ヒートショックプロテインとは
ヒートショックプロテインという言葉をご存じでしょうか。
ヒートショックプロテインは、体を温めると増えるタンパク質の事で、様々なストレスから体を守る役割のある、健康や美容にとって重要なものです。
この記事では、ヒートショックプロテインとは何か、その役割や増やすための方法などについて解説します。健康や美容についての悩みを持っている人は、ぜひ参考にしてください。
ヒートショックプロテインとは
ヒートショックプロテインとは、熱ストレスによって増産されるタンパク質のこと。このヒートショックプロテインは人だけでなく動物や細菌などほとんどの生き物が持っていて、その種類は100種類近くあると言われています。
さらには、熱の刺激以外にも、圧力などの物理的ストレスや薬品などによる科学的ストレス、精神的なストレスによっても、ヒートショックプロテインが誘導されるこがわかっています。熱など様々なストレスによって誘導されることから「ストレスタンパク質」と呼ぶこともあります。
肌におけるヒートショックプロテインの役割
ヒートショックプロテインの主な役割は次のようなものがあります。
- 傷ついたタンパク質を修復し細胞を守る
- ストレスから体を守る
- 免疫力をアップさせる
- タンパク質を正常に機能させるための介添え役
例えば、温泉に入ることで体が温められると、ヒートショックプロテインが増えて、細胞を修復したり、ストレスから細胞を守ったりする生体機能が高まります。
昔から温泉に入って傷を癒すということが言われていますが、その理由は、体温の上昇によって血流が良くなるからと説明されていました。そこにプラスしてヒートショックプロテインの効果が傷ついた細胞を癒し、生体機能を高めると、最近の研究で明らかになっているのです。
身近な例からヒートショックプロテインを理解しよう
野菜の50℃洗いでシャキッとさせる
一時期、野菜を50℃のお湯で洗うと、シャキッとして、おいしいままで保存が出来ると話題になりました。実は、それもヒートショックプロテインによるものなのです。
50℃のお湯で90秒間熱ストレスを与えると、ヒートショックプロテインが誘導され、切り口などが褐色になるなどのストレスから野菜を守るため、野菜が長持ちします。
トマトでも、室温に放置したトマトは約7日で完熟したのに対して、42℃で24時間温めたトマトは完熟まで15日間かかります。要するに加温することでヒートショックプロテインを誘導し、トマトの寿命を延ばしたということです。
もしもそのまま人に置き換えることができるのなら、いつまでも若々しい状態をキープすることにつながります。
ヒートショックプロテインの増やし方
傷ついた細胞を修復してくれるヒートショックプロテインは自分で意識的に増やすことができます。
ヒートショックプロテインは、熱ストレスや加圧ストレス、精神的ストレスなどで増えますが、最も効率よく増やせるのは「熱ストレス」です。その中でも、最も手軽なのがお風呂。お風呂で温めることによって効率よくヒートショックプロテインを増やすことが出来るのです。
ヒートショックプロテイン入浴
誰でも手軽にヒートショックプロテインを増やすことが入浴です。入浴でヒートショックプロテインを増やす時のポイントをご紹介します。
- 設定温度は40℃~42℃
- 入浴時間は10分から20分
- 全身を温める
- 入浴後は保温をする
効率よくヒートショックプロテインを増やすことが出来る温度は40℃~42℃です。43℃を超えると、過度なストレスとなりダメージとなってしまうので注意が必要です。40℃~42℃というと多くの方が普段の風呂の温度に設定していると思いますが、この温度がヒートショックプロテインを誘導し健康に導きます。
40℃のお湯で20分間の入浴を行った場合は、入浴した2日後にヒートショックプロテインが増加したが、42℃で5分間の場合には増加しなかったという報告もあります。つまりカラスの行水では体が温まらずに、ヒートショックプロテインは増えないということです。
その他の温度と時間の関係は、41℃のお湯なら15分、40℃のお湯なら20分が必要です。さらに炭酸等の入浴剤を入れるとヒートショックプロテインが誘導されるまでの時間は短くなります。
健康のために半身浴をされる方もいらっしゃいますが、ヒートショックプロテインによる美容や健康の効果をきたいするなら、全身の入浴がおすすめです。
そして入浴後に大切なのが「保温」です。入浴後暑いからといって、クーラーや扇風機で体を冷やしたり冷たい飲み物を飲んだりするのは、急激に体温を下げる原因になるのでやめましょう。入浴後は体を冷やさないように、保温性の高い服を着て、水分補給は温かいお茶などがおすすめです。
温めるスキンケア
温める効果のあるスキンケアを使用することによって、肌のヒートショックプロテインを増やすことができます。
肌の大部分はタンパク質でできており、シミ・シワなどの肌トラブルの原因は紫外線などによるタンパク質の損傷です。ヒートショックプロテインは紫外線ストレスから肌を守り、傷ついた細胞を修復する効果があるのです。
エステでは、ホットタオルやスチーマーを使って肌を温める施術がおこなわれますが、それは血行促進だけでなく、ヒートショックプロテインを誘導し肌ダメージから回復させる目的もあるのです。
ホットジェルによるスキンケア
肌を暖かくするためのクレンジングやマッサージジェルなどが販売されています。これらには、ショウガやトウガラシを配合することによる血行促進を目的としたものと、グリセリンを配合し肌を温めるものがあります。いずれにしても肌が温まる効果のあるものは、ヒートショックプロテインを誘導する効果が期待できます。その際には、肌に刺激にならずに、ある程度の時間温かさが持続するものを選ぶと良いでしょう。
温めてヒートショックプロテインを増やし美と健康を手にいれましょう
ヒートショックプロテインは健康や美容にとって非常に大切で、その役割には「傷ついたタンパク質を修復し細胞を守る」「ストレスから体を守る」「免疫力をアップさせる」などがあります。
この記事では、ヒートショックプロテインの役割、入浴やスキンケアによる増やし方などを紹介しました。
美容や健康についての悩みのあるかたは、健康的に、そして美しくなるためにヒートショックプロテインを増やすための「温めるケア」をはじめてみてはいかがでしょうか。