ロスフラワーとは?お花業界で顕在化した課題
近年SDGsにまつわる文脈で「フードロス」「食品ロス」について語られ、取り組みなどを耳にする機会を多くなっています。
食品業界だけでなく花業界でも、まだ使えるのに廃棄される「ロスフラワー」が問題となっています。
新型コロナウイルスの感染が拡大し、卒業式や結婚式などのイベント中止により、お花の出荷が減少し、多くのお花が破棄され、花の需要は低迷しました。市場規模自体が縮小している中、まだ使えるのに廃棄される生花が健在化しました。日本の花業界の市場が減少する中、廃棄される日本のお花を少しでも多く減らしたいというロスフラワーの取り組みを紹介します。
ロスフラワーとは
フラワーロスとは、まだ使えるのに廃棄されるお花のこと。
農林水産省のデータによると、年間30億本を超えるお花が販売されている日本で、今問題になっているのが“フラワーロス”。 一般的な花屋のフラワーロスが30~60%と言われ、花きの小売価格に占める小売経費は約5割を占めています。小売経費の割合が高いのは花束への加工、商品ロスが多いことなどによります。
また、花き業界の作付面積は平成7年を、産出額は平成10年の63百億円をピークに全品目を通じて減少しています。近年は漸減傾向で推移。こうした中で、新型コロナウイルスの感染が拡大し、卒業式や結婚式などのイベント中止により、お花の出荷が減少し、多くのお花が破棄されたことで、ロスフラワーの問題が注目を集めました。
フラワーロスが発生する原因
生産者である農家さんが卸売市場へ販売をする際に、卸売業者や仲卸業者の決めた規格・品質・サイズなどに適合しないため買い取ってもらえずに破棄するお花があります。生産者が規格外のお花を販売する販路を持っていなければ廃棄されてしまいます。
卸売市場や生花店で、お花を輸送したり、保管したりしていますが、その際に劣化が進み廃棄されるお花もあります。また、お店で販売しても、売れ残ってしまったら廃棄されてしまいます。
フラワーロスが発生する要因
- 規格を満たしておらず出荷できず廃棄(生産者 → 卸売市場)
- 供給過剰(卸売市場 →生花店・フラワーショップ)
- 売れ残り(生花店・フラワーショップ→ 消費者)
- 花の鮮度がおちてしまい廃棄
廃棄分を上乗せてして、お花を販売しないと利益ができないので、ロスが多いほどお花の価格は上がってしまいます。価格が上がるから需要が減ってしまうという悪循環が起きてしまいます。
フラワーロスへの取り組み
ここ数年で多くの企業、社会全体でSDGsへの取り組みが活発に行われるようになりました。SDGsの目標NO.12「つくる責任 つかう責任」や、SDGsの目標NO.15「陸の豊かさも守ろう」とも絡めて、ロスフラワーの課題は扱われることが多くなっています。ロスフラワーの課題は、お花屋さんがそれぞれ挑戦していることもメディアで取り上げられるようになりました。
フラワーサイクリストは、廃棄されてしまうお花を買い取って、それをドライフラワーにしてアクセサリーや装飾にするお仕事です。環境に配慮した装飾を行いたい企業も増え、ロスフラワーを活用したプロモーションは現在各地で話題になっています。
また、花の需要自体を活性化していくことも一つ重要なのかもしれません。「ストレスの軽減」や「社会性の向上」、「認知機能の改善効果」等に効果があると研究からもわかっています。一般消費者に花の鑑賞が、脳の活動に影響を与え、心理的、生理的に生じたストレス反応を緩和することなどを伝えていくことも。定期的にお花屋さんで一輪でも購入するような習慣が今後のお花業界を支え、私たちの暮らしもお花に触れることで豊かになるでしょう。
損得勘定が優先されれてしまうようなコンテンツが溢れている世の中ですが、お花を定期的に小額でも購入し、「自然に触れる」ことの方が何倍も心を豊かにしてくれるでしょう。