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緑茶に含まれるカテキンと相性の良い成分とは

食・料理
YOKARE編集部
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緑茶に含まれるカテキンと相性の良い成分とは

5月2日は「緑茶の日」。八十八夜にあたるため茶摘みの最盛期であることが由来されています。

緑茶に含まれるカテキンは、その効能に注目され、多くの研究が行われています。カテキンにはどのような効能があり、どのような成分との相性が良いのでしょうか。

カテキンとは

カテキンはポリフェノールの一種で、タンニンと呼ばれてきたお茶の苦渋味成分です。タンニンと言われているのはカテキンが重合したものや他の物質と結合した化合物のことです。

茶に含まれるカテキンは、ポリフェノールの中のフラボノイド、さらにフラボノイドの中でもフラバノールという種類に分類され,単一の分子ではなくいくつかの分子の混合物です。

茶に含まれる主要なカテキンは、下記になります。

  • エピカテキン (EC)
  • エピガロカテキン (EGC)
  • エピカテキンガレート (ECG)
  • エピガロカテキンガレート (EGCG)

エピガロカテキン (EGC)、エピカテキンガレート (ECG)、 エピガロカテキンガレート (EGCG)の 3種類は,茶に特有のカテキンです。エピカテキン (EC)は茶の他にリンゴ、ブラックベリー、ソラマメ,サクランボ、プドウ、ナシなどにも含まれています。

茶葉に含まれるカテキンの含有量は、およそ15%前後ですが、品種や、栽培条件、摘採時期によって変化します。

また、日照量が多いほど、カテキンの合成が進ので、春に摘む一番茶(5月初旬に収穫)より夏に摘む二番茶や三番茶(6~7月あたりに収穫)の方がカテキンの含有量はお多くなります。

緑茶の種類は、玉露・抹茶・煎茶・ほうじ茶がありますが、この中で多くカテキンを含んでいるのは煎茶です。玉露や抹茶は旨味成分であるテアニンを葉の中で増やし、渋みの元になるタンニンを抑えるために、栽培過程で茶の木に光を当てないように覆います。そのため、カテキンは少なくなります。

つまり、6~7月あたりに収穫される煎茶の二番茶や三番茶がカテキンを多く含んでいることになります。

脂肪消費促進とコレステロール吸収の機能があるカテキン

カテキンは、脂肪消費促進とコレステロール吸収抑制の機能に注目して「特定保健用食品」(トクホ)にも使われています。トクホでは、茶カテキンを通常より高い割合で含む茶系飲料、清涼飲料などで、茶カテキンの脂肪消費促進とコレステロール吸収抑制の働きが、それぞれ体脂肪が気になる人、コレステロールが高めの人に良いとされています。

下記はカテキンの機能として、注目され、研究されています。


抗酸化作用

カテキンの抗酸化作用に関する研究は数多く行われており、次々と明らかにされていますが、活性酸素(あるいはフリーラジカル)を消去する作用が重要と言われています。
特に茶カテキンの中でもエピガロカテキンガレート (EGCG)の抗酸化力は強く、ビタミンCやビタミンEの数倍から数十倍と言われています。
活性酸素は遺伝子の本体であるDNAや、細胞膜を作っている脂質分子を破壊します。
DNAの損傷において、エピガロカテキンガレート (EGCG)は安全性が高く、現実的な摂取量で活性酸素により誘発されたDNAの損傷を抑制します。

抗ウイルス作用

京都府立医科大学では、伊藤園と共同で、新型コロナウィルス感染者の唾液中のウイルスを不活化できれば飛沫を通じた感染の抑制に効果的であろうと考え、食品成分によるウイルス抑制の研究・試験を開始しました。その結果、茶カテキン類がウイルスのスパイクたんぱくに結合し、細胞への感染能力を低下させる効果などを確認しました[※1]

抗ガン作用

緑茶の多量飲用ががんを予防することは、動物実験だけでなく、臨床介入試験でも証明されています。
埼玉大学大学院理工学研究科の研究グループは、がん細胞に発現するPD-L1の量を緑茶カテキンが減少させて、抗腫瘍免疫の活性を回復することを明らかにしました[※2]。

