ノンアルコール飲料とお酒、どちらが健康にいいの?
ノンアルコール飲料が人気です。特に「健康のために飲酒を控えたい」という方に支持されています。一方、お酒を少し飲んだほうが、むしろ健康にいいという話も耳にします。どう考えればよいのでしょうか?
微量のアルコールを含む商品も
日本の酒類業界では自主基準を設けて、ノンアルコール飲料とは「アルコール度数0.00%」のものとしています。ただし、酒税法でお酒は「アルコール分1度以上」と定めていることから、法的にノンアルコール飲料はアルコール度数が1%未満のものとなります。
商品によっては、ノンアルコール飲料とうたっていても、少量のアルコールが含まれていますので、車を運転する場合は、アルコール度数0.00%の商品を選ぶことが必要です。アルコール度数0.00%の商品は、コーラやサイダーといった清涼飲料水と実質的に同じです。
ノンアルコール飲料は健康にいい?
「酒は百薬の長」ということわざがあります。これは「飲酒は適量ならば健康に良い」という意味です。確かに、ビールやワインを少し飲むと、緊張がほぐれてリラックスできます。仕事や家事の疲れも癒してくれるでしょう。
当然ですが、飲み過ぎると、高血圧・がん・糖尿病・肝臓疾患など生活習慣病の原因になります。
では、少量の飲酒ならば、むしろ健康に良いという話は本当でしょうか?
これまでの疫学調査を見ると、虚血性心疾患などについては、全くお酒を口にしない人よりも、少量飲む人の方が、発症リスクが小さいというデータもあります。しかし、乳がん・脳出血・高血圧などのリスクは、わずかな量の飲酒であっても高まっていきます。さらに、飲酒は肝臓に負担がかかり、肝硬変といった疾患も、お酒を飲まない人ほどリスクが小さくなります。
海外諸国でも、アルコールを全く飲まないことで健康を守れる、という見方が強まっているようです。
日本人の場合、1日あたりの純アルコール摂取量が男性で40g、女性で20gを超えると、明らかに生活習慣病の発症リスクが高まることがわかっています。このため、厚生労働省では1日の飲酒量として男性20g以下、女性10g以下を推奨。純アルコール20gとは、ビール500ml、日本酒180ml、チューハイ350ml(度数7%)、ワイン200mlです。
健康を考えると、「お酒を飲まない」ことがベストかもしれませんね。それでは物足りないという方にとっては、グラス1杯程度の少量の飲酒で我慢するか、またはノンアルコール飲料が選択肢となります。
トクホはアサヒが孤軍奮闘
健康を守るためにノンアルコール飲料を選ぶのならば、一歩踏み込んで、特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品も検討してみましょう。
現在、トクホとして販売されているノンアルコール飲料に、「アサヒ ヘルシースタイル」があります。食物繊維の難消化性デキストリンを配合し、食後の血中中性脂肪の上昇を穏やかにする作用をうたっています。
ノンアルコール飲料の主戦場は機能性表示食品へ
健康に役立つノンアルコール飲料の主戦場は、機能性表示食品に移っています。大手酒類メーカーから、さまざまなタイプの商品が登場しています。
アサヒビールは「アサヒ スタイルバランスプラス」シリーズで、レモン・ゆず・グレープフルーツなど多彩なサワーテイストを用意。難消化性デキストリンを配合し、「食事の脂肪や糖分の吸収を抑える機能」をアピールしています。
麒麟麦酒からは「キリン カラダフリー」と「氷零 カロリミット」シリーズ。ビールテイストの「キリン カラダフリー」は熟成ホップ由来苦味酸を含み、「お腹周りの脂肪(体脂肪)を減らす機能」を訴求。チューハイテイストの「氷零 カロリミット」シリーズは、難消化性デキストリンを含み、「食事から摂取した糖や脂肪の吸収を抑える機能があることが報告されています」と表示しています。
サッポロビールの「うまみ搾り」は、アンセリンを配合。血清尿酸値が高めの方に向けて販売し、ライバル製品との違いを強調しています。
サントリーからは、大ヒット商品「ALL-FREE」の機能性表示食品「からだを想うALL-FREE」が登場。ローズヒップ由来ティリロサイドを含み、「BMIが高めで内臓脂肪が気になる方」に向けて提案しています。
シーンや目的に合わせて商品を選ぼう!
健康を考えると、毎日アルコールを口にしない習慣を身に付けることが大切です。お酒の代わりにノンアルコール飲料を利用する場合には、アルコール分が0.00%から1%未満までの商品が混在していますので、利用シーンに合うものを選択しましょう。
さらに、健康が気になる方は、目的に合わせて機能性表示食品やトクホを利用してみてはいかがでしょうか。