現役ファーマーが教える9-10月から家庭菜園する場合におすすめの野菜

9〜10月は家庭菜園を始めるのに絶好のシーズン。涼しい気候で病害虫も少なく、初心者でも育てやすい野菜が豊富です。今回は初心者でも栽培しやすい6品目に絞り、秋からの栽培ポイントとプランターでの育て方を解説します。
9〜10月から育てやすい定番野菜
ほうれん草
- 発芽適温15〜20℃、秋まきに最適
- 30〜40日で収穫でき、霜にあたると甘みが増す
- ベビーリーフでも楽しめる
サニーレタス
- 30日前後で収穫可能、結球しないので失敗が少ない
- プランター栽培に最適
- サラダにすぐ使える便利野菜
春菊
- 鍋料理に欠かせない香り野菜
- 20〜30cmで外葉を摘み取り、長期収穫できる
- 秋まきで病害虫の心配が少ない
小松菜
- 種まきから25〜30日で収穫できる初心者向け
- 寒さに強く、霜で甘みが増す
- 味噌汁・炒め物など幅広く使える
ミズナ
- 栽培期間30日前後で収穫
- 寒さに強く、株元を残して再生栽培できる
- サラダや鍋に活用できる万能野菜
イチゴ
- 9〜10月に苗を植え付け、翌春に収穫
- プランター栽培可、霜よけが必要
- 自宅で採れたてを味わえる贅沢感
プランター家庭菜園におすすめ
庭がなくても家庭菜園を楽しめるのが「プランター栽培」の魅力です。特に9〜10月は気温が安定しており、虫害や真夏の水切れのリスクも減るため、初心者がプランター菜園を始めるのに最適なシーズンです。
今回紹介した6品目をそれぞれプランターで育てる際のポイントを詳しくまとめました。
ほうれん草
プランターサイズは深さ20cm以上・横幅60cm前後が理想。
条まき(溝を作ってスジ状に種をまく)にすると、間引きがしやすくなります。
水分が不足すると発芽不良になりやすいため、発芽までは乾かさないことが大切。
サニーレタス
プランターサイズは深さ20cm程度でもOK。株間15cmをあけると大きく育ちます。
株ごと収穫もできますが、外葉を1枚ずつかき取る「リーフ収穫」がおすすめ。
直射日光に当たりすぎると葉が硬くなるので、半日陰でもよく育ちます。
春菊
プランターサイズは深さ25cm程度、横長プランターが便利。
条まき後、間引きながら育て、10〜15cmで「間引き菜」として食べられます。
株元を残して外葉だけ収穫すると再生しやすく、長期間楽しめます。
小松菜
プランターサイズは深さ20cm以上、横幅60cm程度。
密植してもOK。葉が20〜25cmになったら株ごと収穫。
発芽から成長が早いので「短期決戦型」の野菜。少量ずつ時期をずらしてまくと長く収穫できます。
ミズナ
プランターサイズは深さ20cm、横幅60cm程度。
条まき後、10cm間隔に間引き。株元を残して「株切り収穫」すると、再生してまた収穫できます。
害虫に強く、育てやすい。ベランダ菜園の定番におすすめ。
イチゴ
プランターサイズは深さ30cm以上の専用プランターがおすすめ。株間は20〜25cm。
秋に定植し、冬は株を育てる期間。翌春に花芽がつき、実をつけます。
水はけを好むため、鉢底石を敷いてから土を入れると根腐れを防げます。冬は寒風を避け、霜よけを設置すると安心。
プランター栽培のメリット
プランター栽培にはいくつかのメリットがあります。まず、プランターは移動できるため、日当たりや気温の調整がしやすく、植物にとって最適な環境を整えることが可能です。また、病害虫の発生も確認しやすく、早期に対策を取ることができます。さらに、土壌を入れ替えてリセットできるため、地植えに比べて連作障害のリスクが少ない点も大きな利点です。加えて、初期投資が少なく、万が一失敗してもリカバリーしやすいため、初心者でも気軽に挑戦しやすい栽培方法といえます。
栽培成功のポイント
土づくり
- 市販の野菜用培養土を使うのが最も簡単
- 元肥(粒状の緩効性肥料)を混ぜ込み、追肥は2週間に1度程度でOK。
種まき・間引き
- 種は「条まき」がおすすめ。発芽後、混み合った部分を間引くことで風通しがよくなります。
- 間引き菜は栄養たっぷりなので、捨てずにサラダや炒め物に。
- 小松菜・ほうれん草・ミズナは「時期をずらして種まき」すると途切れず収穫可能。
水やり
- プランターは乾燥しやすいため「表土が乾いたらたっぷり」が鉄則。
- 特に発芽期は乾燥に弱いので要注意。
- イチゴは「過湿に弱い」ため、土の表面が乾いてから与える方が良い。
防寒対策
- 11月以降は冷え込みが厳しくなるので、不織布やビニールトンネルで保温。
- イチゴは特に寒風に弱いので、プランターごと壁際に寄せるか、簡易ハウスを設置するのがおすすめ。
病害虫対策
- 秋は夏に比べて害虫が減るが「アブラムシ」「ヨトウムシ」には注意。
- 防虫ネットを最初からかけておくと被害を最小限にできる。
- 無農薬なら、木酢液や唐辛子スプレーも効果的。
連作障害を避ける工夫
- 葉物は比較的連作に強いが、同じプランターで同じ科の野菜ばかり育てると病気が出やすい。
- シーズンごとに「科を変えて」植えることで長く楽しめる。
家庭菜園を続けるコツ
家庭菜園を長く続けるためには、いくつかのコツがあります。まず、一度に多く植えすぎないことが大切です。管理が大変になると、挫折の原因になりやすいからです。
また、「短期で収穫できる野菜(小松菜・ほうれん草・ミズナ)」と「長期的に楽しめる野菜(イチゴ)」を組み合わせて育てると、バランスよく収穫の楽しみを味わえます。
さらに、植物の成長の変化を観察して記録しておくと、翌年の栽培に活かすことができ、家庭菜園の経験をより豊かに積み重ねられます。