お餅を長持ちさせる保存方法
古くからお正月の鏡餅やお雑煮だけでなく、子どもの誕生や一歳の誕生祝、ひな祭りや端午の節句、お彼岸、祭り、農作業の節目などにお餅を食べる習慣がありました。
昔は日持ちのする個包装のお餅は販売されておらず、専門の餅屋さんに頼んだり、各家庭で餅をついて食べていました。
お餅はつき上げた状態でも50%近くの水分を含んでいます。そのためカビが生えやすく、常温保存では日持ちしません。家庭で餅をつく際には、一度にたくさん作ることができ、カビか生えやすく、いろいろ工夫をして保存していたようです。
現代でも、家庭でついたお餅、子どもの一歳のお祝いにいただいた一升餅の保存方法が分からず、戸惑ってしまうこともあるようです。お餅を長持ちさせる保存方法と、知っているようで知らなかったお餅の歴史などについてお伝えします。
お餅の歴史
お餅は、稲作が伝わった弥生時代から、神様が宿る特別な食べ物として、五穀豊穣を願ってお供えされていました。
平安時代になり、神様にお供えした餅を拝むようになり、正月には丸くて大きな餅を鏡にたとえて、「鏡餅」と呼ぶようになりました。
今ではお正月の雑煮、節分の寒餅、桃の節句の菱餅、端午の節句の柏餅、子どもの一歳のお誕生日に背負う一升餅、土用に食べる土用餅などが知られています。
そのほかにも農作業の節目に餅をついて食べる習慣も多く、秋のお米の収穫が終わる頃には、「亥の子餅」を食べる習わしが残っている地方があります。
鏡餅と菱餅の由来
鏡餅は大小の餅を重ね、だいだいや干し柿、昆布、裏白などをあしらったお供え餅です。
鏡餅は丸くて満月のような形をしていますが、満月を望月(もちづき)と呼ぶことから、丸い鏡餅を拝むと願いが叶うと言われてきました。
また、この丸い餅は天皇の神器の三種の神器の一つの銅鏡の形に似ていることから、鏡餅と呼ばれるようになったそうです。
3月3日の桃の節句に、菱餅が供えられるようになったのは、江戸時代になってからのようですが、菱餅の緑は健康を、白は清浄を、ピンクは魔除けを表しています。
お餅の保存方法アレコレ
現代では、お餅の保存方法としては、冷蔵保存や冷凍保存が一般的です。
長期保存に最も効果的な方法は、冷凍保存です。
しかし、昔ながらの水餅と言った保存方法もあります。
市販の丸餅や切り餅の保存
最近では、丸餅も切り餅も、ひときれずつ個包装になったものが、まとめて10個単位などで袋に詰められて売られています。
市販の個包装されたお餅は封を切らない限り、お餅があまっても、常温保存で1年くらいは日持ちします。
しかし、冷凍する際は念のため、お餅の入った袋の説明書の賞味期限を確認しておきましょう。
手づくり餅の保存
お餅屋さんで買ったり家庭でついた手づくり餅の保存方法は、2週間くらいで食べきれる量なら、丸餅ならそのままラップで1個ずつ包み、さらにフリーザーバッグに入れ冷蔵庫で保存します。
のし餅や鏡餅などは、食べやすい大きさに切り、やはりラップで1個ずつ包んで、フリーザーバッグに入れて冷蔵庫で保存します。
2週間では食べ切れない量なら、冷凍保存にします。
冷凍する場合は、ラップで1個ずつ包み、フリーザーバッグに入れて冷凍庫で保存しますが、その際は、フリーザーバッグの空気をしっかり抜いておきます。
冷凍しておくと、半年ぐらいは美味しくいただけますが、冷凍室を頻繁に開け閉めをする場合は、なるだけ早く食べるようにしましょう。保存状態がよければ、1年くらいは美味しくいただけます。
昔ながらの保存方法のひとつ、水餅
お餅のまわりについた粉を水で洗い流し、蓋つきのプラスチック容器などに水を入れて、餅を沈めておきます。
水は毎日交換し、お餅も洗っておきます。保管場所は暖房器具のない冷暗所が適していますが、ベランダなど、水が凍るような場所は適していません。
そのほかにも鏡餅などは細かく砕いて、フライパンで炒ったり、油で揚げておかきのようにして食べる方法もあります。
冷凍した餅の解凍方法
冷凍した餅に普通の柔らかさが欲しい!
普通の柔らかさに仕上げるには、耐熱皿にオーブンシートを敷き冷凍餅を乗せて、ラップをせずに、1個につき500Wの電子レンジで50秒ほど加熱します。
冷凍した餅につきたてのような柔らかさが欲しい!
つきたてのような柔らかさにしたい場合は、耐熱容器に冷凍餅を1個入れ、水を大さじ1杯加えて、ラップをせずに500Wの電子レンジで30秒ほど加熱し、餅を裏返して、さらに30秒ほど加熱します。大根おろしなどと混ぜて食べるのに適しています。
冷凍した餅に焦げ目が欲しい!
焦げ目がほしいときは、オーブントースターの網の上に、アルミホイルを敷いて冷凍餅をのせ、約10分加熱し、餅がふくらんできたらさらに2分ほど焼いて、焼き色をつけます。ぜんざいなどに向いています。
冷凍した餅を揚げ焼きにしたい!
揚げ焼きにしたい場合は、フライパンにサラダオイルを入れて冷凍餅を置き、中火で5分加熱し、ひっくり返してさらに5分加熱します。海苔を巻いたり、バターと醬油を少量たらして食べるのに向いた焼き方です。
鍋料理に餅を使う場合は、煮るときに煮汁が冷たいうちに冷凍餅を入れて、中火で10分ほど煮ると食べごろになります。
お餅のカロリーについて
お餅の原料はもち米ですが、もちのカロリーは50g(もち(角7×4×1.5cm)1個)で118kcalになります。
餅には炭水化物が多く含まれますが、その他には糖質、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルなどが含まれます。
ミネラル成分では、モリブデンと銅の成分が多いのが特徴です。
よく噛んでゆっくり食べると、お餅に含まれるペクチンの粘り気の作用で、満腹感が得られます。
お餅を食べると太ると、敬遠する人も多いようですが、よく噛まずにたくさん食べるからです。
小さめのお餅1個とご飯1膳は、ほぼ同じカロリーなので、適量を食べると、腹持ちがよいので、間食をすることがなく、むしろダイエット効果が期待できます。
お餅の保存は短期間の保存なら冷蔵庫で、長期間の保存なら冷凍庫
冷蔵庫が普及していないころは、お餅を水餅にしたり、細かく砕いて天日で干して、あられのようにして食べていたようです。
お餅はつき上げた状態でも50%近くの水分を含んでいます。そのためカビが生えやすく、常温保存では日持ちしません。
大切なお餅は、短期間の保存なら冷蔵庫で、長期間の保存なら冷凍庫での保存がおすすめです。
アオカビは、表面だけ削り落としても、餅の中まで入り込んで入ることがあります。風味が落ちるだけでなく、アフラトキシンといった発がん性のある物質が発生するため、無理して食べるのはおすすめできません。
余ったお餅は、上手に保存して美味しくいただきましょう。