ノニ果汁とチンピエキスの美容効果
肌のターンオーバーがあって、ターンオーバーの乱れが、肌トラブルや老化肌の原因になります。このターンオーバーは、加齢により次第に遅くなったり、紫外線やストレス、睡眠不足などで乱れたりすることは知られています。
化粧品メーカーのちふれでは、皮膚の保湿機能やバリア機能を維持する素材としてノニ果汁とチンピエキスに注目しています。今回は、ノニ果汁とチンピエキスについて紹介します。
ノニとは
ノニ(学名: Morinda citrifolia)は、アカネ科に属する熱帯性の常緑低木または小高木で、主に東南アジア、インドネシア、ポリネシア、オーストラリア北部などの熱帯地域に自生しています。ノニは「インディアン・マルベリー」「ヤエヤマアオキ」「モリンダ」とも呼ばれることがあります。
ノニの木は高さ3〜10メートルに達し、葉は大きく、光沢のある深緑色をしています。果実は楕円形で、長さ10〜18センチメートル程度です。成熟すると白くなり、独特の強い匂いを放ちます。
ノニの果実はその独特な匂いと苦味のため、食用としてはあまり一般的ではありませんが、伝統的な薬として利用されていました。果実には、ノニ特有成分「イリドイド」「プロゼロニン」「スコポレチン」や中鎖脂肪酸、ビタミン、ミネラル、アミノ酸など140種類以上の栄養素を含有されています。
今では、ノニは主にノニジュースとして販売されています。しかし、飲みにくさはあり、オレンジジュースやアセロラジュースと合せた飲み方が推奨されています。
チンピ(陳皮)とは
チンピ(陳皮)は、ミカン科の植物であるウンシュウミカン(学名: Citrus unshiu)の成熟した果皮を乾燥させたものです。古来から中国や日本で伝統的な漢方薬として利用されており、消化不良や咳、冷え性などの改善に用いられてきました。チンピは特に、その香りや風味が強く、料理やお茶、そして化粧品の成分としても広く使われています。
チンピにはヘスペリジンやナリンジンなどのフラボノイドが豊富に含まれており、これらは抗酸化作用や抗炎症作用を持ちます。リモネンなどの精油成分も豊富で、これらはリラックス効果をもたらし、血行を促進する働きがあります。ビタミンCが含まれており、免疫力の向上や美肌効果が期待されます。
ノニとチンピの美容効果
ちふれでは、検証のために3つの試験を実施しました。
- 1つ目は、ヒトの皮膚の細胞(表皮角化細胞)を用いた試験。
- 2つ目は、ヒトの頬の部分から角層を採取してノニ果汁とチンピエキスを作用させ、タンパク質(コーニファイドエンベロープ)の膜状構造の成熟度の変化の評価。
- 3つ目の試験は、モニターを対象にした長期連用試験。
保湿機能やバリア機能に関わる9つの遺伝子の発現率がどのように変化するかを評価した結果、ノニ果汁とチンピエキスの併用により、9つの遺伝子すべてで発現量が軒並み促進され、試験実施前の期待を大きく上回る成果を得ることができました。
表皮ターンオーバーの過程で複数のタンパク質が結合し、角層で形成されます。これをタンパク質(コーニファイドエンベロープ)の成熟化と言います。
タンパク質(コーニファイドエンベロープ)の膜状構造が十分に成熟しないと角層のバリア機能が維持されず、肌へのさまざまなダメージにつながることが分かっています。ノニ果汁・チンピエキスの成分単体でもタンパク質(コーニファイドエンベロープ)の膜状構造の成熟は向上しました。
モニターを使った検証では、ノニ果汁・チンピエキスを配合したグループの方が、無配合グループよりも高く、ノニ果汁・チンピエキスの長期連用により、角層水分量を上昇させる効果が期待できることが分かりました。
ノニ果汁とチンピエキスの併用は、肌の保湿機能とバリア機能を改善し、ターンオーバーを正常化し、健康的で若々しい肌を保つ手助けをすることが期待される結果となりました。これらの成分が含まれるスキンケア製品は、皮膚の保湿機能やバリア機能の改善への効果が期待されます。
参考資料
「角層の保湿機能及びバリア機能改善に対するノニ果汁及びチンピエキスの併用効果について」日本薬学会第143年会におけるポスター発表のご報告|ちふれ