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日本に古くから伝わる地域別の発酵食品の紹介

食・料理
YOKARE編集部
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日本に古くから伝わる地域別の発酵食品の紹介

日本では年々健康志向が高くなっており、発酵食品も注目されている食べ物の一つです。日本には古くから発酵の文化が根付き、発酵を利用して作られた食品には、味噌や醤油、酒などさまざまなものがあります。

日本には地域に特有の発酵文化が根付いていたり、全国的にはあまり知られていない食品も多くあります。日本に古くから伝わる地域別の発酵食品を紹介します。

発酵食品とは
食材は微生物や酵素の働きによってタンパク質や炭水化物が変化します。人間にとって有益な変化を発酵、有害で不要なものは腐敗と呼んでいます。
発酵の作用を利用して作られた食品を発酵食品と呼びます。
発酵食品は人間にとって有用な物とされているため、健康食品としても人気があります。

発酵食品はキムチやワインなど世界中で作られていますが、日本には独自の文化や技術で作られるようになった発酵食品が数多く存在します。

地域別の発酵食品の紹介

日本特有の発酵食品には、日本酒や醤油、味噌などがあります。しかし、全国的にはあまり知られていないものの、その地域特有の古くから作られている発酵食品が数多くあります。ここからは、地域別の発酵食品を紹介したいと思います。

秋田県ーしょっつる

しょっつるは秋田で作られている魚醤で、ハタハタや鰯を塩漬けにして発酵させて作ります。
琥珀色をした液体で、魚の濃縮した香りが独特ですが、旨味の強い調味料です。

出典:https://www.instagram.com/jun_eat/

魚醤と言えばタイの調味料であるナンプラーが知られていますが、秋田の「しょっつる」は、能登の「いしる」、香川の「いかなご醤油」と並び、日本三大魚醤に数えられます。
魚を原料にしていることから、漁師の家庭では当たり前のように作られていたと言われています。

新潟県ーかんずり

かんずりは、新潟県で作られている唐辛子を使った発酵調味料です。唐辛子を塩漬けにし、雪の上で乾燥させて甘みを凝縮し、糀(こうじ)や柚子を混ぜて発酵させます。発酵に3年もかかるのが特徴です。鍋料理や味噌汁、ラーメンなどに入れて食べられています。

出典:https://www.instagram.com/niigatasyokurakuen/

かんずりは漢字で「寒造里」と書き、雪の上に寒ざらしにして作るのが特徴です。かんずりが誕生したのは妙高市。唐辛子が有名で、上杉謙信が京都から唐辛子を持ち込んだことから唐辛子の栽培が盛んになったと言われています。
状態の良いものを自然交配した結果、S-30というとても大きな唐辛子が誕生し、かんずりに使われるようになったと言われています。

石川県ーフグの卵巣の糠漬け

石川県で有名な物と言えば、フグの卵巣を糠漬けにした発酵食品です。フグの卵巣はテトロドトキシンという毒素があるため本来食べることができません。
しかし、卵巣を2年以上かけて塩漬けと糠漬けにし、毒素を消し食べることができるようになるのです。フグの卵巣の糠漬けは、石川県だけでしか製造が許されておらず、珍味として食されています。

出典:https://www.instagram.com/tsukiyumi.k/

長野県ーすんき漬け

すんき漬けは木曽の山あいに伝わる発酵食品で、赤カブの葉茎を漬け種に漬け込み、乳酸発酵させたものです。塩を一切使わず乳酸菌だけで発酵させる珍しい漬物で、信州そばなどと一緒に食べられています。

出典:https://www.instagram.com/adjoa_hitomi/

海から遠い場所にある木曽の山あいでは、塩は大変貴重なもの。野菜の保存をするのに大量の塩を使うことはできず、乳酸菌のみで発酵食品を作っているのです。寒冷地だからこそ酸が強くなりすぎることもなく、美味しいすんき漬けを作ることができます。

東京都ーくさや

くさやは東京都の伊豆諸島で作られている発酵食品です。
強烈な香りと旨味が特徴で、世界で5番目に臭い食品と言われていますが、癖になる人も多い食べ物です。
くさやは離島だからこそ誕生したもの。保存性を高くするために、クサヤモロなどの魚を塩水に漬け込んで干したものですが、塩や水は貴重だったため、塩を足して何度も繰り返して使っていました。魚の微生物が塩で発酵し、強烈な香りを放つくさやが誕生したのです。

出典:https://www.instagram.com/kathuyukishimada88/

滋賀県ー鮒ずし

鮒ずしは、琵琶湖産のニブロブナを塩漬けし、ご飯を重ねて発酵させたものです。中国が起源である米と塩で乳酸発酵させて作る「なれ寿司」の一種です。
中国では鯉が使われていましたが、製法が日本の近江地方に伝わり、鮒となって作られるようになったと言われています。日本に現存する最古の寿司は鮒ずしだと言われており、お正月や結婚式などで食べられています。鮒ずしに付いたご飯を軽く取り、5ミリくらいの薄さに切って食べます。

出典:https://www.instagram.com/jewel_816/

岡山県ーひしお

ひしおは古代中国から伝わった伝統的な調味料です。ひしおは漢字で「醤」と書き、醤油や味噌の原点とも言われています。万葉集にも登場する伝統的な食品で、もろみのように、そのまま野菜につけて食べたり、漬物を漬けて味わいます。

徳島県ー阿波晩茶

阿波晩茶は、徳島県の那賀町や上勝町の特産品です。基本的に日本茶に代表される緑茶などは「非発酵茶」に分類されていますが、阿波晩茶は乳酸菌を使って発酵させたもので、発酵茶のなかでもプーアル茶などと同じ「後発酵茶」に分類されます。

出典:https://www.instagram.com/keiko5460/

実は、阿波晩茶がどのようにして誕生したのかは文献などが残っておらず、はっきりとはわかっていないのだとか。上勝町にあるお茶の神様を祀る茶神八幡神社では、平清盛の家臣、横尾権守が楽人となって四国に逃げたときに、中国で学んだ製法を伝えたのが阿波晩茶の発祥と言われています。

熊本県ー豆腐の味噌漬け

豆腐の味噌漬けは、熊本県の五木村や八代市泉町の五家荘周辺に伝わる食品で、豆腐を味噌に漬け込んで作った保存食です。チーズのような風味や食感が特徴です。

この地域では古くから焼き畑農業がおこなわれており、大豆が多く作られていました。山間部でもあるため流通は整っておらず、持ち運びのしやすい固い豆腐が主流です。その固い豆腐を使って作られたのが豆腐の味噌漬けで、1200年頃の平家の落武者の保存食として利用されていたと言われています。

出典:https://www.instagram.com/ee.ii.kk.aa/

地域に根付いた発酵食品は、その地域の歴史を知ることができるものです。いまでは他の地域の食品もネットショップなどで手軽に購入することができます。健康食品としても人気の高い発酵食品。知らなかった食品があれば、ぜひ一度試してみてください。

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