コレステロールを下げる作用

コレステロールは、細胞膜やホルモンの材料となるなど、人の体にとって、とても大切な成分です。
生活習慣の乱れなどから、血液中の悪玉コレステロール濃度が高い状態が長く続いてしまうと、コレステロールは血管の内側に入り込んで蓄積してしまいます。その結果、血管が狭くなって血流を悪くし、脳卒中や心筋梗塞などの発症リスクを高めてしまいます。
茶のポリフェノールであるカテキンとコレステロールの関係は、1980年代から本格的に研究され始めました。お茶とコレステロールの関係は1980年代以降、疫学的な検証が行われ、1日10杯以上の緑茶を摂取した人はコレステロール値が低いなどの報告があります。 またラットにカテキンを摂取させた試験では、コレステロール値の低下が確認されたことから、お茶の主成分であるカテキンが、コレステロール値を低下させるのではないかと考えられてきました。

血糖の上昇を抑える作用

緑茶に含まれるカテキンであるエピガロカテキンガレート (EGCG)が、血糖値を下げるインスリンの分泌を抑制しその効果を弱めるタンパク質を低下することが、東北大学と同志社大学の研究で明らかになりました。エピガロカテキンガレート (EGCG)などのカテキンの抗酸化作用により、インスリン抵抗性の改善を期待されています。

1日に緑茶を6杯以上飲む人は2型糖尿病の発症率が大幅に低下することが、文部科学省科学研究費による大規模コホート研究「JACC研究」でも明らかになっています。

殺菌作用・抗菌作用

食中毒菌には、毒素型と感染型があります。毒素型は食物についた細菌が産生した毒素を摂取することで起こり、感染型は食物についた細菌が直接腸管に付着して感染します。

カテキンは、毒素型の食中毒菌には毒素を消す解毒作用を発揮し、感染型の菌(サルモネラ菌、病原大腸菌など)には細菌の細胞膜を破壊する殺菌作用を示し、食中毒予防に大きな効果を発揮すると言われています。

虫歯・口臭予防

定期的に緑茶を飲む被験者は、歯周病の発生率が低く、体内の炎症を軽減するカテキンの作用があるかもしれないと言われています。日本だけでなく近年では世界中からも注目されている緑茶に含まれるカテキンが、虫歯(う蝕)関連細菌の持つう蝕原性、すなわち「糖からの酸産生」と「歯面付着」を抑制することが明らかになっています[※3]

肥満予防

運動不足や飲みすぎ・食べすぎなどの影響で、必要以上に蓄積されてしまう体脂肪は、肥満のもとになります。
食事の脂肪(中性脂肪)は、そのままの状態では身体に吸収されません。脂肪の消化酵素が働き、脂肪は分解され、脂肪分解物が胆嚢(たんのう)から出る胆汁(たんじゅう)によって作られる小さな脂質粒子(胆汁酸ミセル)に取り込まれ、小腸にて吸収されます。小腸内で脂肪(中性脂肪)は再合成され、血流に乗って輸送され、主に内臓脂肪へ蓄積されます。

つまり、脂肪の分解を抑えることができれば、脂肪の吸収は抑制されます。ガレート型カテキンは脂肪の消化酵素の働きを抑制し、食後の血中中性脂肪の上昇を抑制し、糞便中の脂肪の割合を増やすことも確認されました。[※4]

カテキンとの組み合わせGood

食物繊維と一緒に摂って免疫力アップ

最近の研究では、カテキンを摂取することで悪玉菌を減らし、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌を増やし、腸内の環境が改善されることが知られています。

オリゴ糖や食物繊維を一緒に摂れば、乳酸菌のエサとなり、さらに善玉菌が増えます。

腸内環境をよくすることは免疫力を高めることにつながると言われています。

食物繊維

乳酸菌と一緒に摂って内臓脂肪を減少

カテキンと乳酸菌はどちらも腸内環境を改善する働きがあります。乳酸菌とカテキンを一緒に摂取することで、カテキンの体内への吸収が促進されると言われています。
エピガロカテキンガレート (EGCG)が、実はEGCやECと比べ、吸収されにくいことが報告されています。スマート乳酸菌は、エピガロカテキンガレート (EGCG)の吸収に寄与し、カテキンの内臓脂肪減少効果を高めることを確認されています。

乳酸菌


※1:茶カテキン類による新型コロナウイルス不活化効果を試験管内の実験で確認(京都府立医科大学と伊藤園の共同研究)

※2:緑茶カテキンに免疫チェックポイント阻害剤の活性があることを発見(大学院理工学研究科 菅沼雅美教授)

※3:歯周病、虫歯予防にカテキンはどんな効果があるの?|YOKARE

※4:身体に脂肪をつきにくくする茶カテキン ~「ガレート型カテキン」が、食事の脂肪吸収を抑える~|伊藤園

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