トウキエキスの美容成分を解説!美白もシミもめぐりでケア

年齢に伴って気になり始める肌のくすみやシミ。「年だからしょうがない」と諦めてしまいがちな肌悩みも、実は原因のひとつとしてめぐり不足も関係してくるのだとか。
そこでいま注目されているのが和漢植物の トウキ(当帰)。昔から漢方薬として女性のめぐりケアに使われてきた成分ですが、近年はスキンケア成分としての実力が続々と明らかになってきています。今回は最新研究とあわせてその魅力を探っていきます。
トウキエキスの漢方での位置づけ
トウキはセリ科の植物で、乾燥させた根の部分を使用します。西洋ではアンジェリカと呼ばれハーブとして、漢方では当帰という生薬として親しまれてきました。
ちなみに西洋のアンジェリカ、中国のトウキと日本のトウキは品種が異なるため、今回は日本のトウキについてまとめています。
トウキは体を温める「補血・活血薬」として分類されます。血の不足を補い、血流を促しめぐりを高める働きがあるとされます。 効能としては月経不順、冷え症、更年期の不調、肌の乾燥やかゆみの改善などが知られており「当帰芍薬散」や「当帰飲子」などがトウキを使った漢方薬の代表例です。
トウキエキスの美容成分としての働き
① 血流促進とエイジングケア
漢方薬として血流とめぐりを改善する効能があるトウキエキスは、肌に対しても同じように血流促進効果が期待できます。血流が良くなることで肌のターンオーバーが整い、肌荒れ予防効果が期待できるとして基礎化粧品に使用されています。
実はトウキエキスのチカラはこれだけではありません。最近ではエイジングケアにもトウキエキスは有効だとの研究報告がされているんです。
2022年の韓国の研究によると、トウキ根エキスの使用により肌のⅠ型コラーゲン産生を40%増加させることが確認されました。さらにトウキエキス配合ローションを8週間使用したところ、目尻のしわが有意に減少し、紫外線ダメージのスコアも改善したとの報告がされています[1]。
私たちが毎日受けてしまう紫外線ダメージや、年月を重ねると失われやすくなるコラーゲンもトウキエキスがめぐらせてサポート。肌を若々しく保つための良き相棒となりそうです。
② 美白成分「分散美白」
気がつくとそこにあるシミと肌のくすみ。段々と濃くなってきてしまうシミもありますよね。これは肌の奥、基底細胞にシミのもととなる色素メラノソームが過剰に蓄積することが原因のひとつ。また肌のターンオーバーがうまく行かず、できてしまったメラニンが排出されずにそのまま溜まってしまうことも関係します。
化粧品に使われる美白成分の働きは主に3つに分類されます。
- メラニンを作らせない:アルブチン、コウジ酸など
- メラニンをため込ませない:ナイアシンアミド、プラセンタなど
- すでにあるメラニンを薄くする:ハイドロキノン、ビタミンC誘導体など
実は、トウキエキスは「分散美白」というアプローチをする成分なんです。
まず、黒い点を距離を離して3〜4個ポンポンと置いた場合と、3〜4個をギュッと固めて置いた場合をイメージしてみてください。密集しているほうがずっと濃く目立って見えますよね。シミも同じで、メラノソームが密集していると濃く見えてしまうのです。

トウキエキスにはメラノソームを分解する酵素「カテプシン」を活性化し、メラノソームの分解を促す働きが期待されています。メラノソームの密集をほぐしてメラニンを分解させることで、メラノソームがあってもシミが目立たなくなる、これが「分散美白」のアプローチです[2]。
めぐりを整えて透明感あふれる肌へ
トウキエキスは、めぐりを整えながら透明感あふれる肌へと美しさを底上げしてくれる美容成分。エイジングケアからシミ対策まで、多方面での働きが期待できます。化粧品には「トウキ根エキス」としてさまざまなコスメに使用されていますので、ぜひ成分表をチェックしてみてくださいね。
参考文献
[2] 木曽 昭典, 曽 海峰, 前田 憲寿, “メラノソーム複合体の消化を作用メカニズムとしたトウキエキスの色素沈着改善効果”
宇山 侊男, 岡部 美代治, 久光 一誠, “化粧品成分ガイド 第8版”
化粧品成分用語事典 2006, 中央書院
丸善製薬株式会社(2025)「トウキ抽出液」