カカオ豆の産地によって味が違う?カカオの生産ランキングと原産国の特徴をみてみよう!
カカオの種類は3つの品種?!
カカオの種類には、クリオロ種・フォラステロ種・トリニタリオ種があります。 同じ品種でも育てる場所や環境によって違った味わいになります。
カカオの品種と特徴
クリオロ種 | 病気に弱く、生産性は低い。香りがあり、無糖でも甘みがあり人気のある品種です。成熟すると、ポッドの色は、緑から黄色になります。 | 希少種で市場占有率5%未満と言われています。 |
フォラステロ種 | 病気に強く、生産性が高い。香りが弱く、苦味と酸味が強い。成熟すると、ポッドの色は、赤または黄色になります。 | 市場占有率の90%程度と言われています。 |
トリニタリオ種 | クリオロ種とフォラステロ種の交配種。交配の度合いによりクリオロ種に香りや甘みが近いものや、フォラステロ種に近いものがあります。 | 市場占有率の10%程度と言われています。 |
カカオの栽培できる条件
カカオは特殊な条件下の環境でしか育ちません。 カカオが育つ条件は、
- 年間平均気温27℃以上(年間通じて温度差が少ない)
- 年間降水量は1000mm以上
特殊な環境下でしか育たないため、カカオが栽培できる地域も限られ、「カカオベルト」と言われています。 カカオベルトは、赤道を中心とした南北緯20度以内で平均気温27℃以上の中南米・アフリカ・アジアに限られています。
世界国別カカオ豆生産量
順位 | 国名 | 単位(1,000トン) |
1 | コートジボワール | 2,000 |
2 | ガーナ | 880 |
3 | エクアドル | 260 |
4 | インドネシア | 260 |
5 | カメルーン | 240 |
6 | ナイジェリア | 240 |
7 | ブラジル | 170 |
8 | ペルー | 120 |
9 | ドミニカ共和国 | 70 |
10 | コロンビア | 55 |
11 | パプア・ニューギニア | 40 |
12 | ウガンダ | 30 |
13 | メキシコ | 30 |
14 | ベネズエラ | 22 |
出典:「日本チョコレート・ココア協会」
資料:国際ココア機関(ICCO)カカオ統計2017/18第2刊
世界合計で4,587,000トンの生産量で、コートジボワールが全体生産量の44%を占めています。
日本へカカオ豆の輸入
日本へカカオ豆の輸入は、73%がガーナになっています。チョコレートと言えばガーナというイメージも日本ではあるのではないでしょうか?実は、カカオ豆はガーナ以外でも様々な国で生産されています。今回は各国による違いをみていきましょう。 日本のカカオ豆国別輸入ランキング(平成29年)
順位 | 国名 | 輸入量 | 割合 |
1 | ガーナ | 40,412 | 73.7% |
2 | エクアドル | 5,804 | 10.6% |
3 | ベネズエラ | 4,130 | 7.5% |
4 | コートジボワール | 1464 | 2.7% |
5 | ドミニカ共和国 | 1268 | 2.3% |
6 | ブラジル | 496 | 0.9% |
出典:「日本チョコレート・ココア協会」日本の主要カカオ豆国別輸入量推移グラフ 資料:日本貿易統計
生産国による特徴ってあるの?
【生産量が第1位】コートジボワール産
西アフリカに位置する国です。日本のカカオ豆の輸入量は、ガーナ産が約73%を占めていて、コートジボワール産はあまり聞いたことはないのではないでしょうか?その理由として、コートジボワール産のカカオ豆の品質が均一ではないことが挙げられます。
エクアドルのカカオ豆の品種
主にフォラステロ種
特徴
品質が均一ではない? コートジボワールは、国民の3分の1がカカオやコーヒー豆の栽培に関わっています。しかし、貧困率は約46%で、カカオ農園で働く子どもたちが人身売買されていたなどニュースにも取り上げられていました。また農園経営する家庭の子どもの3分の1は、学校に行ったことがないそうです。 児童労働の問題が少しでも解決するために、カカオ豆のフェアトレードへの取り組みに各企業や団体は動いていますが、なかなかフェアトレード市場は浸透していないのが現状です。
【生産量が第2位】ガーナ産
ガーナは西アフリカに位置する国です。ガーナのカカオ豆は品質が安定していると言われていて、日本のカカオ豆の輸入のおよそ73%はガーナ産です。
ガーナのカカオ豆の品種
主にフォラステロ種
特徴
マイルドなカカオ豆で、チョコレートのベース(ベースビーンズ)として使われます。
豊かなコクがあり、余韻の残る香ばしさがあり、品質が安定しているといわれています。日本人が最も慣れ親しんでいるチョコレートの味です。
出典:カカオ豆の「産地」とその違いによるチョコレートの「特徴」|旅するおかし
【生産量が第3位】エクアドル産
エクアドルは南アフリカ西部に位置する国です。日本への国別輸入量では第二位です。
エクアドルのカカオ豆の品種
エクアドルでは20品種以上のカカオ豆が栽培されています。主な品種はフォラステロ種。フォラステロ種の中でもエクアドルの固有種で原生種に近いアリバ種(ナシオナル)種を栽培できます。
特徴
酸味が少ないですがコクがあり、花のような香りでフレーバービーンズとして使われることも多いです。
アリバ種とはフォラステロ種の一種ですが、エクアドルのみに生息する固有種です。ジャスミンのような甘い花のような香りをもち、ナッツのような苦みがあります。
出典:カカオ豆はたったの3種類!希少すぎるクリオロ種ってなに?|旅するおかし
エクアドル産のチョコレートはどこで手に入るの?
エクアドル産の最高品質のオーガニックチョコレートで知る人ぞ知るブランド「Pacari」。農家はどのように加工され、利用されているか知らないことがほとんど。自ら加工まで行っています。フェアトレードの精神で事業を起こしたそうです。
【生産量が第4位】インドネシア
インドネシアは東南アジアの南部に位置する国です。首都はジャワ島にあるジャカルタです。美味しいチョコレートを作るための「発酵」をしないまま輸出していたため、低価格でしか売れず、日本にもやってきていませんでした。 日本企業でも日本の消費者が求めるカカオを生産していくことを指導し、直接買取を行っている企業もあります。スラウェシ島から、カカオを通じて世界を変えるという理念の「Dari K」さんです。
【生産量が第14位だけど日本の輸出量は第3位】ベネズエラ
ベネズエラは、南アフリカの北部に位置しています。ベネズエラは、希少性の高いクリオロ種の原産地で、幻のカカオ豆が採れると言われています。
ベネズエラのカカオ豆の品種
クリオロ種
特徴
酸味・苦味・渋みのバランスがいい
香りの起伏は穏やかで濃厚な旨味と心地よい焙煎香が満足を与え、多くのショコラティエやパティシエを魅了してやまないカカオ豆の一つです。 出典:絶対覚えておきたい世界のカカオ豆4大産地とその特徴とは?|チョコマニア~人気チョコレートブログ~
カカオの生産ランキングと日本への輸入ランキングを中心に紹介しました。国によっても味わいや香りが違ってきます。しかし、加工の過程でどのようにブレンドされているか生産も知らないということが多いにあります。私たちもそれほどどの品種がベースビーンズで、どの品種がフレーバービーンズで使われているかを気にすることも少ないのではないでしょうか。最近では、シングルビーンズと言って、ば、単一産地の豆だけ作ったチョコレートも人気です。