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世界から見る日本の農業

食育
YOKARE編集部
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世界から見る日本の農業

日本の農業は「小さな畑」「高齢化」などの制約を抱えながらも、世界から高く評価されています。和食ブームやブランド果物の人気、安全性への信頼など、日本の農業には独自の強みがあります。記事では、海外農業との比較を通じて、日本農業の強みと魅力、そして未来への可能性をわかりやすく解説します。

世界から見た日本農業の特徴

①国土・耕地・地形の制約

日本の農地面積は国土の約11%に過ぎず、山地や森林が大半を占めています。そのため小さな農地を有効活用する「集約型農業」が中心です。また、北海道から沖縄まで気候が幅広く、多様な作物が栽培されるのも特徴です。

集約型農業

一方、アメリカやオーストラリアは広大な平地を利用した「大規模農業」が一般的で、単一作物を大量に栽培するモノカルチャーが中心です。日本は「小さな土地で多品目」、海外は「大きな土地で大量生産」と対照的です。

②生産体制と規模の差

日本の農業は小規模な家族経営や兼業農家が多く、農業収入だけで生活するのが難しいため会社勤めと両立するケースも目立ちます。経営規模は数ヘクタール以下が一般的です。

対してアメリカでは農場の約9割が「ファミリーファーム」とされていますが、実態は数百〜数千ヘクタール規模の大農場が多く、法人化され雇用労働者を抱えています。

アメリカ

オーストラリアでも大規模な家族農場が主流で、兼業はほとんどありません。ヨーロッパは中規模の家族農場が中心で、EUの補助金を受けながら専業で経営するのが一般的です。

つまり、日本は「小規模+兼業」が特徴的で、海外は「大規模または中規模の専業農家」が多いという違いがあります。

③品質・付加価値・ブランド力

日本の農産物は「味」「見た目」「安全性」へのこだわりが強く、果物や和牛は高級ブランドとして国内外で支持されています。小規模でも高品質を武器に勝負できるのが特徴です。

海外でもそれぞれの強みがあります。ヨーロッパでは環境配慮型やオーガニック農業が重視され、持続可能性という価値でブランドを築いています。

アメリカやオーストラリアでは、大規模経営と最新技術によって「安定した供給力」「効率性」が信頼の源となっています。各国がそれぞれの条件を活かし、独自のブランド力を育てているのです。

海外農業の現状

①アメリカ:規模と効率重視

アメリカは広大な農地を活かし、大規模機械化による効率的な農業が主流です。トウモロコシ・大豆・小麦などを中心に輸出量も世界トップクラスです。

②オランダ:施設園芸と輸出モデル

オランダは小国ながら施設園芸に強みを持ち、花や野菜を世界に輸出しています。先進的な温室技術と輸出体制が整備され、日本の園芸農業の参考例ともなっています。

オランダ

③ヨーロッパ(EU諸国):環境重視

EUでは農業政策を通じて「環境保全・有機農業」が推進され、農法そのものがブランド化されています。消費者も持続可能性を重視する傾向が強く、日本との価値観の違いが見えてきます。

世界で広がる日本農業の魅力

①和食ブームと食文化の浸透

2013年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたことをきっかけに、日本の食文化が世界的な注目が高まりました。寿司や天ぷらだけでなく、だしや発酵食品も「健康的でユニーク」と人気です。

海外の日本食レストランは15万店を超え、日本の米や調味料の輸出需要を押し上げています。

日本食レストラン

②輸出拡大と政府の後押し

日本の農林水産物輸出額は、2012年の約4,500億円から10年で2倍以上に成長し、2021年には1兆円を突破しました。政府は果物や和牛、日本酒を重点品目とし、海外市場に合わせた輸出戦略を推進しています。
国際基準に対応した検疫体制や鮮度保持技術の向上により、検疫や物流の整備も進み、従来難しかった品目も海外に届けられるようになりました。

例えばシンガポールや香港では果物日本酒が人気を集め、アメリカやヨーロッパでは和牛が高級レストランで需要を伸ばしています。

③ブランド果物・和牛の人気

近年、日本の果物は「高級ギフト」として世界で地位を確立しています。
たとえば、シャインマスカットは香港や中国本土で1房数千円以上で販売されています。

シャインマスカット
和牛は霜降りの美しさと旨みで「世界最高級肉」とされ、欧米の高級レストランで高い需要を誇ります。
このようなブランド農産物は農家の丁寧な姿勢がそのまま付加価値につながっています。

④安全性と技術力への信頼

日本の農産物は「安心して食べられる」点で世界的に評価されています。トヨタをはじめ日本の工業製品の品質管理の厳しさは世界トップクラスであると同時に、農業界においても農薬基準の厳守やトレーサビリティ制度、鮮度保持技術などが徹底されています。冷蔵コンテナやパッケージ技術の工夫により、遠距離輸送でも品質を維持できる体制が整えられています。これによって、日本産農産物は「高品質で安心できる食材」として、アジア圏だけでなく欧米市場でも確実に信頼を獲得しています。

⑤日本農業の可能性と未来

日本農業の魅力は、品質の高さや文化的な背景、安全性への徹底にあります。今後はアジアを中心とした中間層の拡大や、世界的な健康志向の高まりによって需要がさらに広がると見込まれます。また、ICTやスマート農業の導入により、生産効率を高めつつ輸出体制を強化できるでしょう。伝統と技術革新を組み合わせることで、日本農業は世界に向けて新しい価値を生み出し続ける可能性を秘めています。

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