受けたり、害虫の攻撃を受けたりしたときに身を守るため。ポリフェノールは主に野菜の茎・葉、フルーツの皮・種などに多く存在します。
ポリフェノールは現在わかっているだけで8,000種類以上あります。「カテキン」「イソフラボン」「クルクミン」「クロロゲン酸」「ケルセチン」「アントシアニン」などが代表選手です。
これまでに国内外で行われた研究によって、それぞれのポリフェノールには健康の維持・増進をサポートする特有の働きがあることがわかってきました。しかし、研究者を悩ませているのが、「ポリフェノールは腸から吸収されいくいのに、なぜ健康への効果があるのだろうか」ということです。
どのポリフェノールも、体内への吸収率が低い傾向にあります。比較的吸収されやすいもので吸収率は5~30%程度。これにはカテキン、イソフラボン、クロロゲン酸などがあります。吸収率が低いものは1%未満で、タンニンやアントシアニンなどが該当します。
吸収率を高めるには?
健康に役立つポリフェノールですが、吸収されなければあまり意味がありません。そこで、吸収率を上げる方法が研究され、一定の成果が報告されています。いくつか事例を紹介します。
タマネギに含まれる「ケルセチン」などの油となじみやすい脂溶性ポリフェノールについては、「配糖体」と呼ばれる形に変えると吸収率が向上します。配糖体とは糖がくっついたもので、水に溶けやすくなり、体内に吸収されやすくなるわけです。
トマトに含まれる「リコピン」は油と一緒に加熱することにより、化学構造が体内に吸収されやすい構造に変化しやすくなります。
緑茶に含まれる「カテキン」については、「スマート乳酸菌」と呼ばれる乳酸菌と一緒に摂取することで、腸からの吸収率が向上することが報告されています。
また、ポリフェノールの種類によっては、摂取する時間帯が吸収率に影響する可能性も指摘されています。
このように、吸収率を向上させるための取り組みや研究は日進月歩で進展しています。謎の多いポリフェノールですが、新たな発見も続いているのですね。
「カテキン」の吸収率を高める「スマート乳酸菌」とは?
「カテキン」の吸収率を向上させる「スマート乳酸菌」は、日本の伝統的な発酵食品である漬物から発見された植物性乳酸菌の1種。生きたまま腸まで届き、さまざまな健康効果を発揮することが報告されています。
「スマート乳酸菌」の発見は、コアラが消化吸収の悪いユーカリを主食としていることに着目しことがきっかけ。コアラの腸内で、消化吸収をサポートする特定の乳酸菌が働いていることにヒントを得たわけです。
この「スマート乳酸菌」が「カテキン」の吸収率を向上させる理由は、酵素の1種である「タンナーゼ」を産生する能力があるからだと考えられています。タンナーゼには、緑茶に含まれるタンニン型のカテキンや、コーヒーに含まれるクロロゲン酸のエステル結合(水酸基と酸が脱水縮合してできた結合)を分解する働きがあります。
このことから、「スマート乳酸菌」にはカテキンをはじめ、さまざまなポリフェノールの吸収率の向上をサポートする可能性があるとみられています。
ポリフェノールについてはまだまだわからないことが多いのですが、国内外の研究により、少しずつ解明されつつあります。今回紹介した「スマート乳酸菌とカテキン」もその一例です。
ぜひ、ポリフェノールへの理解を深めて、健康食品を賢く利用し、あなたの健康の維持・増進にお役立てくださいね。