冬場は特に怖いヒートショックにご注意!
寒い季節になると、入浴中に死亡する事故が多発します。その主な原因として、ヒートショックがあります。ヒートショックはどうして起こるでしょうか?未然に防止するための対策とは?特に冬場に注意が必要となるヒートショックについてお話します。
ヒートショックとは?
冬場の入浴は、暖かいリビングから寒い浴室へ移動し、その後、熱いお湯に浸かることになります。このような気温の著しい変化によって血圧が上下して、健康被害が生じることも。これをヒートショックと呼びます。
特に高齢者の場合は失神したり、不整脈を起こしたりして、急死することがあります。
交通事故よりも多い浴槽での死亡事故
2020年に家・居住施設の浴槽で死亡した高齢者は4724人でした。この年の交通事故による高齢者の死亡数は2199人。浴槽で死亡するケースは、交通事故の2倍以上も多いことがわかります。
入浴中に急死した高齢者のなかには、心疾患や脳血管障害などが死因と判断される場合もあり、実際に発生した入浴中の死亡事故は統計の数字よりも多いと推定されます。
12月・1月は最も注意が必要
家・居住施設の浴槽での死亡事故は、11月~4月に多く発生しています。特に冬場は家の中であっても、冷え込みや温度差が生じやすいため、事故が起きやすくなります。浴室での死亡事故は8月や9月がもっとも少なく、反対にもっとも多いのが1月や12月です。
年代が上がるに連れて増加し、特に75歳以上の死亡者数が顕著に多いと言えます。男女別で見ると、死亡者数はどの年代でも男性の方が多く、年齢が上がるに連れて女性との差が広がる傾向にあります。
ヒートショックの防止策とは?
ヒートショックを防止するには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
まず、入浴前に脱衣所や浴室を暖めることが挙げられます。特に高齢者の場合、寒暖差によって急激に血圧が変わると、脳内の血流量が減少して意識を失うことも。これが入浴中に起こると、溺死につながります。
入浴の際に、暖かいリビングから寒い脱衣所や浴室へ移動すると、血圧が上昇します。その後、熱いお湯に入ると、今度は血圧が低下します。急激な血圧の変動を抑えるためには、入浴前に脱衣所や浴室を暖かくしておくことがポイントとなります。
浴室を暖房できる家庭も増えていますが、そうした設備がない場合は、お湯が湧いたら風呂のフタを外して、浴室を暖めてから入るなどの工夫が必要です。
WHOは冬場の室温18℃以上を勧告
ヒートショックを防ぐためには、各部屋の温度差を小さくすることが重要で、家全体をリビングなどと同じくらいの温度に保つようにしましょう。世界保健機関(WHO)では、冬場の室温を18℃以上とすることを勧告しています。
次に、風呂の温度やお湯に浸かる時間の調節も大切です。風呂の温度は41℃以下にして、浸かる時間も10分以内にするなどの対応が必要で、長風呂は禁物です。
また、人によっては、食後に血圧が大きく下がる「食後低血圧」によって失神することがあります。このため、食後すぐに入浴しないようにしましょう。これに加えて、飲酒後の入浴、睡眠薬や精神安定剤の服用後の入浴も避けてください。
ヒートショックを防ぐポイント
- 冬場の室温を18℃以上とする
- 風呂の温度は41℃以下にして、浸かる時間も10分以内に
- 食後すぐに入浴しないようにする
- 飲酒後の入浴、睡眠薬や精神安定剤の服用後の入浴を避ける
日本気象協会「ヒートショック予報」も参考に
日本気象協会では「ヒートショック予報」を発信しています。これは、気象予測情報に基づくヒートショックのリスクの目安であり、都道府県ごとに「油断禁物」「注意」「警戒」「気温差警戒」「冷え込み警戒」の5段階で注意を呼びかけています。
こうした情報も含め、今回紹介した対策を取り入れて、寒い季節を無事に乗り切ってくださいね。