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江戸川が育んだ「みりん」と発酵食の歴史

食育
YOKARE編集部
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江戸川が育んだ「みりん」と発酵食の歴史

みりんの誕生

江戸川水系は、東京湾を市川市からさかのぼり、千葉県松戸市、流山市、野田市を経て、野田市関宿付近で、茨城県境町で利根川と合流します。利根川と江戸川をつなぐ利根運河の周辺は桜の名所でもあり、うんがいい朝市[※]も定期的に開催されています。

水面を利用した輸送である「水運」の歴史を振り返れると発酵食との関係性が見えてきます。

ここでは流山市の「みりん」と松戸市の「あぶら」のあっぱれなつながりを発酵食の広がりのひとつとして紹介します。

流山と言えば、「みりん」が有名。発酵食である「みりん」は、お米でできています。 みりんの発生起源は、「練貫酒」清酒に加えた酒が改良されたと、文政元年の「蔭涼軒日録」に記されているそうです。流山で育まれた製法は、「天晴」というみりんを誕生させ、現在は栃木県日光市まで伝わっています。流山市の「天晴みりん」の誕生と広がりと、松戸市の「あぶら」との関係に小林一茶が絡んでいることは有名な歴史です。

現在のように、温度による食品の保存が発達する前は、食品を乾燥させたり、塩分を加えたりと食品の中で生存する微生物の増殖速度を遅らせていました。

うんがいい朝市 利根運河沿いの老舗、新川さんも出店しています。 主催:利根運河交流館 協力:国土交通省関東地方整備局江戸川河川事務所

みりん干しという発酵技術も誕生

伝統の保存方法のひとつに干物があり、水分を抜くことで栄養素が濃縮し、特にアミノ酸を強く感じます。さらに「みりん」と「しょうゆ」を使うみりん干しは、魚に用いられる発酵技術のひとつです。 みりん干しの表面にはごまがついていることがおおいですが、この地域のごま油の発達に関係しているのかもしれません。 みりん干し

江戸前鯊(はぜ)のみりんぼし

はぜとは江戸前の昔から、江戸前の風物詩となっている東京湾のハゼ釣り。 淡水にも海水にもいる魚で千葉県市川市でも有名です。食味もよい白身魚なので、越冬ギスのように30cmを超える大型のものは刺身でも食べることができますし、わかさぎのように焼き魚、天ぷらやつくだにで食べることもあります。

魚の処理と保存

未調理の魚は、流氷水よく洗った後、えらや内臓といった微生物が集まりやすい部分を取り除きますが、調理済みの状態でもパックや袋の上から液体を用いた消毒から調理を始めしょう。 微生物は37度を好みますが、低温で増殖するものもいます。ある程度の待機時間を経て、微生物は急激に増殖します。待機時間は菌によって様々ですが、もともとの菌数が少なければ、急増開始時間が遅れます。 魚を低温保存する前に菌数を抑えること、低温保存することで急増を防ぐことが大事です。

魚を低温保存するポイント

  • 菌数を抑えること
  • 低温保存すること

滅菌的な低温保存とは?

静菌的な保存ではなく、滅菌的な低温保存には凍結融解が必要です。1回でも解凍することでたんぱく質が壊れ、微生物そのものや菌体内の毒素が壊れます。

たんぱく質の強度は様々ですが、分子量の大きいたんぱく質は壊れやすいです。たんぱく質の分解は凍結と融解の温度差と比例するので、衛生的には凍ったものを加熱する調理法が理にかなっています。その他、滅菌した食品に別の微生物がつかないように覆うことも、注意すべきで、準備にも必要な心得です。

みりんの役割と食品の保存性

食品に含まれる水分も保存性を考える大事な要素です。保存性を上昇させるポイントは、減らす、置き換える、覆うです。 みりん干しのように、衛生的に魚を下準備する、乾燥させて水分量を減らす、醤油のように塩分のあるものを細胞の中に注入する、(製法によっては加熱する)、みりんのアルコールで蒸発や二次感染を防ぐ、保存性の上昇にもみりんは活躍しているのです。

みりんの役割

先ほど説明したように、みりんは食品に与える影響がいくつかあります。

みりんの特長

  • 豊富なアミノ酸を含む
  • 構成糖の種類が多い
  • 浸漬液や飲料として応用できるアルコール濃度が保たれている

アルコールは、米、米麹、焼酎、アルコールを原料に産生され、45%以上の糖分11~14%のアルコール分を含有する酒類調味料がみりんです。

みりんが甘い理由

アミノ酸が多く含まれている「みりん」ですが、アミノ酸はたんぱく質やペプチドを構成する物質です。 人間の体の中で作ることのできないアミノ酸は必須アミノ酸といって20種類あり、それぞれが生命活動の維持のために必要な物質です。 アミノ酸の一つであるメチオニンは苦みがあります。メチオニン含量が低い糖類使用タイプや熟成みりんには、みりんの甘さの秘密が隠されているかもしれません。 さらに、みりんはうるち米、もち米、米麹を原料にするので、大きさや種類の違うの糖がたくさん含まれています。甘みのあるお酒として、レーズンをつけたり、そのまま飲んだりするもいいでしょう。

お酒やみりんのメリット

お酒には、細胞が熱を産生する効果があり、血流が良くなることで実感できます。 それは、より微弱な血管を新生し、必要な物質が必要な適所に運ばれることを支えます。蠕動運動(腸の動き)の正常化もひとつで、動かないことが原因である便秘の改善も期待できます。腸を動かすものには炭酸もあります。これからの暑い季節、みりんの炭酸割りをベースにした飲料も考えていきましょう。

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