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慢性化する「自粛痛」に関する調査結果 痛みの放置でうつ発症のリスクも

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慢性化する「自粛痛」に関する調査結果 痛みの放置でうつ発症のリスクも

新型コロナウイルス感染症の感染対策が長期化しています。在宅勤務や外出自粛に加えて夏の猛暑により、ますます家から出ない生活になっている人も多いでしょう。こうしたライフスタイルを送る中で「自粛痛」という新たな身体の不調や痛みを抱える人も。今回はニチバン株式会社が行った「自粛痛」に関するプレスセミナーの内容をご紹介します。 

在宅生活の長期化で自粛痛が慢性化? 

ニチバン株式会社が20代から60代の男女500名を対象に行った調査結果によると、コロナ前後で体調の変化があった人に「新型コロナウイルス感染拡大前と比較して不調が増えたと感じるか」と質問したところ、「とても感じる(12.6%) 」「まあまあ感じる(45.1%)」を合わせて約6割にものぼりました。特にリモートワーク経験者は身体不調がより顕著になっています。 

不調の理由を探ってみると、在宅勤務や在宅生活、PCやスマホの利用増加、運動不足といったことが考えられます。 

次に具体的な身体の不調を聞くと、「目の疲れ」、「疲れ・だるさ」、「肩こり」が5割以上という結果に。身体の不調を感じ始めたのは「1年以上前」が34.9%、「半年以上前から」が41.0%と、不調が慢性化・長引いていることが明らかになりました。 

これらが日常生活に与える影響については、「ネガティブな気持ちになる」、「気持ちが沈んでしまう」、「イライラする」、「仕事に集中できない」、「眠れない」といった回答が。「自粛痛」はメンタル面や仕事・睡眠にも影響が与えているようです。 

不調の対処法については「ストレッチ」や「マッサージ」、「外用鎮痛消炎剤を使う」など家の中でできる対処法が上位に入りました。一方で「我慢する」や「特にない」といった回答が約4割も。激痛ではないことに加えて、痛みが慢性化しているためにそれを当たり前の状態と見なしてしまっているといった理由から、痛みを放置している人は意外と少なくないのかもしれません。 

マスクで体が緊張状態、自粛生活で眠れない症状も 

プレスセミナーに登壇した工藤内科の工藤孝文医師は、この痛みの放置を危険視していました。実際に工藤医師のもとにも、「体が痛い」、「めまいがする」、「気分が落ち込む」、「イライラする」、「肩こり」、「腰痛」といった症状を訴える患者さんは増えているそうです。 

その理由のひとつが長引くマスク生活。「マスクをしていると呼吸がしづらくなり、口呼吸になるので肩で息をするようになります。すると体が緊張状態になり、血流が悪くなってやがて肩こりや腰痛などの体の痛みへと繋がります。マスクをつけているとうっとうしさも感じるので、それもまた体の緊張状態に繋がってしまうのです」(工藤医師) 

さらに新型コロナウイルスへの不安やストレスに加えて、こうした体の痛みによってうつ症状のリスクも高まっているのだとか。工藤医師によると、痛みの慢性化や長期化はストレスに対処するためのホルモンが出にくくなるので、うつ症状になりやすいそうです。

「30代後半から自律神経が乱れ始めると言われています。自粛生活だと、日光が浴びられないので幸せホルモンのセロトニンが生成されない状況。人間はセロトニンが生成されると睡眠ホルモンのメラトニンも生成されるので、夜にぐっすり眠れます。自粛痛はさまざまな要因が考えられますが、セロトニンもメラトニンも出にくくなっていることも理由のひとつでしょう。人間は幸せを感じていると痛みを感じにくいとも言われるので、今の不安やストレスが強い状況では余計に体の痛みを感じやすくなっていると考えられます」(工藤医師) 

痛みの慢性化で「気付いたらうつになっていた」とならないために 

体の痛みがうつ症状に繋がるという工藤医師。気付いたら重大な心身状態になってしまわないよう、うつ症状が発症する前にできるセルフチェックのポイントを聞きました。   「おすすめがボディスキャンです。横になり、目をつぶって頭のてっぺんから足先までCTスキャンをイメージして自分で痛みがないか確認していく方法です。ボディスキャンを行うと体のどこかに痛みやコリがあれば早めに見つけて対処できるでしょう」(工藤医師) 

またうつになり始めるサインとしては、頭の中がパンパンになる脳疲労の状態が挙げられるそう。脳疲労とは、パソコンが止まってしまうように脳がフリーズしてしまう状態のこと。 

頭がパンクしたりやることが多すぎてずっと同じことを考えていたりするのは、最初の危ないサインです。その後、物忘れや言葉が出てこない、楽しみがない、何をしても面白くない、といった症状になるときわめて危険。こうした状態になる前に痛みやストレスを緩和することが大事になってくるそうです。 

この夏は自粛痛に加えて寒暖差疲労にも注意が必要 

さらに工藤医師は、この夏に注意するべき寒暖差疲労についても紹介します。   寒暖差は気温の変化や冷房によって生じます。この寒暖差によって体温調節をつかさどる自律神経がバランスを保てず、シーソーのように動いてしまうそう。その差は10°C前後もあるため、体と心がバテてしまいます。この状態を寒暖差疲労と言います。   今年の夏は外出自粛で汗をかく機能が低下している中での猛暑となっているため、例年以上に熱中症にも注意が必要です。熱中症、寒暖差疲労、自粛痛、マスク生活などが合わさるので心身が不調になりがちとも言えます。 

「マッサージやストレッチはなかなか続きにくいので、体の痛みが生じたらまずは湿布などでケアを行うことをおすすめします。そして運動やサウナで自律神経を活性化させましょう。痛いまま肩こりや腰痛を我慢していると、①慢性的な痛みや強い症状、②仕事や日常生活に影響③気分が落ち込む、④痛みやうつ症状という負のスパイラルに陥ります」(工藤医師) 

心のケアに繋げるためにも、自粛痛の自覚がある人はまず即ケアをしてみてくださいね。

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