管理栄養士に聞いた!胃に優しい料理とは?おすすめのレシピも紹介
暴飲暴食や仕事でのストレスがかかりすぎると、どうも胃の調子がよくないなと思うことも多いはず。そんな時にあるとありがたいのが、胃にやさしい食べ物。でも、胃にやさしい食べ物や料理に何があるかわからない方も多いのではないでしょうか?そこで今回は、管理栄養士のTS先生に胃にやさしい料理について聞いてきました。
最近胃の調子が悪く、胃に優しいものが食べたいと思っている方はぜひ参考にしてみてください。
胃にやさしい食べ物とはどのようなものでしょうか?
胃に優しい食べ物とはどのようなものか。それは胃がどういうお仕事をしているのか?を知ることで、イメージがつきやすくなります。胃の働きを知り、胃の働きを軽減してくるような食べ物を食べれば良いということになります。
胃は大きく2つの仕事をしています。
- 食べたものをいったん貯める場所
- 食べたものと胃液をよく混ぜ合わせドロドロにし、ゆっくりと十二指腸へ送り出す(蠕動運動)
従って、ドロドロにしたものを食べれば「胃にやさしい食事」ということになります。
ドロドロと言うとイメージが悪いですが、皆さんも赤ちゃんの頃に食べた離乳食のイメージです!
胃にやさしい食事とは家でも簡単にできますか?
まず、ドロドロに向いている食材にはどういうものがあるかを掘り下げていきます。
例えば、食物繊維がすごく多いものだと分解するのに時間がかかるため、ゼロである必要はありませんが、食物繊維が少ないものや繊維を断ち切ったものなどが良いでしょう。
他には、生野菜ではなく野菜を煮ることにより、消化しやすくできます。
この他、調理法の工夫も簡単に行えます。例えば・・・
- 刺身→煮魚
- 焼き魚→蒸し魚
- 唐揚げ→蒸し鶏
- 焼肉→しゃぶしゃぶ
- ゆで卵→半熟卵
- 揚げ出し豆腐→湯豆腐
- キムチ鍋→みぞれ鍋
さらに、脂質の含有量にも気をつけていきましょう。
通常、食べたものに含まれる脂質の20〜30%が胃内で消化されると報告されています。脂質が多い食べ物はそれだけ胃に滞留する時間が長くなり、胃に負担がかかります。一方、脂質を少なく摂れば、それだけ胃にかかる負担を減らすことができます。
さらに付け加えると、刺激の少ない、柔らかい食材を用いることで、胃にかかる負担を減らすことができ、結果的に胃にやさしい食事となります。
刺激の少ないという点では体温に近いものや薄味の料理、辛すぎない料理がおすすめです。
過度に冷たいものや熱いものではなく、人肌程度の温度のものが胃にはやさしいでしょう。
この他、食べ物を食べたときの消化というお仕事を担っていることを意識してみてください。
先ほど紹介したように、胃では様々な消化酵素の力で脂質やタンパク質を分解する仕事や、食べ物をドロドロにして十二指腸に運ぶ仕事もしています。
そのため、よく噛んで、ゆっくり食べる、1回に食べる量を少なくし、回数を1日5-6回にすることにより胃からスムーズに出ていくようになり、胃にやさしい食べ方ということになります。
そこで、胃に優しいおすすめのレシピは?
ご家庭で用意しやすいのは、野菜のコンソメ煮です。
キャベツ、ニンジン、タマネギ、ジャガイモなどはどこの家庭にもありますし、コンソメ顆粒をお湯に溶かしたところにざく切りにした野菜を入れて煮込めば完成なので、簡単です。
コツとしては、野菜を切る時に繊維に対し直角に切るようにすれば、繊維が断ち切られ、それだけ胃にやさしく負担をかけずに済みます。
さらにウィンナーやベーコンを入れると美味しいですが脂質が多くなるため、おすすめはショルダーベーコンを使うことです。チョットした食材の選び方で脂質を減らすことができます。
他に減塩のコツとして、ローリエの葉を入れることにより、ローリエの香りが野菜のうま味を引き立ててくれます。味がよくなるので、朝食でも夕食でもあっさり食べることができます。
野菜のコンソメ煮以外の料理では、サツマイモとりんごの重ね煮やかぼちゃのミルク煮なども今の季節ではおすすめです。
さつま芋の時も、繊維を断ち切り、消化しやすい形にしましょう。
かぼちゃのミルク煮は、低脂肪牛乳を使うのがコツです。低脂肪牛乳の方が、普通牛乳に比べ脂肪の含有量が少ないためです。
胃の調子が悪い時、食事面や生活面ではどのようなことに気をつけた方がいいでしょうか?
一般的な話にはなりますが、気をつけたほうが良いことが6つあります。
- 規則正しい食事
- タバコを控える
- アルコールを控える
- よく噛んで楽しい雰囲気で食べる
- 熱いものや冷たいものなど刺激物は避ける
- 硬いものや繊維の多いものは少なめにする
最後に入れた「硬いもの」とは、イカやタコ、貝類、干物などです。これらは控えた方が良いでしょう。
他には、山菜、ごぼう、たけのこなど消化しにくそうな野菜も控えるのがおすすめです。
また、規則正しい食事に関しては先に述べたように分食がおすすめです。1日3食ではなく5食ぐらいに小分け・少量にして回数を分けて食べると良いでしょう。
刺激物に関しては、キムチ鍋などを食べる機会も多いかと思いますが、唐辛子も刺激物となるため、胃の調子の悪い時には控えたほうが良いでしょう。
コンビニで買う食べ物で、胃に優しい食べ物と胃に優しくない食べ物はありますでしょうか?
胃に優しくない食べ物は、牛カルビおにぎりや揚げパンやデニッシュブレッドなどの消化しにくいものや脂質を多く含むものです。
季節を問わず購入できる食べ物で胃に優しいものでは、レトルトお粥や鮭おにぎり。それに総菜では「お浸し」。さらにミニ豆腐を組み合わせるだけで、胃にやさしく、バランスのとれた食事が摂れます。(主食+たんぱく質+お野菜類)
おすすめレシピを先に紹介しましたが、必ずしも、「料理しなきゃ!」と頑張らずとも、簡単に準備できます。
胃にやさしい食事で健康的に過ごそう!
焼き魚を蒸し魚にするなどの調理方法を変えることや、脂質を抑えた食事にしたり、体温に近い食事にしたりすることなど、ちょっとした工夫で胃に負担をかけずに食事を摂ることができます。
また、規則正しい食事やタバコを控えるなど生活習慣も見直すことが大切となるため、食事と生活習慣の両方を見直していきましょう。
胃の調子が悪い時は、今回紹介した料理を食べて、健康的な生活を目指していきましょう。
協力
慢性期病院で5年間勤務、さらに急性期病院で17年間、入院患者の栄養管理や外来栄養指導等に従事。現在は管理栄養士の育成に携わっている。管理栄養士。NST専門療法士。日本糖尿病療養指導士。病態栄養認定管理栄養士。NR・サプリメントアドバイザー。